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共働き家庭における「小1の壁」とは?原因や仕事・育児の両立のコツなど対策までわかりやすく解説!

この記事でわかること
  • 「小1の壁」の意味と、保育園時代との環境の違い
  • 共働き家庭が直面する主な原因(時間のギャップ・学童不足・長期休暇など)
  • 入学を機に働き方を変えた保護者の割合など具体的なデータ
  • テレワーク・学童活用・家事分担など仕事と育児を両立する対策
  • 自治体や企業が進める「小1の壁」解消の最新事例

子どもが小学校に入学するタイミングは、家族にとって大きな節目です。しかし共働き家庭では、保育園時代と比べて預かり時間が短くなったり、学校行事への参加が求められたりと、急激に生活のバランスが崩れがちです。

この記事では、「小1の壁」の意味や原因を整理したうえで、仕事と育児を両立するための具体的な対策を詳しく解説します。これから小学校入学を控えるご家庭はもちろん、すでに壁を感じている方もぜひ参考にしてください。

山本航士

この記事を書いた人

山本航士

受験アドバイザー

聖光学院中高→慶応義塾大学経済学部→コンサルティングファーム→LEFYにて難関中学受験および中高一貫校生をサポート

Contents

そもそも「小1の壁」とは

「小1の壁」とは、子どもが保育園から小学校へ進学する際に、それまで可能だった仕事と育児の両立が一気に難しくなる現象を指す言葉です。保育園では送迎時間や延長保育の柔軟性が高く、親が長時間働くことも不可能ではありません。
ところが小学校に上がると、登下校時間や長期休暇のスケジュールが大きく変わるため、預かり先の確保や生活リズムの調整が必要になります。(朝日新聞SDGs ACTION!

保育園から小学校への移行で変わること

もっとも大きな変化は「預かり時間」です。認可保育園であれば朝7時ごろから夕方18時〜18時半ごろまで預けられ、延長保育を含めると最大11時間ほど利用できるケースもあります。一方、小学校の登校時間は8時〜8時半、低学年の下校時間は14時台と早いのが一般的です。

つまり、朝は出勤前に子どもを送り出すタイミングが合わず、夕方は下校後に数時間の”空白”が生まれるという問題が発生します。さらに給食がない日や学級閉鎖など、突発的なスケジュール変更にも対応しなければなりません。

共働き世帯が急増するなかで社会問題化

2022年時点で共働き世帯は約1,262万世帯に達しており、夫婦がともに働くことはもはや当たり前の選択肢です。(公明党 子育て応援サイト

共働き家庭が増えるにつれて、「小1の壁」は個々の家庭だけの悩みではなく、社会全体で取り組むべき問題として認識されるようになりました。女性の社会進出や次世代育成支援といった政策テーマとも密接に結びついています。(こども家庭庁 資料

「小1の壁」を感じるタイミング

壁を実感する時期は入学前後だけではありません。主に以下のようなタイミングで「想像以上に大変だ」と感じる方が多いです。

  • 入学直後の4月:下校時間が早く、学童の申し込みが間に合わないケース
  • 夏休み・冬休みなどの長期休暇:一日中の居場所をどう確保するかが課題
  • PTA活動や授業参観:平日昼間の行事が増え、有給取得が追いつかない
  • 時短勤務の適用終了:多くの企業では小学校入学と同時に時短が使えなくなる

入学前から情報収集を始め、早めに対策を立てることが重要です。

共働き家庭が直面する「小1の壁」の主な原因

ここからは、「小1の壁」を引き起こす代表的な原因を4つに分けて解説します。自分の家庭に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

朝と夕方の預かり時間のギャップ

最大の原因は、保育園時代に比べて「預けられる時間」が大幅に短くなることです。保育園では朝7時前後から受け入れてもらえましたが、小学校は8時過ぎにならないと校門が開かない場合が多いです。

名古屋市のあるワーキングマザーは、「片付け・準備・出発」を25分で済ませ、朝のうちに子どもの送りと祖母宅への立ち寄りを完了しなければならない毎日を送っています。(東海テレビ

また、教員の働き方改革により学校の開校時間がさらに後ろにずれるケースも出ており、朝の預かり時間のギャップは今後も拡大する可能性があります。(公明党 子育て応援サイト

学童保育の定員不足と施設ごとのサービス差

学童保育には公立の「放課後児童クラブ」や「放課後子ども教室」、民間やNPOが運営する施設など複数の種類があります。しかし、預かり時間や開所曜日、送迎サービスの有無などは施設ごとにバラバラです。

自治体や施設によっては17時までしか開いていなかったり、土曜日の対応がなかったりすることも珍しくありません。保育園時代の感覚で「どこかに預ければ大丈夫」と考えていると、入学後に想定外の事態に直面するケースが少なくありません。(朝日新聞SDGs ACTION!

時短勤務の終了とPTA・学校行事による負担増

多くの企業では、育児のための時短勤務制度を「子どもが小学校に上がるまで」としています。入学と同時にフルタイムに戻ることで、保護者は朝夕の時間的余裕を一気に失います。

さらに、小学校ではPTA活動や授業参観、個人面談、運動会の準備など、平日に行われる行事が意外に多いのが現実です。有給休暇をこれらに充てざるを得ず、体調不良時の備えが薄くなるという悪循環に陥りがちです。

夏休みや冬休みなど長期休暇中の子どもの居場所問題

保育園にはお盆休み以外に長期休暇がありませんが、小学校には約40日間の夏休みがあります。その間、学童保育を利用するにしても、朝から夕方まで毎日通わせることになり、お弁当の準備や費用面の負担も増えます。

民間の学童やサマーキャンプなどを組み合わせて乗り切る家庭もありますが、費用がかさむため経済的な余裕がないと選択肢が狭まってしまいます。

データで見る「小1の壁」

「小1の壁」は感覚的な問題と思われがちですが、調査データからも深刻さが裏付けられています。

入学を機に働き方を変えた保護者は5割以上

ある調査によると、子どもの小学校入学を機に約50.7%の保護者が働き方の見直しを検討したと報告されています。そのうち12.4%が雇用形態そのものを変更し、27.4%が短時間勤務へ切り替えています。

さらに別の調査では、「小1の壁」を感じた保護者のうち、入学前後で「正社員・契約社員・業務委託」の割合は62.8%から61.1%に微減し、「派遣社員・パート」の割合は15.3%から17.1%へ増加しています。(withnews

入学前後の働き方の変化
「小1の壁」を感じた保護者の雇用形態の推移
雇用形態 入学前 入学後 変化
正社員・契約社員・業務委託 62.8% 61.1% ▼ 1.7pt
派遣社員・パート 15.3% 17.1% ▲ 1.8pt
正社員・契約社員・業務委託
入学前 62.8%
入学後 61.1%
変化 ▼ 1.7pt
派遣社員・パート
入学前 15.3%
入学後 17.1%
変化 ▲ 1.8pt

学童の待機児童はいまも1万人超が解消されていない

放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童数は、全国で依然として1万人を超えている状況が続いています。自治体によっては申し込んでも入れないケースがあり、特に都市部で深刻です。

待機児童になってしまうと、放課後の居場所がなくなるため、保護者は退職やパートへの転換を余儀なくされることもあります。「保育園の待機児童問題」と同様に、学童の定員問題も社会全体で解決すべきテーマです。

シングルマザーや一人親家庭への影響も深刻

「小1の壁」は二人親の共働き家庭だけの問題ではありません。シングルマザーを対象にした調査では、48.2%が「小1の壁」を実感していると回答しています。(FNNプライムオンライン

一人親家庭では、離職や就業形態の変更がそのまま家計の悪化に直結します。パートナーとの役割分担ができない分、より切実に支援制度や地域のサポートが必要となるのです。

仕事と育児を両立するための具体的な対策

ここからは、「小1の壁」を乗り越えるための実践的な対策を紹介します。一つだけではなく、複数の手段を組み合わせることが両立のカギです。

テレワーク・フレックス・時差出勤を職場に相談する

在宅勤務(テレワーク)を導入すれば、子どもの登校を見送ってから仕事を開始できます。通勤時間がなくなるため、朝夕の時間的余裕も生まれます。(朝日新聞SDGs ACTION!

また、フレックスタイム制を利用してコアタイムを調整したり、時差出勤で始業を30分〜1時間ずらしたりするだけでも効果は大きいです。スリール社の調査では、「就業時間の柔軟性」が従業員の期待でトップに挙がっており、有給を1時間単位で取得できる制度を導入している企業も増えています。(Business Insider Japan

まだ制度がない職場でも、上司に相談してみる価値はあります。「小1の壁」を知らない管理職もいるため、現状を丁寧に伝えることが第一歩です。

公立・民間・NPO系の学童を目的別に使い分ける

学童保育は一種類ではありません。それぞれの特徴を理解したうえで、ご家庭のニーズに合った施設を選ぶことが重要です。

  • 公立の放課後児童クラブ:費用が安いのがメリット。ただし預かり終了時刻が17〜18時と短めの場合もある
  • 民間学童:英語や習い事のプログラムが充実し、送迎サービスを提供する施設も多い。費用は月3〜5万円程度と高め
  • NPO運営の学童:地域密着型で、アットホームな雰囲気。開所時間や受け入れ人数は施設ごとに異なる

複数の施設を曜日ごとに使い分けたり、習い事と学童を組み合わせたりすることで、放課後の時間を効率的にカバーできます。(朝日新聞SDGs ACTION!

ファミリーサポートや祖父母など地域の力を借りる

ファミリーサポート事業(ファミサポ)とは、地域の中で子育ての手助けをしたい人と手助けを受けたい人を結びつける自治体の事業です。1時間あたり数百円〜千円程度で子どもの預かりや送迎を依頼できるため、費用面のハードルも比較的低いのが特徴です。(朝日新聞SDGs ACTION!

また、祖父母が近くに住んでいる場合は、「祖父母宅に立ち寄ってから登校する」という方法も現実的です。ママ友・パパ友との間で登校の見守りを交替するなど、近隣との助け合いも有効な手段です。

大切なのは「一人で抱え込まない」ことです。地域にどんなサービスがあるか、入学前の時点でお住まいの自治体の窓口に問い合わせておきましょう。

夫婦で家事と育児の役割分担を見直す

「小1の壁」をきっかけに、夫婦間で家事・育児の分担を見直すことは非常に大切です。たとえば以下のような具体的な話し合いが効果的です。

  • 朝の送り出しと夕方の迎えをどちらが担当するか
  • 急な学校行事や子どもの体調不良時に、どちらが対応するか
  • お弁当の準備や宿題の見守りなど、日常の役割をどう割り振るか

「母親が全部やる」という前提を外し、曜日ごとに担当を決めるなど、仕組み化することがポイントです。夫婦の対話なくして「小1の壁」は越えられません。

自治体や企業が進める「小1の壁」解消への取り組み

家庭の工夫だけでなく、社会全体で「小1の壁」の解消に取り組む動きが広がっています。ここでは自治体・法制度・企業の3つの視点から最新の動向をお伝えします。

早朝の学校開放など自治体発の先進事例

一部の自治体では、小学校を早朝から開放して保護者の出勤時間に対応する取り組みが始まっています。(東海テレビ

たとえば、朝7時半から校舎の一部を開放し、児童が安全に過ごせるスペースを確保する仕組みです。この方法であれば、学童保育のように別の施設に通わせる手間がなく、そのまま授業に移行できるメリットがあります。

また、夏休み中に学校のプールや図書室を開放して、子どもの居場所を確保する自治体も増えています。お住まいの地域でどのような取り組みがあるか、教育委員会のホームページで確認してみてください。

育児介護休業法の改正で広がる「子の看護休暇」の対象範囲

2025年4月に施行された育児介護休業法の改正により、「子の看護休暇」の対象が拡大されました。従来は未就学児が対象でしたが、改正後は小学校3年生修了までの子どもを持つ保護者も取得できるようになっています。

これにより、小学校低学年の子どもが急に体調を崩した場合でも、法律に基づいた休暇を取得しやすくなりました。名称も「子の看護等休暇」に改められ、感染症による学級閉鎖なども取得事由に含まれるようになっています。

自社の就業規則が最新の法改正に対応しているか、人事部門に確認してみましょう。

企業に求められる柔軟な制度整備

「小1の壁」の解消には、企業側の制度整備も欠かせません。具体的に求められているのは、以下のような取り組みです。

  • 時短勤務の適用延長:小学校入学後も利用できるよう、対象年齢を引き上げる
  • リモートワークの恒常化:コロナ禍で普及した在宅勤務を定着させる
  • 時間単位の有給取得制度:半日単位ではなく1時間単位で取れるようにする
  • 管理職への啓発:「小1の壁」の実態を社内で共有し、理解ある風土を醸成する

従業員の離職を防ぎ、優秀な人材を確保するためにも、企業にとって「小1の壁」対策は経営課題の一つと言えます。制度があるだけでなく、実際に使いやすい雰囲気づくりが重要です。

よくある質問

「小1の壁」はいつから準備を始めればいいですか?

理想は入学の1年前、つまり年長の春〜夏ごろからの準備です。学童保育の申し込み締め切りは自治体によって異なりますが、秋〜冬にかけて受付が始まるケースが多いです。早めに情報収集をしておくことで、学童の比較検討や職場への働き方相談にも余裕を持てます。

学童保育に入れなかった場合、どんな選択肢がありますか?

民間学童やNPO運営の放課後教室、習い事の組み合わせ、ファミリーサポート事業の利用、祖父母や近隣の方への協力依頼などが考えられます。自治体によっては待機児童向けの一時預かりサービスを用意している場合もあるため、役所の子育て支援窓口に相談してみてください。

「小1の壁」で退職するのはもったいないですか?

退職は最終手段として考えることをおすすめします。まずはテレワークやフレックス、時差出勤など働き方の調整を職場に相談してみましょう。また、雇用形態を正社員からパートに変更するだけでも、時間的な余裕が生まれることがあります。いきなり退職を決断する前に、使える制度やサービスをすべて洗い出してみてください。

夏休みなどの長期休暇はどう乗り越えればいいですか?

学童保育の夏休み利用に加え、自治体の短期預かり事業、民間のサマーキャンプ、習い事の夏期講習などを組み合わせる方法が一般的です。夫婦で交互に有給を取ったり、祖父母に数日間お願いしたりと、複数の手段を”リレー式”でつないでいくのがコツです。

まとめ

「小1の壁」は、保育園から小学校への環境変化によって生じる、預かり時間のギャップ・学童不足・行事参加の負担増・長期休暇の居場所問題など、多層的な原因が絡み合った社会的な課題です。

入学を機に約5割の保護者が働き方を見直しているというデータが示すとおり、「小1の壁」は決して一部の家庭だけの問題ではありません。シングルマザーなど一人親家庭では、より深刻な影響が出ています。

対策としては、テレワーク・フレックスなど職場との交渉、学童やファミサポの活用、夫婦間の役割分担の見直しが三本柱となります。さらに、自治体の早朝学校開放や育児介護休業法の改正など、社会的な支援も着実に広がっています。

大切なのは「一人で抱え込まない」ことです。使える制度やサービスを入学前からしっかり調べ、家族・職場・地域の力を借りながら、無理のない形で新生活をスタートさせましょう。「小1の壁」は乗り越えられない壁ではなく、準備と工夫によって確実に低くすることができます。