洗足学園中学校は、川崎市高津区・溝の口にある女子の完全中高一貫校です。近年進学実績を大きく伸ばし、2026年には東京大学に27名が合格。いまや神奈川女子トップ校の一角として、県内はもちろん東京方面からも受験生が集まります。
入試は第1回(2/1)・第2回(2/2)の2回制。以前実施されていた3回目の入試は廃止され、第1回の定員が大きく増えるという構造変化がありました。第1回と第2回では受験者層も倍率も異なるため、回ごとの戦略が重要な学校です。
本記事では、LEFYが独自に集計した第1回・過去約15年分・全282問の算数出題データに加え、第2回・過去約5年分・全80問の分析も交えながら、洗足学園の入試傾向と対策をご紹介します。
- 洗足学園の基本情報(偏差値・入試日程・校風・進学実績)
- 2回制入試の配点・倍率と、第1回・第2回の使い分け
- 【LEFY独自集計】算数・第1回282問の出題分野の内訳と頻出単元
- 算数の7割が「典型・オーソドックス問題」— 食塩水・速さのグラフなど塾テキスト直結の単元が上位を占める事実
- 直近は「速さ×グラフ」の比重が倍増。難易度の年次変動が大きいことへの備え
- 【LEFY独自集計】第2回の算数(全80問)の分析 — 出題の「型」は第1回と共通で、第1回対策がそのまま通用するという事実
- 国語・理科・社会の傾向と、理社あわせて60分という独特の形式への対応
この記事を書いた人
山本航士
受験アドバイザー
聖光学院中高→慶應義塾大学経済学部→コンサルティングファーム→LEFYにて難関中学受験および中高一貫校生をサポート
洗足学園の基本情報(偏差値・日程・進学実績)
洗足学園中学校 基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県川崎市高津区(東急田園都市線・大井町線 溝の口駅、JR南武線 武蔵溝ノ口駅から徒歩約8分) |
| 種別 | 女子校・完全中高一貫(高校からの募集なし) |
| 入試日程 | 第1回 2月1日 / 第2回 2月2日(いずれも4科)+帰国生入試(1月) |
| 募集人数 | 一般220名(第1回120名・第2回100名) |
| 実質倍率 | 第1回 約2.4倍 / 第2回 約2.0倍(2026年) |
| 偏差値の目安 | 四谷大塚80%偏差値で第1回66・第2回64 |
※ 偏差値は模試会社によって基準が異なります(SAPIXは四谷大塚より5〜6ポイント低く、首都圏模試は5〜10ポイント高く出る傾向)。出願判断は通っている塾の最新の合格判定でご確認ください。
洗足学園はこの20年で進学実績を飛躍的に伸ばした学校として知られ、2026年の東京大学合格者数は27名。医学部への合格者も多く、1学年約240名の女子校としては全国トップクラスの実績です。帰国生を毎年多く受け入れており、英語・国際教育の厚さも特色です。
https://www.inter-edu.com/univ/2026/schools/87/jisseki
日程面のポイントは2つ。第一に、第1回(2/1)は桜蔭・女子学院・雙葉・フェリスなど女子最難関の入試と同日のため、第1回は洗足が本命の受験生が中心になります。第二に、第2回(2/2)には2/1に最難関を受けた層が数多く流れ込むため、偏差値表の数字以上に厳しい戦いになります。募集は第1回120名・第2回100名で、本命なら第1回から出願するのが原則です。
全体傾向と対策
各科目の配点と時間は以下のとおりです(第1回・第2回共通)。
洗足学園 入試の配点と試験時間
| 科目 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 50分 |
| 算数 | 100点 | 50分 |
| 社会・理科 | 各75点 | 合わせて60分 |
| 合計 | 350点 | 160分 |
※ 合格発表は試験当日の夜。理科・社会は60分の中で自分で時間配分する形式です。
特徴的なのは社会・理科があわせて60分という形式です。どちらから解くか、何分ずつ使うかを自分で決める必要があり、片方に時間を使いすぎる事故が起きやすいポイントです。
合格最低点は公表されており、近年の第1回は350点満点中190〜210点台(得点率55〜61%)と年度によって大きく動きます。これは算数の難易度の振れ幅が大きいためで、学校公表の受験者平均を見ると、算数が100点満点で30点台まで沈む年もあれば60点を超える年もあります。「その年の難しさに動じず、取れる問題を確実に取る」姿勢が洗足攻略の大前提です。
算数の傾向と対策
【傾向】データで見る洗足の算数
試験は50分・100点。大問5題・小問16問で、大問1が計算2問、大問2・3が各4問の小問集合(大問3はやや難度高め)、大問4・5がテーマ型の大問という構成がここ10年ほど安定しています。また、「考え方を表す式や文章・図」を書かせる記述指定の問題が近年は毎回きっちり4問置かれるのも洗足の型です。
LEFYでは、洗足学園(第1回)の算数の過去問約15年分(全282問・小問単位)を、独自の単元分類(10分野・72単元)で1問ずつタグ付けして集計しました。まず出題分野の内訳です。
洗足学園 算数の出題分野の内訳(第1回・全282問)
過去約15年分の入試(小問単位) / LEFY調べ
※ 複合問題は主となる単元で集計。LEFY調べ(2026年7月)
速さ(17.7%)と割合と比(17.4%)の2分野で全体の3分の1以上を占めます。つるかめ算・年令算などの文章題(特殊算)も10.3%としっかり出題される一方、場合の数・規則性は少なめ。塾のテキストで最重要とされる分野がそのまま出題の中心になっている、素直な出題分布です。
単元レベルまで下りると、洗足の「顔」となる単元がはっきりします。
洗足学園 算数の頻出単元 TOP9
第1回・過去約15年分・全282問のうち、主単元としてタグ付けされた問題数 / LEFY調べ
| 順位 | 単元 | 問題数 |
|---|---|---|
| 1 | 食塩水(濃度) | 18問 |
| 2 | ダイヤグラム(速さとグラフ) | 14問 |
| 2 | 推理・論理(条件整理・調べ上げ) | 14問 |
| 4 | 仕事算・のべ算 | 12問 |
| 5 | 面積(複合図形の求積) | 10問 |
| 5 | 旅人算 | 10問 |
| 5 | 水量の変化(水そうとグラフ) | 10問 |
| 8 | 図形上の点の移動 | 9問 |
| 8 | 場合の数の応用 | 9問 |
※ このほか、年令算・速さと比・流水算が各8問、大問1で毎回出題される計算が計34問。LEFY調べ(2026年7月)
単元1位は食塩水の18問。濃度のやりとり・混合を比で処理させる問題が繰り返し出ています。そして2位のダイヤグラムを筆頭に、旅人算・水量の変化・点の移動・流水算と、「グラフを読み取って速さ・変化を追う」系統が上位にずらり。食塩水と速さ×グラフ。この2本柱が洗足の算数の看板です。年令算が8問という点も、特殊算を軽視しない洗足らしい特徴です。
出題形式の内訳も見てみましょう。
洗足学園 算数の出題形式の内訳(全282問)
第1回・過去約15年分の算数を小問単位で分類(1問に複数タグあり) / LEFY調べ
| 出題形式 | 該当する問題の比率 |
|---|---|
| 典型・オーソドックス問題(塾で習う典型解法で解ける) | 69.9% |
| 初見思考力問題(その場で設定を読み解く) | 24.5% |
| 考え方・求め方の記述説明 | 22.3% |
| グラフ・図の読み取り | 17.7% |
| 作業・書き出しを要する問題 | 12.1% |
※ 形式の分類はLEFYの判定基準によります(典型・オーソドックス問題=塾の教材で扱う典型解法がそのまま使える問題/初見思考力問題=その場で提示されるルールや見慣れない設定の読み取りが必要な問題)。1問に複数の形式が付く場合があります。
※ LEFY調べ(2026年7月)
全282問のうち7割が「塾で習う典型解法で解ける、典型・オーソドックスな問題」です。奇抜な出題は少なく、塾のカリキュラムを高い完成度で仕上げた努力がそのまま得点に直結します。ただし合格ラインで競う受験生はみな同じ条件なので、「典型問題を、初見の見た目に惑わされず、速く正確に処理し切れるか」の勝負になります。記述指定の4問(配点比重も大きい)で途中の考え方を書き切る力も必須です。
時系列の変化も見ておきましょう。全282問を前半・後半で半分に割って比較します。
洗足の算数はどう変わってきたか — 前半と直近の比較
全282問を以前の8回分138問・直近の9回分144問に分けて比較 / LEFY調べ
| 指標 | 以前の8回分 | 直近の9回分 |
|---|---|---|
| 速さ分野の比率 | 11.6% | 23.6% ↑ |
| 初見思考力問題の比率 | 21.0% | 27.8% ↑ |
| 典型・オーソドックス問題の比率 | 77.5% | 62.5% ↓ |
| 図形分野(平面+立体)の比率 | 27.5% | 18.1% ↓ |
※ LEFY調べ(2026年7月)
最大の変化は速さ分野の倍増(11.6%→23.6%)です。ダイヤグラムの大問は以前の8回で3問だったのに対し直近9回で11問と急増し、旅人算・流水算も増えています。純粋な典型一辺倒から、初見の設定に典型解法を当てはめさせる出題へ少しずつシフトしており、立体の切断や影の問題といった直近で登場した単元にも注意が必要です。
【第2回(2/2)の算数】第1回対策はそのまま通用する
2/1最難関組が流れ込む第2回についても、LEFYでは過去約5年分・全80問を同じ方法でタグ付けして分析しました。結論はシンプルで、大問構成(大問5題・小問16問)と試験時間・配点、そして「考え方」を書かせる記述指定が毎回きっちり4問という洗足の型は、第2回でもまったく同じです。速さが最大分野である点も共通で、第1回対策で作った土台はそのまま第2回に通用します。
対策
7割が典型・オーソドックス問題である以上、対策の土台は「塾テキストの重要単元を、抜けなく高い完成度で」に尽きます。特に頻出データが示すとおり、①食塩水(濃度)を含む割合と比、②ダイヤグラム・旅人算・流水算など「速さ×グラフ」、③仕事算・年令算などの主要特殊算の3系統は、どの年の過去問でも必ず問われる前提で仕上げてください。
時間配分は、大問1〜3の計算・小問集合10問を25分前後、大問4・5に残り25分を確保することを目安としましょう。記述指定の問題は部分点も期待できるため、答えが出し切れなくても考え方の途中までを書き残す訓練をしておきましょう。難易度が大きく振れる学校なので、難しい年の過去問で「解ける問題を選び切る」経験、易しい年の過去問で「取りこぼしゼロを目指す」経験の両方を積むのが効果的です。
国語の傾向と対策
傾向
例年、論説文・物語文の読解2題という構成です。設問は選択肢に加えて、50〜80字クラスの説明記述が各大問に複数含まれ、記述の配点比重が高いのが特徴。文章・設問とも女子難関校らしい骨のあるレベルです。
対策
「本文のどこを根拠に、どの要素を入れて書くか」を分解する記述練習を軸にしましょう。書いた答案は添削を受けて書き直すサイクルが不可欠です。選択肢問題も根拠照合の精度を上げ、記述に時間を残せる読解スピードを養ってください。
理科の傾向と対策
傾向
社会とあわせて60分・75点。物理・化学・生物・地学の4分野が大問1題ずつという構成で、計算問題がほぼすべての大問に散りばめられているのが洗足の理科の特徴です。実質30分弱で4大問を処理する時間あたりの負荷が重く、理科だけで30分を超えると社会が破綻します。
対策
4分野の計算パターン(力学・水溶液・天体など)を反復し、スピードを上げることが第一。過去問演習は必ず理社セットで60分を測り、時間の割り振りごと練習してください。
社会の傾向と対策
傾向
例年大問3題で、長めのリード文をもとに地理・歴史・公民を横断して問う形式。図表・統計資料の読み取りがほぼ毎回絡み、用語は漢字での解答が基本です。短文記述も含まれます。
対策
用語を漢字で正確に書ける状態まで仕上げた上で、統計・グラフを使った資料問題の演習を重ねましょう。リード文が長いため、設問から先に読んで必要箇所を拾う読み方も理社60分の時間管理に有効です。
【過去問の取り組み方】難易度の「振れ」に備える
洗足学園の過去問も、10年分を目安に取り組むことをおすすめします。出題構成(大問5題・記述4問)が安定している一方で難易度は年度により大きく振れるため、複数年分を通して「難しい年の戦い方」と「易しい年の戦い方」の両方を経験しておくことに価値があります。
第2回の受験も視野に入れる場合も、配点・形式・記述4問の型は第1回と共通なので第1回の過去問演習がそのまま土台になります。直前期には第2回の過去問にも触れて、形式と時間感覚を確認しておきましょう。理科・社会は必ず2科目セットで60分を測って演習し、自分なりの時間割(例: 理科28分→社会27分→見直し5分)を本番前に固めておきましょう。
過去問に取り組む時期や進め方の全般論は、以下の記事でご紹介しています。
【中学受験】過去問はいつから?何年分?取り組むコツや注意点も紹介!
神奈川の女子難関校の全体像は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【中学受験】神奈川の男子・女子御三家は?入試傾向や進学実績を紹介
LEFYの洗足学園対策
ここまで見てきたとおり、洗足学園の入試は「頻出単元の完成度」×「速さ・グラフへの対応力」×「記述と時間管理」の勝負です。7割が典型・オーソドックス問題だからこそ、頻出単元の小さな穴がそのまま合否に響きます。
LEFYのマンツーマン指導では、頻出の食塩水・速さ×グラフ・特殊算を軸にした穴の特定と集中演習、記述4問の添削、理社60分の時間配分設計まで含めて、洗足に特化したカリキュラムを個別に組みます。難易度が振れる学校だからこそ、過去問の使い方の設計が効きます。
まとめ
- 洗足学園は第1回(2/1・120名・約2.4倍)・第2回(2/2・100名・約2.0倍)の2回制。第2回は2/1最難関組が流れ込むため、本命なら第1回からの出願が原則です。
- LEFYの独自集計(第1回・約15年・282問)では、算数の7割が典型・オーソドックス問題。食塩水18問・ダイヤグラム14問など、塾テキスト直結の単元が上位を占めます。
- 直近は速さ分野が11.6%→23.6%に倍増。「速さ×グラフ」と食塩水が2本柱です。
- 第2回(全80問の独自集計)も大問構成・記述4問の「型」は第1回とまったく同じ。第1回対策がそのまま土台になり、直前期に第2回の過去問で形式に慣れれば十分です。
- 「考え方」を書かせる記述が毎回4問。合格最低点は得点率55〜61%と年度で大きく振れるため、難しい年・易しい年両方の過去問で戦い方を練習しましょう。
- 理科・社会はあわせて60分の独特な形式。必ずセットで時間を測り、自分の時間割を固めてから本番に臨みましょう。
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