「日食と月食、太陽・月・地球のならぶ順番がどっちだったか分からなくなる」
「皆既日食と金環日食のちがい、欠ける向きがいつもあいまい」
中学受験の理科で、日食・月食は月の満ち欠けと並んで天体分野の頻出テーマです。ところが、用語だけを覚えた子は「太陽-月-地球」と「太陽-地球-月」を逆にしてしまったり、ちょっと問題文が変わっただけで混乱してしまうことがあります。
この主な原因は、立体的な位置関係を図でイメージできていないことです。
「どの天体が、どの天体の“かげ”に入るか」に注目すれば、日食も月食も、種類や欠ける向きも、同じ考え方で説明できます。
本記事では、日食・月食の基本イメージから、両者のちがい(早見表)、なぜ毎月は起きないのか、皆既・部分・金環の区別、赤銅色の月、欠ける向き、入試の覚え方、確認クイズまでを塾講師の視点で順番に整理します。平面の図でイメージしづらい部分は、無料の3Dツールで太陽・地球・月を動かしながら確認してみましょう。
- 日食・月食とは何か(「天体がかくされる」イメージでおさえる)
- 日食と月食の天体の並び・見える範囲・時間のちがい(早見表)
- なぜ日食は新月、月食は満月のときに起こるのか
- 【最重要】なぜ食は毎月は起きないのか(月の通り道が約5°かたむいているため)
- 日食の3種類(皆既・部分・金環)と、金環日食が起こる理由
- 月食の2種類(皆既・部分)と、皆既月食が赤銅色に見える理由
- 日食と月食で、欠け始める向きがちがう理由(日食は西から、月食は東から)
- 入試の覚え方・定番のひっかけ対策と、理解度を確かめる確認クイズ
この記事を書いた人
服部貴哉
受験アドバイザー
神奈川大学附属中高→慶応義塾大学法学部→総合商社→LEFYにて中学受験および中高一貫校生をサポート。サピックス・グノーブルをはじめ大手集団塾生徒のサポート経験が豊富。
日食・月食とは?
細かい用語に入る前に、いちばん大事なイメージをおさえましょう。日食も月食も、「ある天体が、別の天体の“かげ”にかくされて欠けて見える」現象です。何が何をかくすのかがちがうだけです。
- 日食(にっしょく)…太陽が、手前に来た月にかくされる現象。並びは太陽-月-地球。(地球から見ると太陽が欠ける)
- 月食(げっしょく)…月が、地球のかげに入って暗くなる現象。並びは太陽-地球-月。(月そのものが欠ける)
日食と月食の天体の並び(太陽・月・地球の位置)
並び順を一発で覚えるコツ
- 「食べられる(=かくされる)天体」が名前になっていると覚えます。日食=太陽(日)がかくされる、月食=月がかくされる。かくすのは反対側の天体(日食は月、月食は地球)。名前を見れば、どちらが影に入るか即わかります。
日食と月食のちがい(早見表)
入試では、並び順だけでなく「見える地域」「時間の長さ」「欠ける向き」までセットで問われます。下の早見表で一気に整理しましょう。
| 日食 | 月食 | |
|---|---|---|
| 天体の並び | 太陽 − 月 − 地球 | 太陽 − 地球 − 月 |
| そのときの月 | 新月 | 満月 |
| 見える地域 | 月のかげが当たるせまい帯だけ | 月が出ている地球の夜側のどこでも |
| 続く時間 | 短い(皆既は長くても数分) | 長い(1時間以上続くことも) |
| 欠け始める向き | 西から | 東から |
| 種類 | 皆既・部分・金環 | 皆既・部分(金環はない) |
とくに差がつくのが「見える地域」と「時間」。日食は月という小さなかげがかすめるので、見える場所も時間も限られます。月食は地球という大きなかげに月が丸ごと入るので、月さえ見えていれば広い範囲で同時に、長く見られます。
なぜ日食は新月、月食は満月に起こるの?
ここは月の満ち欠けとつながる大事なところです。新月・満月といった月の形(満ち欠け)は「太陽・月・地球の位置関係」で決まります。
- 新月…月が太陽と同じ方向(太陽-月-地球)にあるとき。だから月が太陽の手前に来られる=日食が起こりうる。
- 満月…月が太陽の反対方向(太陽-地球-月)にあるとき。だから月が地球のかげに入りうる=月食が起こりうる。
つまり日食は新月の日、月食は満月の日にしか起こりません。月の満ち欠けがあいまいな場合は、先にそちらを固めると理解が早くなります。
太陽・地球・月の位置を動かすと、新月・満月が日食・月食のときの並びになる様子が見えます。
【最重要】なぜ食は毎月は起きないの?(月の通り道のかたむき)
ここが日食・月食でいちばん差がつく問いです。新月も満月も毎月あるのに、日食・月食は毎月は起こりません。なぜでしょう。
理由は、月が地球のまわりを回る通り道と、地球が太陽のまわりを回る通り道がつくる平らな面とが、ぴったり同じ平面ではないからです。月の通り道を白道(はくどう)、地球の通り道がつくる面を黄道面(こうどうめん)といい、この白道は黄道面に対して約5°かたむいています。そのため新月や満月のときでも、月はこの面より少し上か下にずれていることがほとんどで、太陽・月・地球がきれいに一直線にならず、かげが相手をはずしてしまうのです。
ふつうの月は食にならない/交点でそろう「食の季節」だけ食になる
月を動かして確かめると分かりやすい
- 「白道が5°傾いている」は、止まった図だと大人でもイメージしづらいところ。下の専用ツール「食の起こる条件」は操作がシンプルで、「ふつうの時期/食の季節」を切りかえるボタンと、月を動かすスライダー(自動で公転もできます)の2つだけ。月を回しながら、ふつうの時期は新月・満月でもかげが上下に外れること、食の季節だけ交点で一直線にそろって日食・月食になることを確かめられます。
「ふつうの時期/食の季節」を切りかえて月を動かすと、ふだんは影が地球を外れ、食の季節だけ一直線になる様子が分かります。
日食の3種類(皆既・部分・金環)
日食には皆既日食・部分日食・金環日食の3種類があります。ポイントは、偶然にも太陽と月は空での見かけの大きさがほぼ同じ(直径は太陽が月の約400倍、でも距離も太陽が約400倍遠い)ということ。だから月は太陽をちょうど隠せたり、隠しきれなかったりします。
- 皆既日食…太陽が月にすっぽり隠される。まわりにコロナが見え、昼でも暗くなる。
- 部分日食…太陽の一部だけが欠ける。皆既や金環の周辺地域で見える。
- 金環日食…月が小さく見えて太陽を隠しきれず、ふちがリング状に残る。
金環日食が起こるのはなぜ?(月の距離)
月が地球をまわる軌道は少しだけ楕円(だえん)です。だから月は地球に近いとき大きく、遠いとき小さく見えます。月が遠くて見かけが太陽より小さいと、太陽を隠しきれず金環日食になります。
皆既日食と金環日食のちがい(月の見かけの大きさ)
月食の2種類(皆既・部分)と「赤銅色」の月
月食には皆既月食・部分月食があります(金環月食はありません。地球のかげは月よりずっと大きく、月を隠しきれないことがないからです)。
皆既月食の進み方(満月 → 欠ける → 赤銅色)
おもしろいのは、皆既月食でも月は真っ暗にならず、赤黒く(赤銅色=しゃくどういろ)見えること。これは夕焼けと同じ原理です。太陽の光が地球の大気を通るときに曲げられ(屈折し)、青い光は散らばって弱まり、赤い光だけが地球のかげの中まで回りこんで月を照らすからです。
皆既月食で月が「赤銅色」に見えるしくみ
なぜ皆既月食の月は赤いの?
- 地球の空気がレンズのように太陽の光を曲げ、かげの中に届けます。そのとき残るのは赤い光(夕焼けが赤いのと同じ)。だから皆既月食の月は赤銅色に見えます。「赤い月=皆既月食」とセットで覚えておくと、写真を使った問題でも迷いません。
欠ける向きのちがい(日食は西から、月食は東から)
「どちら側から欠け始めるか」も入試の定番です。カギは月が地球のまわりを西から東へ動いていること(同じ時刻で見ると月は1日に約12°、東へずれていきます)。
- 日食…月が西から東へ動いて太陽に重なるので、太陽は西側から欠け始める。
- 月食…月が西から東へ進んで地球のかげに入るので、月は先に進む東側から欠け始める。
欠け始める向き(南の空を見上げたとき)
3Dツールで「立体の位置関係」から理解しよう
日食・月食でつまずく最大の原因は、宇宙という立体空間での位置関係を、平面の図だけでイメージしようとすることです。とくに「白道が5°傾いているから毎月は起きない」は、紙の上だと大人でもピンときません。
そこでLEFYでは、中学受験の天体分野を動かして学べる無料教材を公開しています。「日食・月食」ページ(3D)では、次のことができます。
- 太陽・地球・月を動かして、太陽-月-地球(日食)と太陽-地球-月(月食)の並びを立体で確認できる
- 月の軌道(白道)のかたむきを見ながら、新月でもかげが地球をはずれる様子がわかる
- 地球や月の本影・半影を見て、皆既・部分のちがいがイメージできる
「なぜ毎月起きないのか」も、図を動かして見れば理解できます。インストール不要・登録不要で、スマホでもパソコンでもすぐ使えます。
理解度チェック!確認クイズ
ここまでの内容が身についたか、クイズで確認しましょう。答えはタップ(クリック)で開きます。
日食のときの天体の並びは?また、そのとき月は新月・満月のどちら?
A. 太陽 − 月 − 地球/新月。月が太陽の手前に来て太陽をかくします。
月食のときの天体の並びは?また、そのとき月は新月・満月のどちら?
A. 太陽 − 地球 − 月/満月。月が地球のかげに入って暗くなります。
新月や満月は毎月あるのに、日食・月食が毎月起きないのはなぜ?
A. 月の通り道(白道)が地球の通り道の面(黄道面)に対して約5°かたむいているから。新月・満月でも月が面の上下にずれていることが多く、太陽・月・地球が一直線にならないためです。
金環日食が起こるのはどんなとき?
A. 月が地球から遠い位置にあって見かけが小さく、太陽を隠しきれないとき。太陽のふちがリング状に残ります。
皆既月食のとき、月が赤黒く(赤銅色に)見えるのはなぜ?
A. 地球の大気で曲げられた赤い光がかげの中に回りこんで月を照らすから。夕焼けと同じ原理です。
日食と月食では、見える地域が広いのはどっち?
A. 月食。月さえ出ていれば地球の夜側の広い範囲で見られます。日食は月のかげが当たるせまい帯だけです。
日食のとき、太陽はどちら側(東・西)から欠け始める?
A. 西側から。月が西から東へ動いて太陽に重なるためです。月食は反対に、月の東側から欠けます。
日食・月食の覚え方・つまずき対策
- 名前で並びを思い出す:「食=かくされる天体」。日食は太陽(日)、月食は月がかくされる。かくすのは反対側の天体。
- 月の満ち欠けとセット:日食=新月、月食=満月。月の満ち欠けの位置関係から導く。
- 毎月起きない理由は「白道5°」。記述で問われる定番。「一直線になるのは交点付近に新月・満月が重なったときだけ」と書けるように。
- 赤い月=皆既月食、リング=金環日食。写真・図の判別問題はこの2点で迷わない。
現役塾講師目線のポイント
- 日食・月食は「用語の暗記」より「立体の位置関係」。並び・新月/満月・かげの向きを図で描ける子は、種類や欠ける向きの応用にも崩れません。
- 「なぜ毎月起きないのか」は最頻出の記述。白道が黄道に約5°傾いていることを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 立体がイメージできない子は、3Dで一度「腑に落とす」のが最短。納得してから用語を覚えると、定着が段違いです。
まとめ
- 日食=太陽-月-地球(新月)、月食=太陽-地球-月(満月)。かくされる天体が名前になっている。
- 食が毎月起きないのは、白道が黄道に約5°傾いているから。一直線になるのは交点付近のときだけ。
- 日食は皆既・部分・金環。金環は月が遠くて太陽を隠しきれないとき。
- 月食は皆既・部分。皆既月食の月は赤銅色(夕焼けと同じ原理)。
- 欠ける向きは日食=西から/月食=東から。見える範囲・時間は月食のほうが広く・長い。
日食・月食は「覚える」より「立体で理解する」ほうが、並びや種類が変わる応用問題に強くなります。日食・月食の3Dツールも使いながら、得点源にしていきましょう。
よくある質問
日食と月食のちがいは何ですか?
日食は太陽-月-地球の順に並び(新月)、月が太陽をかくす現象です。月食は太陽-地球-月の順に並び(満月)、月が地球のかげに入って暗くなる現象です。「かくされる天体」が名前(日=太陽/月)になっていると覚えると、並び順を間違えません。
新月・満月は毎月あるのに、なぜ日食・月食は毎月起きないのですか?
月の通り道(白道)が、地球の通り道の面(黄道面)に対して約5°かたむいているからです。そのため新月・満月でも月は面の上下に少しずれていることが多く、太陽・月・地球が一直線になりません。月が黄道面を横切る点(交点)の近くに新月・満月が重なったときだけ食が起こります。
金環日食と皆既日食は何がちがうのですか?
月が地球をまわる軌道は少し楕円なので、月は近いとき大きく、遠いとき小さく見えます。月が近くて太陽を隠しきれると皆既日食、月が遠くて見かけが太陽より小さく、ふちがリング状に残ると金環日食になります。
皆既月食のとき、月が赤く見えるのはなぜですか?
太陽の光が地球の大気を通るときに曲げられ(屈折し)、青い光は散らばって弱まり、赤い光だけが地球のかげの中に回りこんで月を照らすからです。夕焼けが赤く見えるのと同じ原理で、皆既月食の月は赤黒い赤銅色に見えます。
日食と月食は、どちらが広い範囲で見られますか?
月食のほうが広い範囲で見られます。月食は地球という大きなかげに月が入るので、月が出ている地球の夜側ならどこでも、長い時間見られます。日食は月のかげが当たるせまい帯の地域だけで、短時間しか見られません。
日食・月食が苦手な子に、家庭でできるサポートはありますか?
まず「日食=新月・太陽-月-地球」「月食=満月・太陽-地球-月」を月の満ち欠けとセットで結びつけましょう。そのうえで、日食・月食の3Dツールで太陽・地球・月を動かし、白道のかたむきとかげの位置を立体で確認するのがおすすめです。立体で納得できると、用語の暗記も楽になります。
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