逗子開成中学校は、神奈川県逗子市にある県内最古の私立男子校です。1903年に東京の開成中学校の分校として設立された歴史を持ち、逗子湾でのヨット帆走や遠泳に代表される海洋教育で全国的に知られています。近年は進学実績も伸び、神奈川男子の人気校として受験者を大きく集めています。
入試は1次(2/1)・2次(2/3)・3次(2/5)の3回。学校公表のデータを見ると、1次の実質倍率が約1.8倍なのに対し2次・3次は4倍超、合格最低点も1次の約57%に対し2次は約65%と、回によって難易度が大きく違う入試です。
本記事では、LEFYが独自に集計した1次入試・過去約15年分・全287問の算数出題データに加え、2次・3次入試(過去約5年分・計180問)の分析も交えながら、逗子開成の入試傾向と対策をご紹介します。
- 逗子開成の基本情報(偏差値・入試日程・校風・進学実績)
- 学校公表データで見る1次・2次・3次の倍率と合格最低点の違い、回別の使い分け
- 【LEFY独自集計】算数・1次287問の出題分野の内訳と頻出単元
- 最大分野は「計算」— 毎年大問1に計算3問(うち1問は工夫が必須)が置かれる構成
- 直近は初見思考力問題が2割強→3割半に増加。周期算・ニュートン算が近年の常連という変化
- 【LEFY独自集計】2次・3次の算数(計180問)の分析 — 出題の「型」は1次と共通、難しさの正体は受験層
- 国語・理科・社会の傾向と、国算150点傾斜の配点を踏まえた戦い方
この記事を書いた人
山本航士
受験アドバイザー
聖光学院中高→慶應義塾大学経済学部→コンサルティングファーム→LEFYにて難関中学受験および中高一貫校生をサポート
逗子開成の基本情報(偏差値・日程・進学実績)
逗子開成中学校 基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県逗子市(JR横須賀線 逗子駅から徒歩約10分、京急 逗子・葉山駅から徒歩約8分) |
| 種別 | 男子校・中高一貫 |
| 入試日程 | 1次 2月1日 / 2次 2月3日 / 3次 2月5日(いずれも4科)+帰国生入試(12月) |
| 募集人数 | 250名(1次150名・2次50名・3次50名) |
| 実質倍率 | 1次 約1.8倍 / 2次 約4.1倍 / 3次 約4.0倍(2026年) |
| 偏差値の目安 | 四谷大塚80%偏差値で1次58・2次59・3次60 |
※ 偏差値は模試会社によって基準が異なります(SAPIXは四谷大塚より5〜6ポイント低く、首都圏模試は5〜10ポイント高く出る傾向)。出願判断は通っている塾の最新の合格判定でご確認ください。
校訓は「開物成務」。逗子湾を望むキャンパスでのヨット製作・帆走実習や遠泳など、海を活かした体験型教育が最大の特色です。進学実績は2026年に東京大学8名のほか、京都大学・一橋大学・東京科学大学などの国公立、早慶にも厚く合格者を出しており、1学年約270名の規模を考えると堅実に伸びている学校です。
https://www.inter-edu.com/univ/2026/schools/81/jisseki
【全体傾向と対策】回によって「別の入試」になる
各科目の配点と時間は以下のとおりです(各回共通)。
逗子開成 入試の配点と試験時間
| 科目 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|
| 国語 | 150点 | 50分 |
| 算数 | 150点 | 50分 |
| 理科 | 100点 | 40分 |
| 社会 | 100点 | 40分 |
| 合計 | 500点 | 180分 |
国算各150点・理社各100点の国算傾斜型。500点満点の3割を占める算数の出来が、合否に最も大きく響く配点です。そして学校が公表している回別の入試結果を見ると、この学校の「回による違い」がはっきり分かります。
回別の入試結果(2026年度・学校公表)
| 回 | 実質倍率 | 合格最低点(500点満点) | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 1次(2/1) | 1.78倍 | 284点 | 約57% |
| 2次(2/3) | 4.12倍 | 323点 | 約65% |
| 3次(2/5) | 4.04倍 | 297点 | 約59% |
※ 逗子開成公表の2026年度入試結果より。合格最低点は年度により変動します(2025年度は290点/311点/317点)。
1次は倍率約1.8倍・合格最低点57%前後ですが、2次・3次は4倍超の狭き門になります。2次・3次には2/1・2/2で難関校を受けた層が流れ込むためで、特に2次は合格最低点も約65%まで跳ね上がります。逗子開成が本命なら1次で決めにいくのが大原則です。2次・3次を使う場合は「難関併願層との競争になる」前提で得点力を一段上げておく必要があります。
算数の傾向と対策
【傾向】データで見る逗子開成の算数
試験は50分・150点。大問5題・小問18問前後で、大問1が計算3問、大問2が小問集合6問、大問3〜5が各3問のテーマ型大問という構成が長年ほぼ固定されています。
LEFYでは、逗子開成(1次)の算数の過去問約15年分(全287問・小問単位)を、独自の単元分類(10分野・72単元)で1問ずつタグ付けして集計しました。まず出題分野の内訳です。
逗子開成 算数の出題分野の内訳(1次・全287問)
過去約15年分の入試(小問単位) / LEFY調べ
※ 複合問題は主となる単元で集計。LEFY調べ(2026年7月)
最大分野はなんと「計算」の17.4%。毎年大問1に計算が3問置かれ、そのうち1問はほぼ必ず、分配法則や部分分数分解などの「計算の工夫」を知らないと時間内に処理できない問題です(工夫系の計算は過去約15年で13問)。150点満点の入試で計算がこれだけの割合を占める学校は珍しく、計算力がそのまま合否に直結する出題構造です。
単元レベルでは、後半のテーマ大問の「常連」が見えてきます。
逗子開成 算数の頻出単元 TOP10
1次・過去約15年分・全287問のうち、主単元としてタグ付けされた問題数 / LEFY調べ
| 順位 | 単元 | 問題数 |
|---|---|---|
| 1 | 並べ方(順列) | 19問 |
| 2 | 水量の変化(水そうとグラフ) | 15問 |
| 3 | 約束記号(その場で定義される記号・操作) | 13問 |
| 3 | 周期算 | 13問 |
| 5 | 面積(複合図形の求積) | 11問 |
| 6 | 図形の移動 | 10問 |
| 7 | 場合の数の応用 | 9問 |
| 7 | 平均算 | 9問 |
| 7 | ニュートン算 | 9問 |
| 10 | 素因数分解 | 8問 |
※ このほか、大問1・2で出題される計算分野の小問(四則計算22問・逆算14問・計算のくふう13問など)が計50問。LEFY調べ(2026年7月)
単元1位は並べ方(順列)の19問。カードやサイコロにその年だけのルールを付けて数え上げさせる大問が定番で、3位の約束記号(「2番目に小さい約数を<x>と表す」など、その場で定義される記号)とあわせて、「初見のルールを読み、書き出して数える」系統が後半大問の柱です。水量の変化・周期算・ニュートン算といったグラフ・変化系の大問も繰り返し出ています。
出題形式の内訳と、時系列の変化もあわせて見てみましょう。
逗子開成 算数の出題形式の内訳(全287問)
1次・過去約15年分の算数を小問単位で分類(1問に複数タグあり) / LEFY調べ
| 出題形式 | 該当する問題の比率 |
|---|---|
| 典型・オーソドックス問題 | 69.3% |
| 初見思考力問題 | 29.6% |
| 作業・書き出しを要する問題 | 21.3% |
| グラフ・図の読み取り | 13.2% |
| 考え方・求め方の記述説明 | 6.3% |
※ 形式の分類はLEFYの判定基準によります(典型・オーソドックス問題=塾の教材で扱う典型解法がそのまま使える問題/初見思考力問題=その場で提示されるルールや見慣れない設定の読み取りが必要な問題)。1問に複数の形式が付く場合があります。LEFY調べ(2026年7月)
【逗子開成の算数はどう変わってきたか】前半と直近の比較
全287問を以前の8回分143問・直近の8回分144問に分けて比較 / LEFY調べ
| 指標 | 以前の8回分 | 直近の8回分 |
|---|---|---|
| 初見思考力問題の比率 | 23.8% | 35.4% ↑ |
| 典型・オーソドックス問題の比率 | 74.1% | 64.6% ↓ |
| 規則性分野の比率 | 5.6% | 11.8% ↑ |
| 図形分野(平面+立体)の比率 | 32.2% | 20.1% ↓ |
※ LEFY調べ(2026年7月)
ベースは典型・オーソドックス問題が7割の「標準重視」ですが、直近8回で初見思考力問題が2割強から3割半へ増加しています。単元でも周期算が2問→11問、ニュートン算が0問→9問と、初見の設定に典型解法を当てはめて処理する大問が近年の常連になりました。図形の比重は下がり、「数・規則・場合の数」の学校という色が年々濃くなっています。なお「考え方も書きなさい」という記述指定は、ほぼ毎年1問(多くは最終問題)です。
【2次・3次の算数】1次対策はそのまま通用する
倍率4倍超になる2次・3次についても、LEFYではそれぞれ過去約5年分・各90問(計180問)を同じ方法でタグ付けして分析しました。結論はシンプルで、大問構成(計算3問+小問集合6問+テーマ大問3つ=小問18問)と試験時間・配点、毎回きっちり1問入る記述指定まで、出題の「型」は1次・2次・3次で完全に共通です。大問1に工夫を織り込んだ計算が混ざる点も同様で(毎年ではないものの半分前後の年で出題)、ニュートン算・水量の変化・約束記号といった1次の定番単元は2次・3次でも繰り返し出題されています。1次対策で作る型が、そのまま全回に通用します。
大事なのは、分析した範囲では「2次・3次だから問題が急に難しくなる」という事実は見られないことです(むしろ典型・オーソドックスな出題が中心です)。倍率4倍・合格最低点59〜65%の2次・3次が厳しいのは、問題ではなく、2/1・2/2に難関校を受けた層が競争相手になるから。典型問題での取りこぼしがそのまま不合格に直結する、「ミスが許されない入試」だと言えます。2次・3次でのリベンジを視野に入れるなら、新しい対策を増やすより1次と同じ頻出系統の精度と処理速度を一段上げるのが正しい準備です。
対策
第一に、計算対策を怠らないことです。大問1の計算3問(150点満点中の大きな得点源)には毎年1問、分配法則・平方差・部分分数分解などの工夫系が混ざります。日々の計算練習に工夫系の計算を意識的に組み込み、大問1を5〜6分で全問正解で抜けるのを目標にしてください。
第二に、頻出データに基づく強化ポイントは①場合の数(順列・数え上げ)と約束記号など「ルールを読んで書き出す」系統、②水量の変化・周期算・ニュートン算などの変化・グラフ系、③平面図形の求積の3つ。合格最低点57%前後(1次)の入試なので、難問を追うより、この頻出3系統と前半9問(計算3+小問6)の完成度を上げるのが最短ルートです。時間配分は大問1〜2を20分以内、後半3大問に30分が目安です。
国語の傾向と対策
傾向
論説文・文学的文章の読解を軸に漢字・知識を合わせた構成で、文章量は多め。設問は選択肢・書き抜きに加えて記述が数問含まれ、字数指定のある記述と字数制限のない記述の両方が出題されます。
対策
長めの文章を時間内に読み切るスピードと、根拠に基づいて選択肢を絞る精度を鍛えましょう。記述は要素を分解して書く練習と添削のサイクルが有効です。配点150点と重いので、漢字・知識の取りこぼしも禁物です。
理科の傾向と対策
傾向
40分・100点。物理・化学・生物・地学の4分野から大問1題ずつという構成が長年崩れていない学校で、ほぼすべての大問に実験装置の図・表・グラフが付き、データを読み取って考察させるスタイルです。解答は選択肢と語句記入が主体で、作図・グラフ描画が混ざる年もあります。海や自然に関わる題材が使われることもあります。
対策
計算を伴う単元を中心に演習量を確保し、40分で大問4つ=1題10分の時間感覚を過去問で養いましょう。毎年4分野が1題ずつ出る以上、苦手分野が1つあるとそのまま大問1つぶんの失点になります。
社会の傾向と対策
傾向
40分・100点。ひとつのテーマを掘り下げる長い文章を読ませ、そこから地理・歴史・公民へ問いを広げていく形式が中心で、用語は漢字指定、字数制限のない記述も出題されます。年度により大問構成が変わることがあるため、形式の違いに動じない基礎力が重要です。
対策
用語を漢字で正確に書ける状態まで仕上げ、資料・統計の読み取り演習を重ねましょう。海洋・防災など学校の特色に関わる社会的テーマに日頃から触れておくことも、リード文への対応力につながります。
過去問の取り組み方
逗子開成の過去問も、10年分を目安に取り組むことをおすすめします。大問構成(計算3+小問6+テーマ大問3つ)が固定的なので、過去問演習がそのまま時間配分の訓練になります。
採点の際は、前半9問(計算・小問集合)の正答率をまずチェックしてください。1次の合格ライン57%前後は「前半をほぼ落とさず、後半の大問で各(1)(2)を拾う」得点構成で届きます。2次・3次の受験も視野に入れる場合は、合格最低点が上がる分、後半大問の(3)まで解き切る力が必要になります。大問構成は全回共通なので1次の過去問演習がそのまま土台になりますが、2次・3次は典型問題の精度勝負になるため、直前期には2次・3次の過去問でノーミスの練習をしておきましょう。
過去問に取り組む時期や進め方の全般論は、以下の記事でご紹介しています。
【中学受験】過去問はいつから?何年分?取り組むコツや注意点も紹介!
なお、神奈川男子の受験では「2/1に逗子開成1次を確保し、2/2以降に聖光・栄光・浅野へ挑戦する」「2/1・2/2の結果を受けて2次・3次でリベンジする」など、御三家との組み合わせが定番です。併願戦略は以下の記事もあわせてご覧ください。
【中学受験】聖光・栄光・浅野の併願と過去問対策!併願可能?どの学校の対策に力をいれる?
LEFYの逗子開成対策
ここまで見てきたとおり、逗子開成の入試は「計算の完成度」×「頻出系統(数え上げ・変化グラフ・求積)の対策」×「回別戦略」で決まります。特に1次と2次・3次では求められる得点力が大きく違うため、どの回で勝負するかの設計が重要です。
LEFYのマンツーマン指導では、工夫系計算の特訓、頻出の場合の数・約束記号・変化グラフ系の演習、そして併願全体を踏まえた回別の受験設計まで含めて、逗子開成に特化した学習計画を個別に組みます。
まとめ
- 逗子開成は1次(2/1・150名・約1.8倍)・2次(2/3・50名・約4.1倍)・3次(2/5・50名・約4.0倍)の3回入試。本命なら1次で決めるのが大原則です。
- 配点は国算各150点・理社各100点の500点満点。合格最低点は1次で57%前後、2次は65%前後まで上がります(学校公表・年度により変動)。
- LEFYの独自集計(1次・約15年・287問)では、最大分野は計算の17.4%。毎年大問1の計算3問に1問は「工夫」が必須で、計算力が合否に直結します。
- 頻出単元は並べ方(順列)・水量の変化・約束記号・周期算。直近8回で初見思考力問題が23.8%→35.4%に増加し、「数・規則・場合の数」の色が濃くなっています。
- 2次・3次(計180問の独自集計)も出題の「型」・計算重視は1次と完全に共通で、問題が急に難しくなるわけではありません。難しさの正体は「問題」ではなく「競争相手のレベル」です。
- 過去問は10年分を目安に、前半9問の正答率と時間配分(前半20分以内)を軸に演習しましょう。
横浜駅周辺で中学受験の個別指導をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。個別指導塾レフィーでは、逗子開成をはじめとする難関中学受験に向けて、お子さまの現状に合わせた学習計画と併願戦略をご提案いたします。