中学受験の勉強法

【中学受験】理科の浮力と計算を超わかりやすく解説!

浮力の大きさは、その物体がいる場所に本来ならあったはずの液体の重さと同じです。水は1cm³が1gなので、水の中に入っている部分が100cm³なら、そこにあったはずの水は100g。浮力も100g分になります。

この考え方を使って学習すれば、そこまで難しくはありませんが、多くの受験生がつまずく単元です。

本記事では、いくつかの代表的な問題例を取り上げ、解説していきます。

この記事でわかること

  • 浮力の正体(そこにあったはずの液体の重さ)と、その出し方
  • どの問題にも使える2ステップ(力の矢印を書く、上と下をつり合わせる)
  • 全部沈めたとき・半分だけ沈めたときの、ばねばかりの目盛りの出し方
  • 浮いて止まった木片や氷が、どこまで沈むかの求め方
  • 食塩水や油に入れたときの浮力の変わり方
  • 底についたときにはたらく4つの力と、その分け方
  • 水そうをのせた台ばかりの目盛りの読み方
  • 氷がとけたあとに水面が変わるかどうかの考え方
  • 理解度を確かめる確認クイズと、つまずきやすいところ

浮力の正体は「そこにあったはずの液体の重さ」

水そうの中の、ある場所を思いうかべましょう。そこに物体が入っていなければ、その場所は水で埋まっていたはずです。物体が入ると、そこにあった水はどきます。このどいた水の重さと同じ大きさの力で、物体は下から押し上げられます。これが浮力の正体です。

つまり浮力を出す作業は、「物体の水中にある部分を、同じ形の水に置きかえたら何gか」を求めることと同じです。水は1cm³が1gなので、水の中に入っている部分の体積をcm³で数えれば、その数字がそのまま浮力のg数になります。

図1 浮力の正体(物体があった場所を液体に置きかえて重さを考える)

① 100cm³の物体を沈める 100cm³ この場所にあった水は、どいている ② 同じ場所を水で埋めると 水 100cm³ = 100g この100gが、そのまま浮力100g分
物体がいる場所に、本来ならあったはずの水の重さを考えます。100cm³ぶんの水は100gなので、浮力は100g分です。水そうからあふれたかどうか、水そうが大きいか小さいかは関係ありません。置きかえる液体が食塩水なら、その食塩水の重さで考えます。

気をつけたいのは、浮力の大きさを決めるのが重さではなく体積だという点です。同じ100cm³なら、200gの物体でも400gの物体でも、そこにあったはずの水は100g。浮力もどちらも100g分になります。

浮力の問題は、2ステップで解ける

浮力の問題に出てくる力は、多くても4つです。下向きは物体の重さの1つ、上向きは浮力・ばねばかりが支える力・底が押し上げる力の3つ。装置を見て、この中のどれがはたらいているかを図に書きこみます。

図2 力の矢印の書き方(この4本しか出てこない)

物体 ① 重さ(下向き・かならずある) ② 浮力(液体に入っていれば) ③ ばねばかり(つるしていれば) ④ 底の力 (底についていれば) ② + ③ + ④ = ①
下向きの矢印は物体の重さだけ。上向きは、液体に入っていれば浮力、ばねばかりでつるしていればその力、底についていれば底が押し上げる力です。装置に合わせて、使わない矢印は書きません。残った矢印で「上向きの合計=下向きの合計」を立てます。この記事の図はすべて、赤が重さ、緑が浮力、青がばねばかり、むらさきが底で統一しています。

手順にすると次のとおりです。慣れるまでは、かならず紙に矢印を書いてから式を立てましょう。

  1. 力の矢印を全部書く。
  2. 上向きの力の合計=下向きの力の合計となる。浮力の数は、水中に入った体積×液体1cm³の重さで出します。

ここから先は、この2ステップを場面ごとに当てはめていきます。図の色は最後までそろえてあるので、同じ形の図が何度も出てきます。

【型①】ばねばかりで全部沈めたとき

重さ300g、体積100cm³の物体を、ばねばかりにつるして水に全部沈めます。ばねばかりは何gを示すでしょうか。

まず手順①。はたらいている力は、下向きの重さ300g、上向きの浮力、上向きのばねばかりの3本です。底にはついていないので、むらさきの矢印は書きません。そこにあったはずの水は100cm³ぶん、つまり100g。浮力は100g分と決まります。

図3 全部沈めたとき(300g・100cm³)

水面 300g・100cm³ ばねばかり ?g 浮力 100g分 重さ 300g ? + 100 = 300 なので ばねばかりは 200g
水中に入った体積が100cm³なので、そこにあったはずの水は100g。浮力は100g分です。上向きの合計と下向きの合計を等しいとおくと、ばねばかりは200gと決まります。物体そのものが軽くなったのではありません。300gのうち100g分を水が受け持っています。

式にまとめるとばねばかりの目盛り+ 浮力 = 物体の重さです。

つまり
ばねばかりが示す重さ+100g=300g
なので、200gとなります。

【型②】半分だけ沈めたとき

同じ物体を、体積の半分まで水に入れた場合はどうでしょうか。矢印の本数は型①と同じ3本で、変わるのは浮力の数だけです。

水に入っているのは100cm³の半分の50cm³。そこにあったはずの水は50gなので、浮力は50g分になります。

図4 半分だけ沈めたとき(水中は50cm³)

水面 50cm³ 空気中 50cm³ 水中 ばねばかり ?g 浮力 50g分 重さ 300g ? + 50 = 300 なので ばねばかりは 250g
水に入っているのは50cm³なので、そこにあったはずの水は50g。浮力は50g分で、ばねばかりは250gになります。物体全体の100cm³をそのまま使ってしまう取りちがえが多いところです。

つまり
ばねばかりが示す重さ+50g=300g
なので、250gとなります。

【型③】浮いて止まったとき

ここからは、水に浮くもので見てみます。60g・100cm³の木片を、ばねばかりを使わずにそのまま水に浮かべます。青い矢印がなくなり、残るのは重さと浮力の2本です。

矢印が2本なので、式は浮力=物体の重さになります。この式から逆算すると、水の中に入っている体積が決まります。

図5 浮いて止まったとき(60g・100cm³の木片)

水面 4割が空気中 6割が水中 浮力 60g分 重さ 60g 浮力 = 60g なので そこにあったはずの水は60g、水中は60cm³
そこにあったはずの水が60gになる体積は60cm³。100cm³のうち60cm³が水中で、残りの4割が水面より上に出ます。

氷でも考え方は変わりません。180g・200cm³の氷なら、そこにあったはずの水が180gになる体積、つまり180cm³が水中に入ります。200cm³のうち180cm³なので、9割が水中に入り、水面から出ているのは1割です。

そもそも浮くか沈むかを決めるのは、重さを体積で割った1cm³あたりの重さです。水の1gより大きければ沈み、小さければ浮きます。300g・100cm³なら1cm³が3gで沈み、60g・100cm³なら0.6gで浮きます。全体の重さだけでは判断できません。

【型④】食塩水や油に入れたとき

液体が変わっても、矢印の書き方も式も同じです。変わるのは置きかえる相手だけ。そこにあったはずの食塩水、そこにあったはずの油の重さを出せば、それが浮力になります。

300g・100cm³の物体を、水、1cm³が1.2gの食塩水、1cm³が0.8gの油に、それぞれ全部沈めて比べます。

図6 液体を変えると、ばねばかりの目盛りも変わる(300g・100cm³を全部沈めた場合)

水 1cm³が1g ばねばかり 200g 300g 100cm³ 浮力 100g分 300 − 100 = 200g 食塩水 1cm³が1.2g ばねばかり 180g 300g 100cm³ 浮力 120g分 300 − 120 = 180g 油 1cm³が0.8g ばねばかり 220g 300g 100cm³ 浮力 80g分 300 − 80 = 220g
3つとも同じ物体で、水中に入った体積も100cm³で同じです。ちがうのは液体1cm³の重さだけ。そこにあったはずの液体は100g、120g、80gとなり、それが浮力になります。ばねばかりが示す数は、300gからその浮力を引いた残りです。同じ物体でも、液体しだいで40gの差が出ます。

浮いている物の沈み方も同じ理由で変わります。60gの木片を油に浮かべるとき、そこにあったはずの油が60gになるには、60÷0.8=75cm³ぶん沈まなければなりません。水なら60cm³で足りたので、油のほうが深く沈んだ状態で浮きます。

【型⑤】底についたとき

物体を下げ続けて水そうの底につくと、むらさきの矢印が増えます。上向きが3本になりますが、式の立て方は変わりません。

ここからは320g・120cm³の物体で見ます。ばねばかりが80gを示しているとします。浮力は全部沈んでいるので120g分。上向きの合計が下向きの320gと等しくなるように、底が押し上げる力を求めます。

図7 底についたとき(320g・120cm³、ばねばかり80g)

底 320g・120cm³ ばねばかり 80g 浮力 120g分 重さ 320g 底の力 ? 80 + 120 + ? = 320 なので 底の力は 120g分
ばねばかりをさらに下げていくと目盛りは0に近づきますが、減った分をそのまま底が受け持つので、4本の矢印のつり合いはいつでも成り立ちます。

つまり
80g+120g+底の力=320g
なので、底の力は120g分となります。

水そうをのせた台ばかりも、同じ考え方で読める

入試でよく出るのが、ばねばかりと台ばかりを同時に読ませる問題です。ここでは見る範囲を広げて、水そう全体をひとまとめにして考えます。

水が物体を上向きに押した分だけ、物体も水を下向きに押し返しています。そのため上下2つのはかりが支える力の合計は、いつでも全部の重さと同じになります。

図8 ばねばかりと台ばかりの合計は、全部の重さと同じ

ばねばかり 200g 320g 120cm³ 水そうと水 あわせて 1400g 台ばかり 1520g 200 + 1520 = 1720 全部の重さ 1400 + 320 = 1720
全体は1400+320=1720g。物体を全部沈めると浮力は120g分なので、ばねばかりは320−120=200gを示します。台ばかりはその残りで1720−200=1520gです。ばねばかりが減った分と台ばかりが増えた分は、必ず同じ大きさになります。

底についている場合も同じです。図7のようにばねばかりが80gなら、台ばかりは1720−80=1640gになります。どちらか一方の目盛りが分かれば、もう一方はこの引き算で出せます。

氷がとけると、水面は上がるのか

ここだけは力のつり合いではなく、体積の引き算で考えます。氷が水中で占めていた体積と、とけてできた水の体積を比べます。

図9 とけたあとに水面が変わるかどうか

氷だけ(180g) 水中に180cm³ → 水180cm³ が埋める 180cm³ → 180cm³ 水面は変わらない 金属入りの氷(450g+30g) 水中に480cm³ → 水450+金属10 =460cm³ 480cm³ → 460cm³ 20cm³ぶん水面が下がる
左は、180gの氷が浮いている間に180cm³ぶんの場所を水からもらっていて、とけると180g、つまり180cm³の水になります。空いた分をちょうど埋めるので水面は動きません。右は、氷450gと金属30gの合計480gを支えるため、水中の体積が480cm³。とけて金属が底に沈むと、水450cm³と金属10cm³で460cm³になり、20cm³ぶん下がります。

3Dで動かして確かめる

物体を上げ下げしながら目盛りを見ると、沈み始めてから全部入るまでは変わり続け、全部入ったあとは止まる、という動きが目で分かります。

LEFYが無料で公開している力学実験室の浮力では、この記事で使った数字をそのまま動かせます。半分だけ沈める、食塩水や油に入れかえる、木片を浮かべる、氷をとかす、台ばかりの目盛りを読むところまで、22問を用意しました。登録は要りません。

浮力でつまずきやすい4つのところ

  • 図を書かずに数字だけを動かす。矢印を書けば、上向きと下向きに何があるかが目で分かります。苦手な子ほど、まず図に手を動かしましょう。
  • 全体の体積と、水中に入った体積を取りちがえる。浮いている物や、半分だけ沈めた物では、この2つが別の数になります。計算の1行目に「水中◯cm³」と書くようにすると防げます。
  • 重いほど浮力が大きいと思ってしまう。浮力を決めるのは体積です。同じ100cm³なら、200gでも400gでも浮力は100g分でそろいます。
  • 深いほど浮力が大きいと思ってしまう。全部沈んでからは、どこまで下げても物体がいる場所の大きさが同じです。深さで変わるのは水圧であって、浮力ではありません。

理解度チェック!確認クイズ

ここまでの内容が身についたか、クイズで確認しましょう。答えはタップ(クリック)で開きます。

浮力の大きさは、何で決まる?

A. その物体がいる場所に、本来ならあったはずの液体の重さです。水なら1cm³が1gなので、液体の中に入っている部分の体積(cm³)がそのまま浮力(g分)になります。物体そのものの重さは関係ありません。

浮力の問題を解く2つの手順は?

A. ①力の矢印を全部書く(重さ・浮力・ばねばかり・底の4本から選ぶ) ②上向きの力の合計=下向きの力の合計とおく。この順番を崩さないことが大切です。

400g・200cm³の物体を水に全部沈めた。ばねばかりの目盛りは?

A. 200g。そこにあったはずの水は200cm³=200gなので浮力は200g分。400から200を引いて200gです。

全部沈めたあと、さらに深く下げると浮力はどうなる?

A. 変わりません。全部入ったあとは、深さを変えても物体がいる場所の大きさが同じだからです。底につくまで目盛りも動きません。

80g・100cm³の木片を水に浮かべた。水中に入る体積は?

A. 80cm³。浮いて止まるのは浮力が80g分になったときで、水80gは80cm³です。100cm³のうち8割が水中、2割が水面より上に出ます。

300g・100cm³の物体を、1cm³が1.2gの食塩水に全部沈めた。目盛りは?

A. 180g。そこにあったはずの食塩水は1.2×100=120gなので浮力は120g分。300から120を引きます。

320g・120cm³が底につき、ばねばかりは80g。底が押し上げる力は?

A. 120g分。上向きは80+120+□、下向きは320。□=320−80−120=120g分です。

水そうと水が1400g、320g・120cm³の物体を全部沈めた。台ばかりの目盛りは?

A. 1520g。全体で1400+320=1720g。浮力120g分なのでばねばかりは200gを示し、残りの1520gを台ばかりが支えます。

まとめ

浮力の正体は、そこにあったはずの液体の重さ。解き方は、力の矢印を全部書いて、上向きと下向きをつり合わせる。この2つで、どの場面も同じ手順で進められます。

力学のほかの単元も、少ない数のルールでできています。てこ・滑車・輪軸については【中学受験】理科のてこ・滑車・輪軸を超わかりやすく解説!で整理しました。天体の動きは【中学受験】理科の星の動き(日周運動・年周運動)を超わかりやすく解説!で扱っています。理科全体の進め方に不安があるときは、【中学受験】理科の苦手克服法を徹底解説!も読んでみましょう。

よくある質問

浮力はどうやって求めますか?

その物体がいる場所に、本来ならあったはずの液体の重さを求めます。計算は、液体の中に入っている部分の体積に、その液体1cm³の重さをかけるだけ。水は1cm³が1gなので、水中に入った体積が120cm³なら浮力は120g分になります。

浮力の問題は、どんな手順で解けばよいですか?

まず図に力の矢印を全部書きます。出てくるのは、下向きの重さと、上向きの浮力・ばねばかり・底の力の4本です。次に「上向きの力の合計=下向きの力の合計」とおいて、分からない数を求めます。この2ステップは、浮いている場合でも底についている場合でも変わりません。

深く沈めるほど浮力は大きくなりますか?

大きくなりません。物体が全部入ったあとは、どこまで下げても物体がいる場所の大きさが同じだからです。深さで変わるのは水圧のほうで、浮力は変わりません。沈み始めてから全部入るまでの間だけ、浮力が増えていきます。

浮くか沈むかは、どうやって見分けますか?

重さを体積で割った1cm³あたりの重さを、液体の1cm³の重さとくらべます。水より大きければ沈み、小さければ浮きます。300g・100cm³は1cm³が3gなので沈む側、60g・100cm³は0.6gなので浮く側です。全体の重さだけでは判断できません。

食塩水だと浮力はどうなりますか?

水より大きくなります。そこにあったはずの液体の重さが浮力なので、1cm³あたりが重い液体ほど、同じ体積でも浮力が大きくなるからです。1cm³が1.2gの食塩水に100cm³ぶん沈めれば浮力は120g分で、水のときより20g分ふえます。油は逆に小さくなります。

水そうをのせた台ばかりの目盛りはどうなりますか?

物体を沈めた分だけ増えます。水が物体を押し上げた力と同じ大きさで、物体も水を押し返しているからです。上のばねばかりと下の台ばかりが支える力の合計は、水そう・水・物体を合わせた全部の重さと必ず等しくなります。この関係を使うと、片方の目盛りからもう片方を出せます。

浮かんでいる氷がとけると水面は上がりますか?

変わりません。180gの氷は浮いている間に180cm³ぶんの場所を水からもらっていて、とけると180cm³の水になり、そのすきまをちょうど埋めるためです。ただし氷の中に金属などが入っている場合は、とけたあとに水面が下がります。

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