受験

大学入試制度の全貌をわかりやすく解説!

大学受験を意識し始めた高校生や保護者の方の中には、こんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

「一般選抜ってなに?国立と私立はどう違うの?」

「指定校推薦?総合型選抜?どう違うの?」

実は、大学入試制度は2021年度に制度変更がなされ、仕組みの変更や名称変更が行われました。

本記事では、これから大学受験を意識し始める方や、大学入試制度の理解に不安がある方に向けて、最新の大学入試制度をわかりやすく説明していきます。

3つの選抜方式・大学入試制度の変更点

 大学入試制度は以下の3種類に大別できます。

①一般選抜(旧一般入試)
②学校推薦型選抜(旧推薦入試)
③総合型選抜(旧AO入試)

 もしかしたら聞き馴染みのない名称もあるのではないでしょうか。実は、これらは2021年度の大学入試制度変更に伴って使われるようになった名称なのです。

 なぜ名称が変わったのか、制度変更で名称以外に何がどう変わったのかについて軽く説明します。

 大きな変更点として挙げられるのが大学入試センター試験の廃止です。これに伴い新しく導入されたのが大学入試共通テストです。国の教育改革によって「知識・技能」や「思考力、判断力」、「主体性」が大学教育の基礎力として重視されるようになったことで、共通テストではセンター試験のような知識偏重型の出題形式から上記の素養を問うような出題形式にシフトしています。(大学入試共通テストのより詳細な作問意図については、大学入試センター『令和4年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針』を参照)

 学校推薦型選抜や総合型選抜においても同様に「知識・技能」や「思考力、判断力」、「主体性」が旧入試よりも、より重視されています。

入試スケジュール

 ここで各制度の入試スケジュールを確認し、制度別に詳細を説明します。

一般選抜

 「一般選抜」は12月頃から出願が始まり、1月〜3月に実施される試験の点数によって合否が判断される入試制度です。近年では「一般選抜」以外の入試制度で入学する学生の比率が増えてきていますが、国公立大学や一部私立大学では依然として入学者に占める「一般選抜」の比率は高いです。また、後述する選抜方式よりも出願条件が緩く、純粋な学力によってのみ合否が決まります。

国公立大学

 国公立大学を「一般選抜」で受験する場合、基本的には共通テストを受験した後に、大学の個別試験を受験する必要があります。
個別試験には前期・中期・後期の3日程が存在し、受験者は共通テスト受験後、各日程につき1大学ずつ出願が可能です(1つの日程で複数の大学に出願することは不可。別日程であれば同一大学学部に出願することは可)。
また、共通テストと個別試験どちらの得点を重視するのかは大学によって異なる為、各科目の配点については前もって確認した上で学習戦略を立てると良いでしょう。

 大学によっては共通テストのスコアで足切りを行っている場合があります。足切りの水準に満たない場合、個別試験の受験が認められないため出願の際には注意が必要です。例年有名予備校が共通テストの点数を全国の受験生から収集し、各大学の足切り点数の予想を出しているので参考にしながら出願先を選定すると良いでしょう。

 前期日程で合格し、入学手続きを済ませた場合、その後の中期、後期試験の結果は無効となるので、志望度の高い大学は前期日程で受験すると良いでしょう。また、中期日程を実施しているのは一部公立大学のみであり、国公立大学の傾向として後期日程を実施する大学は減少しているため、志望する大学がどの日程を採用しているのかは予め確認しておきましょう。

私立大学

 私立大学の「一般選抜」は種類が多く、大学学部によって細かな内容が異なるので志望大学の詳しい情報は大学ホームページ等で確認するのが良いでしょう。ここでは主な受験方式を4つに分けて説明します。

 まずは「学部別入試」についてです。この入試方式は大学学部ごとに独自の入試問題が出題され、受験者は試験の点数によって合否が判断されます。入試の科目数について、文系学部では英語と国語に加えて、地歴公民または数学から1科目の合計3科目。理系学部では、英語と数学に加えて理科1or2科目の合計3or4科目が一般的です。また、共通テストの受験が必須の共通テスト併用型や、英検などの外部試験のスコアによって加点や英語試験の受験免除を行う英語外部試験利用型といった特殊な形式もあるので、志望校がどのような形式を採用しているのかは事前に確認しておきましょう。

 次は「全学部入試」です。全学部入試では、1回の試験で同一大学に設置された複数学部を1度に受験できる入試方式です。学部別に受験する必要がないことから負担が少ない入試方式である一方、倍率が高くなりやすいことに加えて個別試験よりも問題難易度が低い傾向にあるため、合格するためには高得点勝負に勝つ必要がある点には注意が必要です。

 次に「共通テスト利用入試」です。共通テスト利用入試では、共通テストのスコアのみで合否が判断されます。主に国公立大学を志望する受験者が使うことが多い入試方式で、大学に直接足を運んで個別試験を受ける必要がないのが利点です。ただし、国公立大学志望者は学力も高く、定員も多くはないため高得点を取らないと合格は難しい点には注意が必要です。

 最後に、「後期入試」についてです。後期入試は2月末から3月にかけて実施される入試のことで、基本的な形式は「学部別入試」と同じです。

学校推薦型選抜

 「学校推薦型選抜」は出身高校の校長から推薦を受け、調査書などの書類を大学に提出することで合否が判断される入試制度です。一般選抜と比較して、出願開始から合否発表までの時期が早いため、前もって対策を始める必要があります。大学によって出願条件の詳細は異なりますが、主な出願条件は以下の3つです。

  • 学業成績高校での学業成績の状況に一定の基準を設けており、基準に満たない場合は出願資格を得られません。
  • 卒業年度大学によっては現役生のみしか受け付けておらず、既卒制は対象外の場合があります。
  • 専願/併願多くの大学では併願は認められていません。一部の大学では併願を認めている場合もありますが、併願の条件についてはしっかり確認しておくと良いでしょう。

国公立大学

 国公立大学の約9割が、大学ごとに定められた条件を満たしていれば誰でも出願できる「公募制推薦」を採用していることから、裾野は広いと言えます。しかし、私立大学と比較すると出願条件が厳しいことに加えて募集定員も少ないため、非常に合格難易度が高いです。また、共通テストの受験や小論文、プレゼンテーション、口頭試問などによって受験者の学力を評価する大学が増加しています。

 一部地方国公立大学の医学部や教育系学部では、大学卒業後にその大学所在地で医師や教員として働くことが条件づけられている「地域枠推薦」も存在しているので、医学部や教育系学部を目指している人は調べてみると良いでしょう。

私立大学

 私立大学では国公立大学以上に「学校推薦型選抜」が採用されており、全国の私立大学入学者の約40%を占めます。また、国公立大学では「公募制推薦」と「地域枠推薦」が採用されていたのに対し、私立大学では上記の2種に加えて「指定校推薦」、「スポーツ推薦」、「有資格者推薦」、「課外活動推薦」など多様な形式を採用しています。

 「指定校制推薦」は大学が指定した高校や大学の附属(系列)校からのみ出願が可能な入試方式です。附属(系列)校では出願可能な枠が多い場合がありますが、それ以外の高校では基本的には1、2名程度しか枠がないため学内での競争に勝つ必要があることに加えて、入学辞退は原則認められていません。

 「スポーツ推薦」はその名の通り、部活動などのスポーツ面で秀でた成績を納めた人を対象とした選抜です。したがって競技成績が合否の基準になります。

 「有資格者推薦」は、英検や簿記などの資格を保有する人材の獲得を目的とした選抜方式です。

 「課外活動推薦」では、生徒会活動や地域でのボランティア、コンクール等での受賞経験などの経験を持った人材が出願可能な選抜方式です。

総合型選抜

 「総合型選抜」は大学が定めるアドミッション・ポリシーに合致した人材の獲得を目的とした入試制度で、9〜10月から出願が始まります。その後順次選考を行い、11〜12月に合否発表が行われます。したがって、高い学習意欲と入学後の明確な目標を選考過程でいかに示せるかが重要になります。選考は志望理由書などの書類や、面接、小論文などによって行われます。ただし、これら以外の選考方法を追加的に採用している大学もあります。「学校推薦型選抜」のうち、特に「指定校制推薦」と比較すると受験生自らが行わなければならない手続きが多いため主体性が問われていると言えるでしょう。

国公立大学

 国公立大学の多くは「選抜型」と呼ばれる形式を採用しており、1次試験として志望理由書等の書類審査、2次試験として面接や小論文による審査を行います。また、出願条件が厳しい場合も多く、各選考過程での倍率が高く、共通テストの受験を課す大学もあるため受験生にかかる負担は大きいでしょう。

私立大学

 私立大学は大学によって名称は異なりますが、「選抜型」に加えて「対話型」や「実技・体験型」など多様な形式を採用しています。

 「選抜型」の主な内容は国公立大学と同様で、所謂難関大学に分類される私立大学の多くが採用している形式です。

 「対話型」は多くの私立大学が採用する形式で、エントリー後に複数回の面接・面談を行うことで受験者の志望動機や学習意欲、人物面を重視して評価します。

 「実技・体験型」では入試プログラムの中に参加必須の模擬授業や実験などが組み込まれており、レポートや課題を提出する必要があります。受験者はこれらを総合的に評価された上で合否判定がなされます。

まとめ

 いかがだったでしょうか。本記事を通して、制度変更によって多様化し複雑になった入試制度についての理解が少しでも深まっていれば幸いです。

大学受験に向けてなにをすべき…?

 本記事を読み、入試制度について理解を深めた学生が次に行うべきは志望校の選定とその志望校が採用する入試制度の確認です。志望大学が明確に定まっている場合はその大学が採用する入試制度の中で一番自分に適している(合格を勝ち取れる)と思う制度の対策を練ることが理想的です。

 一方で、志望校がまだ決まっていない人もいるでしょう。そのような方は志望校をどのように決めるかの評価軸を定めると良いでしょう。評価軸は勉強したい分野でも良いですし、大学のネームバリューでも自分が納得できるものであればなんでも良いと思います。複数の評価軸を用意して総合的に決めるのも良いでしょう。

 対策を行う際に注意が必要なのが、確実に合格できる制度は存在しないということです。「学校推薦型選抜」は一見出願条件を満たせば誰でも合格できそうに思えますが、不合格になるケースはありますし、出願条件を満たせない場合も十分考えられます(指定校制推薦は出願できればほぼ確実に合格できますが、出願資格を得る過程での競争に負ける可能性も考慮する必要があるでしょう)。「総合型選抜」も準備に大きな負担がかかる上に合格難易度は高いです。

 「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」のみに注力し不合格だった場合は「一般選抜」しか選択肢がなくなるわけですが、「一般選抜」の対策が不十分になってしまう為、志望校に進学できる確率は低くなるでしょう。したがって、「一般選抜」の対策を同時並行することである程度このような事態に備える必要があります。「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」であっても大学入試共通テストの受験やペーパー試験以外で学力の高さを示す必要があるケースがあることからも「一般選抜」対策を行うことの重要性は明らかでしょう。

 「一般選抜」対策に不安がある方は是非一度LEFYに相談してくださると幸いです。

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