栄光学園は、聖光学院・浅野とともに「神奈川男子御三家」と呼ばれる、鎌倉市(大船)のイエズス会系カトリック校です。1学年約180名の少数精鋭ながら、東京大学をはじめとする最難関大学へ毎年多数の合格者を出しています。
入試の実質倍率は近年2.5〜2.7倍前後で安定していますが、入試問題は「知識やパターンの暗記がほとんど通用しない、思考力を真正面から問う出題」として、首都圏でも屈指の独自性を持ちます。
本記事では、LEFYが独自に集計した過去約20年分・全333問の算数出題データを交えながら、栄光学園の入試傾向と対策をご紹介します。
- 栄光学園の基本情報(偏差値・入試日程・校風・進学実績)
- 栄光学園の入試の配点・試験時間と合格ライン(例年6割強)
- 【LEFY独自集計】算数・過去約20年分333問の出題分野の内訳と頻出単元
- 算数の84%が「初見の思考力型」— 同じ御三家でも聖光学院と毛色の異なる出題形式
- 国語・理科・社会に共通する「記述・探究型」の傾向と対策
- 栄光学園の過去問の正しい使い方(時間を測る前に「考え抜く」)
この記事を書いた人
山本航士
受験アドバイザー
聖光学院中高→慶應義塾大学経済学部→コンサルティングファーム→LEFYにて難関中学受験および中高一貫校生をサポート
栄光学園の基本情報(偏差値・日程・進学実績)
栄光学園中学校 基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県鎌倉市(JR大船駅から徒歩約15分) |
| 種別 | 男子校・中高一貫(カトリック・イエズス会系) |
| 入試日程 | 2月2日(1回のみ) |
| 募集人数 | 約180名 |
| 実質倍率 | 近年2.5〜2.7倍前後 |
| 偏差値の目安 | 四谷大塚80%偏差値で66(2026年入試向け) |
※ 偏差値は模試会社によって基準が異なります(SAPIXは四谷大塚より5〜6ポイント低く、首都圏模試は5〜10ポイント高く出る傾向)。出願判断は通っている塾の最新の合格判定でご確認ください。
イエズス会を母体とするカトリック校で(上智大学などと同系列)、東京ドーム約2.4個分の広大な自然豊かなキャンパスを持ちます。自主性・自由を重んじる校風で、「倫理」が6年間必修となっているなど、学力だけでなく人間的な成長を重視する教育が特徴です。
進学実績も神奈川トップクラスで、2025年の東京大学合格者数は55名(うち現役43名)。1学年約180名であることを考えると、現役だけで約4人に1人が東大に合格している計算です。
https://www.inter-edu.com/univ/2026/schools/79/jisseki
なお、入試日程で注意すべきは栄光学園(2/2)と聖光学院 第1回(2/2)が同日である点です。神奈川男子最難関の2校は同時受験ができないため、2/2にどちらを受けるかが受験戦略の最初の大きな分岐になります(詳しくは記事末尾の併願記事をご覧ください)。
全体傾向と対策
各科目の配点と時間は以下のとおりです。
栄光学園 入試の配点と試験時間
| 科目 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|
| 算数 | 70点 | 60分 |
| 国語 | 70点 | 50分 |
| 理科 | 50点 | 40分 |
| 社会 | 50点 | 40分 |
| 合計 | 240点 | 190分 |
国語・算数に傾斜した配点で、合格最低点は例年おおむね6割強です。科目別に合格者平均点と受験者平均点の差を見ると、最も差が開くのは算数です。配点の傾斜も合わせると、合否を最も左右するのは算数と言えます。
そして栄光学園の最大の特徴は、全科目を通して「その場で考えさせる」出題に徹底的にこだわっていることです。算数は初見の設定を読み解く問題が大半、国語は記述中心、理科・社会は1つのテーマを掘り下げる探究型と、知識の暗記量では差がつかない入試になっています。
裏を返せば、「初見の問題に対して、手を動かしながら粘り強く考える」「考えたことを言葉や式で表現する」という2つの力を早期から育てられるかどうかが、栄光学園対策のすべてと言っても過言ではありません。
算数の傾向と対策
傾向 — データで見る栄光学園の算数
LEFYでは、栄光学園の算数の過去問約20年分(全333問・小問単位)を、独自の単元分類(10分野・72単元)で1問ずつタグ付けして集計しました。まず出題分野の内訳です。
栄光学園 算数の出題分野の内訳(全333問)
過去約20年分の入試(小問単位) / LEFY調べ
※ 複合問題は主となる単元で集計。LEFY調べ(2026年7月)
立体図形・数の性質・推理論理系が上位を占め、つるかめ算などの典型的な文章題(特殊算)はわずか1.8%。計算の小問集合すら出題されない年が大半です。
ただし、栄光学園の本質は分野の内訳よりも「出題形式」に表れます。同じ神奈川男子御三家の聖光学院と比較すると、その特殊さは一目瞭然です。
出題形式の比較 — 栄光学園 vs 聖光学院(第1回)
各校の過去約20年分の算数を小問単位で分類(1問に複数タグあり) / LEFY調べ
| 出題形式 | 栄光学園 | 聖光学院 |
|---|---|---|
| 思考力型(初見の設定を読み解く問題) | 84.1% | 62.6% |
| 作業・書き出しを要する問題 | 52.0% | 30.9% |
| 考え方・理由の記述説明 | 9.9% | 2.7% |
| 知識・技能型(典型解法で解ける問題) | 15.9% | 33.3% |
全333問のうち84%が「初見の設定をその場で読み解く思考力型」、半数以上が「書き出し・調べ上げの作業を要する問題」です。単元別の頻出ランキング1位も、特定の単元ではなく「推理・論理(初見の条件整理・調べ上げ)」の53問でした。栄光学園の算数は「単元で対策する」発想自体が通用しにくい入試です。
実際の出題例を挙げると、「偶数なら2で割り、奇数なら1を足す操作を繰り返す」「カードを2枚飛ばしで捨てていく」「異なる2つの素数の積を『素積数』と定義する」など、毎年オリジナルのルールが提示され、それを理解して調べ尽くす問題が並びます。
また、答えだけでなく「考え方」を書かせる欄が設けられている問題、「考えられるものをすべて答えなさい」という問題が多いのも特徴で、部分点も含めて「考えるプロセス」そのものが採点対象になっています。
対策
まず前提として、典型問題の解法習得だけをいくら積み上げても、栄光学園の算数には太刀打ちできません。基本レベルの習得を早めに終わらせ、思考力型の問題に取り組む時間を確保することが重要です。
対策の軸は3つです。①初見の問題設定を正確に読み取る読解力、②書き出し・調べ上げを面倒がらずに正確にやり切る作業力、③自分の考えを式や言葉で表現する記述力。この3つは一朝一夕には身につかないため、5年生のうちから意識的に鍛えていく必要があります。
普段の学習では、「解けた/解けなかった」で終わらせず、「なぜその方針に気づけたか」「書き出しをどう整理すれば漏れなく数えられたか」を言語化する習慣をつけましょう。また、過去問演習では時間を測る前に、まず1問に30分かけてでも考え抜く経験を積むことが有効です。
データ上の補足として、分野別では立体図形(切断よりも展開図・投影図・さいころなど「立体を頭の中で組み立てる」系統)と、数の性質(素因数分解・約数倍数を題材にした調べ上げ)の出題が厚いので、思考力型の演習素材はこの2分野を優先すると効率的です。
国語の傾向と対策
傾向
例年、論説文・物語文の読解2題+漢字という構成です。
最大の特徴は解答形式が記述中心であることです。選択肢問題は少なく、本文の内容を自分の言葉で過不足なくまとめる説明記述が得点の大半を占めます。
文章量も少なくないため、50分の中で「読む」と「書く」を両立させる必要があります。
対策
記述中心の入試では、「設問が何を要求しているか」を分解する力が合否を分けます。「理由」を問われているのか「変化」を問われているのか、本文のどの範囲から要素を拾うべきかを意識して書く練習を重ねましょう。
書いた記述は必ず添削を受けてください。自分では書けているつもりでも、要素の抜けや日本語のねじれは自分では気づきにくいものです。塾や指導者のフィードバックを受けて書き直すサイクルが、記述力を伸ばす最短ルートです。
理科の傾向と対策
傾向
1つのテーマを深く掘り下げる探究型の出題が栄光学園理科の代名詞です。身近な素材(食品、道具、自然現象など)を題材に、実験・観察の結果やグラフを読み取りながら考察を進める問題が中心です。
単純な知識問題は少なく、その場で与えられた情報と基本知識を組み合わせて考える力、考えたことを記述する力が問われます。
対策
知識のインプットは「なぜそうなるのか」という理由・仕組みまでセットで行いましょう。その上で、グラフや表の読み取りを含む考察型の問題演習を積むことが有効です。
また、日常生活の中で「なぜ?」を考える習慣そのものが対策になります。料理、天気、乗り物など、身の回りの現象を科学の言葉で説明してみる経験は、栄光学園の出題スタイルと直結しています。
社会の傾向と対策
傾向
1つのテーマが試験全体を貫く出題が特徴です。そのテーマに沿って地理・歴史・公民を横断しながら、資料の読み取りと長めの記述で考えを表現させます。
用語の暗記だけで得点できる問題は限られており、理科と同様に「知識を使って考える」姿勢が求められます。
対策
まずは地理・歴史・公民の基本知識を確実に固めた上で、「なぜこの出来事が起きたのか」「この資料から何が言えるのか」を自分の言葉で説明する練習を重ねましょう。時事的な話題や社会の仕組みについて家庭で会話することも、テーマ型出題への良い備えになります。
過去問の取り組み方 — 「量」より「質」を重視
栄光学園の過去問も、10年分を目安に取り組むことをおすすめします。出題形式の独自性が強い学校なので、過去問こそが最良の対策素材です。
ただし、処理力を磨くタイプの過去問演習とは目的が異なります。栄光学園の過去問は、1問1問を考え抜き、記述まで書き切る「質重視」の使い方をしてください。初回から時間を測って急いで解くと、思考力型の問題に向き合う訓練になりません。
過去問の入手は、市販の過去問集に加えて、四谷大塚の「中学入試 過去問データベース」も活用できます(年度によって解説がない場合があります)。
過去問に取り組む時期や進め方の全般論は、以下の記事でご紹介しています。
【中学受験】過去問はいつから?何年分?取り組むコツや注意点も紹介!
また、聖光学院・浅野との併願を検討されている方は、以下の記事も参考にしてください。本記事で見たとおり栄光と聖光は入試の性格が大きく異なるため、併願する場合は対策の配分が重要になります。
【中学受験】聖光・栄光・浅野の併願と過去問対策!併願可能?どの学校の対策に力をいれる?
LEFYの栄光学園対策
ここまで見てきたとおり、栄光学園の入試は「思考力・作業力・記述力」を長期間かけて育てられるかの勝負であり、一朝一夕で身につく対策は存在しません。
LEFYでは、お子さまの現状を踏まえて「基本の習得を早期に終わらせ、思考力型の演習に時間を割く」カリキュラムを個別に設計します。
特に栄光学園対策では、記述の添削と「考え方の言語化」のフィードバックが、マンツーマン指導の効果が最も出る領域です。集団塾では手が回りにくい部分ですので、記述・思考力型の対策にお悩みの方はぜひご相談ください。
まとめ
- 栄光学園は国算傾斜の240点満点で、合格最低点は例年おおむね6割強。合格者平均と受験者平均の差が最も大きいのは算数で、合否を左右するのも算数です。
- LEFYの独自集計(過去約20年・333問)では、算数の84%が初見の思考力型で、典型的な特殊算はわずか1.8%。「単元の対策」より「考え抜く訓練」が合格への近道です。
- 分野では立体図形(展開図・投影図系)・数の性質・推理論理系が厚め。演習素材はこの3系統を優先しましょう。
- 国語・理科・社会も一貫して記述・探究型。「自分の言葉で説明する」練習と添削のサイクルが全科目共通の対策になります。
- 過去問は10年分を目安に、時間を測る前に1問ずつ考え抜く「質重視」で。聖光学院と併願する場合は、出題形式が正反対である点を踏まえて対策の配分を設計しましょう。
横浜駅周辺で中学受験の個別指導をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。個別指導塾レフィーでは、栄光学園をはじめとする難関中学受験に向けて、お子さまの現状に合わせた学習計画と併願戦略をご提案いたします。思考力型・記述型の対策こそ、完全マンツーマン指導の強みが最も活きる領域です。