教育

私立中学の寄付金は払わなくてもいい?税額控除や有名校の寄付額も紹介

私立中学への入学を検討していると、入学手続き時などに「寄付金のご案内」を見かけることがあります。
寄付金といっても任意で支払うものなのか、払わないことで不利益があるのかなど、疑問を抱える保護者は少なくありません。
そこで本記事では、私立中学の寄付金について、相場や税制優遇、払うべきかどうかの判断ポイントなどを詳しく解説します。

私立中学の寄付金とは何か?

寄付金の概要と目的

私立中学の寄付金とは、保護者や卒業生、企業などが学校運営のために自主的に支払う金銭的支援を指します。多くの場合、「1口あたり◯万円」といった目安が提示され、校舎の改修・設備投資や教育環境の維持向上に役立てられます。

公立中学の場合は自治体からの支援が中心ですが、私立中学は公的資金が公立ほど潤沢ではありません。そのため寄付金が、学校にとって重要な資金源の一つとなっています。
ただしあくまで任意なので、払わなかったからといって授業や部活動で不利になることはありません。

公立中学にはない「任意の寄付」の位置づけ

公立中学の場合、運営費用の多くは地方自治体からの予算でまかなわれるため、追加的な寄付募集はほとんど行われません。
一方、私立中学は自校の特色を活かすために多くの資金が必要です。独自のカリキュラムや施設設備を整えるうえで、保護者・卒業生などから集める寄付金が貴重な財源になります。

とはいえ「募集要項に寄付金の案内がある=強制」ではありません。無理に支払う必要がないからこそ「任意」と明示されていることが一般的です。家庭の経済状況などを考慮したうえで、払う・払わないを決めて構いません。

寄付金は必須なのか?支払いを迷う保護者へのアドバイス

学校による募集の実態と「任意」の意味

私立中学では、入学説明会や合格通知の書類に「寄付金の案内」が同封されることが多くあります。中には「1口10万円、2口以上」といった具体的な数値が示されるケースもあるため、一見すると義務のようにも感じてしまいます。
しかし、ほとんどの場合は「寄付金は任意」「ご協力いただける方のみ」といった記載があり、強制力は伴いません。

学校側としては、大切な教育資金を広く募りたい意向がありますが、それ以上に保護者の家庭事情を配慮する姿勢を打ち出していることが多いです。
実際、払わないことで内申に影響が出るなどの不利益はありませんし、寄付した人だけが特別扱いされるわけでもありません。

寄付金を支払わなくても不利益は生じない?

結論からいうと、寄付をしないからといって生徒が不利な扱いを受けることは基本的にありません。
寄付金の使用用途は、校舎の設備更新や教育関連のプロジェクトなどで、支払わない人の子どもがそれらの恩恵を受けられないということもありません。私立中学は契約上「学費(入学金・授業料・施設費など)」を支払うことで教育サービスを受ける形であり、寄付金はあくまで追加的・任意的な要素です。

また、寄付をしたかどうかは、学校報などに寄付者一覧が掲載される程度です。
寄付金を払う・払わないは、最終的には各家庭の経済状況や考え方に委ねられます。

私立中学の寄付金相場と平均的な寄付額の目安

1口○万円からの一般的な設定例

私立中学の寄付金は「1口10万円」程度が一つの目安として提示されることが多いです。なかには「1口5万円」「1口3万円」など比較的低い金額を設定したり、「2口以上を推奨」など口数を明示したりする学校もあります。

しかし「◯口分支払わないと受理できない」というような制限は通常なく、あくまで“目安”に過ぎません。中には1口に満たない額であっても受け付けている私立中学もあるため、どうしても少額でしか出せない場合は学校に相談することも選択肢の一つです。

以下にいくつかの私立中学の寄付金をまとめました。

学校名所在地1口あたりの金額推奨口数
青山学院中学校東京10万円2口以上
麻布中学校東京1万円20口以上
桜蔭中学校東京10万円2口以上
海城中学校東京10万円2口以上
開成中学校東京10万円1口または2口
学習院中等科東京10万円3口以上
吉祥女子中学校東京5万円1口以上
慶應義塾中等部東京3万円2口以上
女子学院中学校東京10万円3口以上
広尾学園中学校東京10万円2口以上
雙葉中学校東京5万円記載なし
三田国際中学校東京10万円2口以上
武蔵中学校東京10万円3口以上
立教女学院中学東京10万円2口以上
早稲田中学校東京10万円2口以上
鴎友学園東京5万円1口以上
暁星中学校・高等学校東京10万円3口以上
市川中学校神奈川1万円記載なし
昭和学院秀英中学校神奈川1千円記載なし

実際に寄付している家庭の割合や金額の傾向

文部科学省の調査によると、中学1年時の寄付金が2万円、中2、中3は8000円程度となっていることから、中学1年生のタイミングで寄付する人が多い、もしくは中学1年時の寄付額が最も多いと考えられます。
実際に寄付する家庭の割合は2~3割程度という報告もあり、学校によるとは思いますが、寄付しない家庭のほうが多数派かもしれません。
文部科学省 子供の学習費調査

そのため「寄付をしていないと浮いてしまうのでは?」という不安を抱える必要はありません。

意外と混同されがちな「学校債」との違い

学校債のしくみ

私立中学で見かけることのある「学校債」は、寄付金と似ているようで実は異なるものです。
学校債は、私立学校が資金調達を目的に発行する債券であり、購入(出資)した金額は数年後に返還されることが一般的です。つまり学校側にとっては一時的な借り入れのような役割を果たし、購入した保護者にとっては将来的に元本が戻ってくる投資的側面をもつ制度といえます。

文部科学省 学校債の有価証券指定について

寄付金との比較ポイント

  • 返還の有無:学校債は償還(返金)されるが、寄付金は返還されない。
  • 税制優遇:寄付金は所得控除や税額控除の対象になるが、学校債は対象外である場合が多い。
  • 目的・スタンス:学校債は運用して後日返金する資金調達の手段、寄付金は学校への純粋な支援や設備投資のサポートという意味合いが強い。

「投資」という形で後に資金が戻るかどうかが大きな違いです。寄付金は戻りがない代わりに税制優遇が受けられる可能性があります。どちらを選択するかは、保護者の家庭状況や考え方次第です。

寄付金を支払う際の税制優遇(税額控除・所得控除)

2種類の控除制度の概要と計算方法

私立中学(学校法人)に寄付を行った場合、確定申告で「税額控除」か「所得控除」を選択することが可能です。両者の違いは以下のとおりです。

税額控除:寄付金額(2,000円を超える部分)の最大40%が、納める所得税から直接差し引かれる。収入に関係なく、一定割合が控除されるので節税効果が大きい。

所得控除:寄付金額(2,000円を超える部分)×所得税率を課税所得から差し引く。所得が多いほど恩恵が増えるが、税率が低い人は控除額が少なめになる。

出所:文部科学省「学校法人(私立学校)への寄附を考えているみなさまへ」

手続きの流れ

寄付金を支払った後、学校法人から「寄付金受領証」を受け取りましょう。加えて、該当の私立中学が「特定公益増進法人」の証明を得ているかを確認し、その証明書の写しを確定申告で添付します。手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 学校法人から寄付金受領証を発行してもらう。
  2. 確定申告書の所定欄に寄付金額などを記入し、受領証と証明書の写しを添付する。
  3. 税額控除か所得控除かを選んで提出する。

正しく申告を行えば、寄付した金額に応じて税負担が軽減される可能性があります。寄付金が「支出」で終わらないように、しっかり確定申告で申請しましょう。

寄付をしないという選択肢と教育費への投資メリット

家計に合わない場合の対応策

私立中学は公立中学と比べて学費自体が高額になりやすく、入学時には入学金や施設費、制服費などがまとまって必要となる場合が多いです。さらに月々の授業料や定期的な諸経費が加わると、家計への負担は決して小さくありません。

そのうえ寄付金を支払うとなると、子どもの学習塾や習い事の費用が捻出できなくなる恐れもあります。もし寄付金を用意することで生活に支障が出る、あるいは子どもの学習が疎かになるのであれば、無理して支払うことはおすすめできません。学校によっては入学してから何年か経過してからでも寄付を受け付けているため、家計に余裕ができた段階で改めて検討しても遅くはありません。

塾や家庭教師などへ費用を回すメリット

私立中学はカリキュラムが先取りで進むこともあり、学習内容が高度になる場合があります。そこで塾や家庭教師などのサポートを利用すれば、定期テストや内部進学試験への対策をしやすくなり、大学受験を視野に入れた基礎固めができます。

とくに中高一貫の6年間は、計画的に学力を伸ばしていくチャンスです。寄付金を払う代わりに、こうした教育費に振り向けることで、将来的により大きな成果を得られる可能性もあるでしょう。「学校設備のための寄付」と「わが子のための投資」のどちらを優先するかは、各家庭で十分に話し合って決めることをおすすめします。

まとめ|私立中学の寄付金は家計状況に合わせて賢く判断しよう

私立中学の寄付金は「支払わないと受験や在学に影響するのでは?」という不安を抱かれやすいですが、多くの場合はまったく心配無用です。募集要項などで紹介される寄付金はあくまで任意であり、払わなくても不利になるわけではありません。

支払えない、あるいは支払わない選択をしても、授業・部活動・校外行事などすべての活動に等しく参加できます。お子さんの教育と家計のバランスを考慮したうえで決断することが何より大切です。

私立中学の寄付金は、学校にとっては欠かせない運営資金の一部であるものの、家庭にとっては大きな出費となりがちです。入学時は学費や生活の変化にともなう支出も多くなるため、十分に検討してから支払うかどうかを決めることが大切です。ぜひ本記事を参考に、無理のない選択をしてください。

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