この記事でわかること
- 「豆電球の明るさ=電流の大きさ」という大原則
- 「電流=電池の数÷全体の抵抗」の公式
- 電池・豆電球の直列/並列で電流がどう変わるか
- 直列と並列が混ざった回路(合成抵抗)の解き方と「逆数の和」
- 並列回路で電流が分かれるしくみ・電流計/電圧計の使い方・例題
受験アドバイザー / 個別指導塾LEFY
神奈川大学附属高等学校から慶應義塾大学法学部へ進学後、総合商社を経てLEFY創業に参画。中学受験全般、算数・理科・社会、サピックス・グノーブル・四谷大塚・日能研のフォローを中心に、学習計画と受験指導を担当しています。
詳しいプロフィールを見る →
中学受験の理科で、多くの受験生がつまずくのが「電流(電気回路)」です。
じつは電流は、たった1つの考え方を身につけるだけで、見違えるように解けるようになる単元です。この記事では、中学受験の電流でよく問われるポイントを、むずかしい公式(オームの法則)を使わず、図と表でやさしく整理します。お父さん・お母さんがお子さんに教えるときの言葉かけのヒントも添えました。
中学受験の「電流」でつまずく3つの理由
対策の前に、なぜ電流が苦手になりやすいのかを押さえておきましょう。原因がわかれば、どこを直せばいいかが見えてきます。
電流が苦手になりやすい理由
この記事は、この3つを順番に解消していく構成です。まずは「電気をイメージできるようにする」ところから始めましょう。
まずは電気を「水の流れ」のようなイメージでつかむ
目に見えない電気は、「水の流れ」にたとえると一気にわかりやすくなります。電流=流れる水の量、電圧(電池)=水を押し出すポンプの力、抵抗(豆電球)=パイプの細さ・流れにくさ。押し出す力が強いほど電流は増え、じゃまが多いほど電流は減ります。
| 電気の言葉 | 水でいうと | 意味 |
|---|---|---|
| 電流 | 流れる水の量 | たくさん流れる=豆電球が明るい |
| 電圧(電池) | 水を押し出すポンプの力 | 力が強いほど電流がたくさん流れる |
| 抵抗(豆電球) | パイプの細さ・流れにくさ | じゃまが多いほど電流が流れにくい |

電流の向きは、電池の+極から出て、豆電球を通り、−極へもどると覚えます(理科の発展で習う「電子」は逆向きですが、中学受験では+→−で問題ありません)。
大原則「豆電球の明るさ=電流の大きさ」
豆電球の明るさ = その豆電球に流れる電流の大きさ
明るいかどうかは感覚でなく「電流の数字」で決まります。抵抗や電池の数から、電流の大きさを計算して求めることが基本です。
「明るいかどうか」をいちいち感覚で考える必要はありません。その豆電球を流れる電流の数字が大きければ明るい、小さければ暗い。それだけです。問題を解くゴールは、いつも「電流の大きさを求めること」になります。
電流を求めるたった1つの公式
電流の大きさは、次の1本の式で求められます。中学受験では、電池も豆電球もすべて同じ種類(同じ性能)として出題されるので、難しい単位は要りません。
電流 = 電池の数 ÷ 全体の抵抗
基準:電池1個・豆電球1個の回路 → 電流=1、明るさ=1。これより大きければ明るく、小さければ暗い。
この「基準を1とする」考え方こそが、計算をシンプルにする最大のコツです。「電池の数」は電圧(水を押し出す力)の大きさを、「全体の抵抗」は豆電球による流れにくさを表しています。あとは、この2つをそれぞれ数えるルールを覚えるだけ。順番に見ていきましょう。
電池・豆電球のつなぎ方で電流はこう変わる
① 電池の数えかた
| 電池のつなぎ方 | 電池の数(力) | イメージ |
|---|---|---|
| 1個 | 1 | 基準 |
| 直列に2個 | 2 | ポンプを縦に2台=力が2倍 |
| 直列に3個 | 3 | 力が3倍 |
| 並列に2個・3個 | 1(変わらない) | 力は同じ。電池が長持ちするだけ |

いちばんのひっかけ:電池の並列
電池を並列に何個並べても、電流は増えません。増えるのは「電池の持ち(寿命)」だけ。「2個だから2倍」と書いてしまうのは、電流の問題で最も多い間違いの一つです。
② 豆電球(抵抗)の数えかた
豆電球は、電流の通り道をじゃまする「壁」だと考えます。直列にすると壁が足し算で増え、並列にすると通り道が増えて1/Nになります。壁が増えるほど、ドバッと流れていた電流はちょろちょろに弱まる、とイメージすると感覚がつかみやすくなります。
| 豆電球のつなぎ方 | 全体の抵抗 | イメージ |
|---|---|---|
| 1個 | 1 | 基準 |
| 直列に2個 | 2 | じゃまが2つ=流れにくい |
| 直列に3個 | 3 | さらに流れにくい |
| 並列に2個 | 1/2 | 通り道が2本=流れやすい |
| 並列にN個 | 1/N | 通り道が増えるほど流れやすい |

具体例で確認しましょう。
- 電池1個・豆電球を直列2個:電流=1÷2=1/2。直列なので各電球も1/2ずつ流れ、明るさはどちらも1/2(基準より暗い)。
- 電池1個・豆電球を並列2個:全体の抵抗は1/2なので、全体の電流=1÷1/2=2。これが2本に分かれて各電球は1(基準と同じ明るさ)。
- 電池を直列2個・豆電球1個:電流=2÷1=2。基準の2倍明るい。
直列と並列が混ざった回路の解き方(合成抵抗)
入試レベルでは直列と並列が混ざります。やることは同じで「全体の抵抗を、部分ごとに段階的に求める」だけ。並列の各枝に豆電球が1個ずつなら1/N、枝ごとに豆電球の数が違うときだけ「逆数の和」を使います。

要注意の「例外」:並列の枝で豆電球の数が違うとき
「並列はN個で1/N」という便利ルールが使えるのは、並列の各枝に豆電球が1個ずつ並んでいるときだけです。枝ごとに豆電球の数が違う場合は、次の合成抵抗の公式を使います。
1 ÷ 全体の抵抗 = (1÷枝1の抵抗)+(1÷枝2の抵抗)+ …

中学受験でいちばん多い取りこぼし
枝ごとに豆電球の数が違うのに、つい「1/N」で済ませてしまうミスが非常に多い単元です。並列を見たら「各枝の本数は同じ?」を必ず一度確認するクセをつけると、ここでの失点がぐっと減ります。
「枝の数がそろっていれば1/N、そろっていなければ逆数の和」——この使い分けが、中学受験で差がつく最大のポイントです。
上の図のように、電池1個に「豆電球A・Bの直列(上の枝)」と「豆電球C 1個(下の枝)」を並列につなぎました。
① 全体の抵抗 ② 流れる電流 ③ A・B・C それぞれの明るさ を求めましょう。
▶ まず確認:ここで「1/2」と書くと不正解
「並列だから1/N」が使えるのは、各枝の豆電球が同じ数のときだけです。この回路は上の枝が2個・下の枝が1個と枝の本数が違うので、近道は使えません。合成抵抗の公式(逆数の和)できちんと計算します。
① 全体の抵抗
- 上の枝(A・Bの直列)の抵抗 = 1+1 = 2
- 下の枝(C 1個)の抵抗 = 1
- 逆数の和でまとめる:1 ÷ 全体の抵抗 = 1/2 + 1/1 = 3/2
- ひっくり返して → 全体の抵抗 = 2/3
② 流れる電流(全体)
- 電流 = 電池の数 ÷ 全体の抵抗 = 1 ÷ 2/3
- → 全体の電流 = 3/2(電池から出ていく電流の合計)
③ A・B・C それぞれの明るさ
- 並列の枝には「抵抗の逆比」で電流が分かれます。上の枝(抵抗2)と下の枝(抵抗1)なので、流れる比はその逆の 1 : 2。
- 上の枝 = 3/2 × 1/3 = 1/2。上は直列なので、A にも B にも 1/2 が流れる → A=1/2、B=1/2
- 下の枝 = 3/2 × 2/3 = 1 → C=1
- 確かめ算:上1/2 + 下1 = 3/2 となり、②の全体電流と一致。
答え:① 全体の抵抗 = 2/3 ② 電流 = 3/2 ③ A=1/2、B=1/2、C=1(豆電球が1個だけのCがいちばん明るい)
| 上の枝(A・B=2個の直列) | 下の枝(C=1個) | |
|---|---|---|
| 枝の抵抗 | 2 | 1 |
| 枝に流れる電流 | 1/2 | 1 |
| 豆電球1個の明るさ | A・B それぞれ 1/2(暗い) | C は 1(基準と同じ) |
この図でおさえる考え方
抵抗の小さい枝(下=Cの枝)のほうに電流が多く流れるので、豆電球が少ない枝ほど明るくなります(C=1 > A・B=1/2)。並列を見たら、まず「各枝の本数は同じ?」を確認し、違えば逆数の和——この順番が身につけば、複合回路でも迷いません。
並列回路で電流はどう分かれるか(抵抗の逆比)
「全体の電流はわかったけど、それぞれの豆電球に何が流れる?」という問いもよく出ます。ルールはこうです。
先ほどの「豆電球1個」と「豆電球2個の直列」を並列にした回路(全体電流=3/2)。それぞれの枝に流れる電流は?
- 枝1の抵抗=1、枝2の抵抗=2 → 流れる比はその逆の 2:1
- 枝1(1個側)=3/2 × 2/3=1
- 枝2(2個直列側)=3/2 × 1/3=1/2(直列なので各電球も1/2)
答え:1個側の豆電球(明るさ1)のほうが、2個直列側(各1/2)より明るい
差がつく「ひっかけ」ポイント
失点しやすい4パターン
電流計・電圧計の使い方(暗記必須)
計算とは別に、器具の使い方は知識問題として頻出です。下の表は確実に覚えましょう。
| 電流計 | 電圧計 | |
|---|---|---|
| つなぎ方 | はかりたい部分に直列 | はかりたい部分に並列(はさむように) |
| +端子 | 電池の+極側につなぐ(逆だと針が逆ふれ) | |
| −端子の順番 | 5A → 500mA → 50mA | 300V → 15V → 3V |
| 最初の−端子 | わからないときは必ず大きいほうから(針のふり切れ・故障を防ぐ) | |
電流計を電池に直接つながない
電流計は中の抵抗がほぼゼロです。豆電球を通さず電池の+−へ直接つなぐとショートして故障します。必ず豆電球など抵抗のあるものと「直列」に入れます。合言葉は「電流計は直列、電圧計は並列。端子は大きいほうから」。


覚えておきたい回路図の記号
回路図は記号で書かれます。最低限、次の記号は読めるようにしておきましょう。
| 部品 | 記号のかき方 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 電池(乾電池) | 長い線(+極)と短い線(−極) | 長いほうがプラス |
| 豆電球 | 丸の中に× | 光るので「×」で表す |
| 導線 | まっすぐな線 | 抵抗ゼロの通り道 |
| スイッチ | レバー状の線 | 開くと電流が流れない |
| 電流計 | 丸の中にA | Ampere(アンペア)のA |
| 電圧計 | 丸の中にV | Volt(ボルト)のV |
家庭でのサポート・教え方のコツ
電流は「説明を聞いて分かったつもり」になりやすく、いざ問題を解くと止まる単元です。ご家庭では、次の3つを意識すると定着が早まります。
電池や豆電球を画面でつなぐと、電流と明るさがその場で変わる無料ツールで確認できます。
回路を組んでみるよくある質問
中学受験で電流は何年生で習いますか?
多くの塾では小学4〜5年で電気回路の基本を学び、5〜6年で直列・並列の複合回路、合成抵抗、電流計・電圧計まで踏みこみます。早い段階で「豆電球の明るさ=電流」の考え方を入れておくと、後の応用がスムーズです。
オームの法則(V=IR)は覚えるべきですか?
中学受験では、基本的に「電流=電池の数÷全体の抵抗」という相対的な考え方で十分に解けます。難しい単位や公式の暗記より、「電池の数」「全体の抵抗」を正しく数える練習を優先しましょう。
直列と並列の見分け方がわかりません。
電池の+極から出発して一周する道を指でなぞり、「途中で分かれずに一本道」なら直列、「枝分かれしてまた合流する」なら並列と判断します。まず指でなぞる習慣をつけると確実です。
豆電球が点かないのはどんなとき?
回路が一周つながっていない(断線)か、その豆電球を通らない「ショートの道」があるときです。並列の枝にだけショートがある場合、その枝の豆電球は点きません。
電熱線の発熱(水温上昇)も電流の単元ですか?
はい、一部の学校では出題されます。基本は「流れる電流が大きいほど発熱が大きい」という関係です。たとえば乾電池(電圧が一定)につないだ場合、電熱線を太くすると抵抗が小さくなって電流が増え、発熱も大きくなります。豆電球の明るさと同じく流れる電流の大きさが手がかりになるので、まずは本記事の「電流の求め方」を固めるのが先決です。
まとめ:電流は「1つの公式」で攻略できる
この記事の要点
- 豆電球の明るさ = 流れる電流の大きさ
- 電流 = 電池の数 ÷ 全体の抵抗(電池1個・電球1個を基準1とする)
- 電池は直列で増える・並列で変わらない/豆電球は直列で抵抗増・並列で減
- 合成抵抗は段階的に。枝で電球数が違うときだけ「逆数の和」
- 並列の電流配分は「抵抗の逆比」、電流計は直列・電圧計は並列
あとは、いろいろな回路で「電池の数」と「全体の抵抗」を数える練習を重ねるだけです。まずは「電流=電池の数÷抵抗」の割り算ひとつが書ければ十分。これさえ手が動くようになれば、6年生で出てくる複合回路まで、考え方は一本道でつながっていきます。
この記事の回路を、画面で動かして確かめられます。
電気・磁気ビジュアライザーを使ってみる →※「電気・磁気ビジュアライザー」は中学受験専門塾LEFYが無料で公開しているWebツールです。登録不要・スマホ対応。
