受験勉強を始めるにあたって理系を選択したみなさんの中には、共通テストで受験する社会科目をなかなか決められないでいる人も多いと思います。
そこで今回は、共通テストで受験できる社会科目と科目選択の仕方について説明していきます。
本記事は東大志望限定ではなく、理系で社会を使う方、主に国立大学を目指す理系受験生、共通テスト利用で社会が必要となる受験生に向けた内容となっていますので、参考にしてみてください。
社会にはどんな科目がある?
理系で国立大学を目指す受験生は、共通テストで社会を使うことになる場合があります。
共通テストの社会には以下の10の科目があります。
- 世界史A
- 世界史B
- 日本史A
- 日本史B
- 地理A
- 地理B
- 現代社会
- 倫理
- 政治経済
- 倫理・政治経済
しかし実は、これら10科目から自由に選ぶことができるわけではありません。
大学、学部、入試方式ごとに、選択可能な社会科目が指定されており、その指定された科目から選ばなければなりません。
国立受験なら実質5科目から選ぶ!
「社会はどれを選べばいいのだろうか…?」とお悩みの理系受験生の多くは、国立大学を目指している受験生だと思います。
多くの国立大学では、「世界史B」「日本史B」「地理B」が指定されており、「倫理」、「政治経済」については、複合型の科目である「倫理・政治経済」での受験が指定されています。
つまり、国立大学を受験する場合は、基本的には次の5科目から選択することになります。
- 世界史B
- 日本史B
- 地理B
- 倫理・政治経済
- 現代社会
ただし 、東大・京大など一部の国立大学では「現代社会」が選択できないので注意しましょう。
なぜ&どれくらい社会が重要?
理系の方が社会を受験する場合、社会がなぜ受験で必要なのか、そして、どれくらい重要なのかを知っておく必要があります。
まず国立大学についてみてみると、例えば、東京大学の入試では、共通テストの900満点が、110満点に換算されます。
つまり、共通テストの社会の点数は、2次試験の点数で言うと、最大12点程度となってしまいます。
一方で、 京都大学では共通テストの社会の点数がそのまま二次試験の成績に反映されるため、東大と比較すると共通テストの社会が合否に大きく影響すると言えるでしょう。
なお、東京科学大学(旧・東京工業大学)は、合否判定において共通テストの得点は考慮されません。(二段階選抜(足切り)はあり)
私立大学の共通テスト利用方式を受験する場合でも共通テストの社会科目の点数が必要になることがありますが、これは大学や学部によって社会の要不要、重要さは異なります。
このように、大学・学部・入試方式などによって、そもそも社会が必要か否か、また、どの科目が指定されているのか、そして、それがどれほど合否に影響するのか(主に配点)が異なります。
理系の受験生は数学、理科、そして英語に重きを置いて勉強しているはずですから、限られた時間の中でどれほど社会に注力するのかという判断は慎重になるべきです。
ご自身の志望校、受験校に応じて必要な社会科目・配点が異なるため、それに応じて受験勉強の戦略も異なるはずですから、できるだけ早めに入試の用件を募集要項などで入念に調べておく必要があります。
5つの社会科目、それぞれの特徴
「世界史B」、「日本史B」、「地理B」、「現代社会」、「倫理・政治経済」のそれぞれの特徴をご紹介していきます。
各科目、かなり特徴が異なりますので、自分に適した科目選択をするためにも、しっかりと把握しておきましょう。
世界史B
世界史Bは、社会科目の中でトップクラスに暗記量が多い科目です。
日本史も暗記量が多いとされますが、世界史は世界のことなので幅広く浅く、日本史は日本に関連した事だけなので狭く深く、といったイメージです。
そのため、世界史は問題もシンプルな知識問題が多く、覚えてさえいれば得点に繋がる傾向にあることから、得点が安定し、高得点を狙いやすい科目と言えます。
ただし、広範囲な情報を年代別に整理し、地理的な知識と関連付けて覚える必要があります。
世界史を勉強するときは、〇〇地域の▲▲年~■■年ごろについてまず学んで、次に少し先の時期の××地域を学んで…といったように進むため、教科書にそって1周勉強しただけでは、時系列の感覚をつかみづらく、また、地域を跨いだ地理的なイメージも持ちづらいはずです。
ある程度勉強した段階で、異なる地域の同時期の知識を整理する必要があります。
また、カタカナ用語がかなり出てくることも特徴です。
日本史は漢字がメインであるため、カタカナと漢字のどちらの暗記が得意か、という点も科目選択における観点としてよく挙げられます。
日本史B
日本史Bの暗記量は十分ありますが、小学校・中学校で何度か勉強していたり、常識的なことも多いことから馴染みやすく、世界史と比較すると暗記量が少ないと感じるかもしれません。
世界史は世界の広い知識が求められますが、日本史は日本に関連することだけと範囲が狭い分、細かな知識も問われ、文化史もかなり出題されます。
また、これに関連して、世界史はそもそも範囲が広すぎるため、特定のどこかを深く掘り下げた難問は出題されにくい傾向にありますが、日本史は、範囲が限定的であることから、掘り下げた難しい問題が出題されることがあります。
そのため、難易度の高い大学では、覚えてさえしまえば世界史のほうが得点しやすく、難易度が下がると、範囲が狭い分、日本史のほうがコスパがいい、と言えます。
世界史ではカタカナが多く登場する一方で、日本史はほとんどが漢字の用語であるという点も特徴の1つです。
地理B
地理Bは、日本史、世界史と比較すると暗記量がかなり少ないものの、その知識を使って考えることが求められる科目です。
地理の中には「系統地理」と「地誌」があります。
「系統地理」は例えば「気候」「人口」などの特定のテーマを、場所に関係なく学習する分野であり、「地誌」はテーマ別ではなく、地域や大陸別に地形や産業などについて学習していく分野です。
これらの学習した知識をベースに、問題の数値、グラフなどを踏まえ、考えて解くことがメインになるため、理系に向いていると言われています。
ただし、考えることが求められる分、9割以上の高得点を安定して取ることが難しい傾向にあります。
そのため、社会で高得点を狙いたい人は世界史・日本史を選ぶ傾向にあり、最低限の点数を確保すればよかったり、また、社会の勉強時間を捻出しづらい人は地理を選ぶことが多いです。
倫理・政治経済
倫理・政治経済も世界史、日本史と比べると暗記量が少ない科目で、かなり取り組みやすい科目とされています。
ザーッと勉強しただけで5割程度は取れたという人もいるほどです。
倫理では、哲学者の思想、宗教などについて学び、範囲がかなり限定的であるため、暗記量は非常に少ない科目です。
政治経済では、国会や選挙など政治について、また、時事ニュース等についても学ぶことになります。
過去に習ったことを覚えていたり、ニュースで取り上げられていること、政治のことなどについてざっくり知っていると、勉強がかなり楽に感じることもあるかもしれません。
ただし、地理ほどではないものの、思考力を求められる問題があることから、社会科目の中では安定して高得点を狙うのは比較的難しい科目です。
現代社会
現代社会は、暗記量が少なく、一定程度思考力が求められるため、倫理・政治経済に近いイメージになります。
時事問題や政治のニュースを見て得た教養で解けるようなものも出題されるため、高得点は狙いづらい科目ではありますが、常識的なこともあったりと、少し勉強すればある程度の点数を取れるようになる科目です。
ただし、先ほども述べた通り、現代社会は旧帝大をはじめとしたいくつかの大学では選択できないため、注意しましょう。
何を基準に選んだらいい?
「科目の特徴はわかっても、本当にそれだけで選んでいいのか…?」と不安になる方もいるでしょう。
改めて、社会科目の選び方、基準についてご説明します。
得意/不得意から選ぶ
まずは、先述した各科目の特徴と、自分の得意・不得意から選ぶべきでしょう。
暗記が苦手にもかかわらず世界史を選択してしまうと、かなり大変な思いをすることになるはずです。
逆に、暗記がかなり得意だという方は世界史や日本史を選択肢すれば、暗記さえできれば安定して高得点を狙うことができます。
少しでも興味の湧く科目
理系の受験生は、数学や理科、英語の優先順位が高く、社会は後回しにされがちです。
それは当然のことで、勉強するときに気合が入りづらいこともあるでしょう。
そんな中で少しでも効率的に勉強していくためには、あまりに苦手意識が強かったり、抵抗感のある科目はおすすめできません。
受験期は毎日8~10時間程度勉強することになりますので、抵抗感が強いと集中できず、勉強時間の割に全然身につかないといったことも起きてしまいます。
もちろん、勉強を心から楽しむことは難しいと思いますが、少しでも興味の湧く科目を選ぶようにしたほうがよいでしょう。
選択した理科との相性を考えて選ぶ
理科で選んだ科目を踏まえて、社会の科目を考えることも大切です。
例えば、理科で生物を選択している場合、暗記量がかなり多いため、社会で世界史や日本史を選択するとかなり膨大な暗記が必要となってしまいます。
そのため、社会では暗記量が少なめである地理Bなどを選ぶと良いでしょう。
また、地理と生物であればどちらもバイオームや気候について学ぶなど被っている内容がいくつか存在します。
理科と社会ですので大きな重複はありませんが、少しでも関連していると理解がスムーズになります。
将来の進路に関連するものを選ぶ
大学で学びたいこと、研究したいこと、また大学卒業後に社会に出てからの仕事に関連することなど、将来について夢や目標が具体的になっている場合は、それに関連した科目を選ぶべきでしょう。
具体的な夢や目標にそって大学を選ぶ場合、学部の入試用件に科目が指定されていることもあります。
結局おすすめはどの科目?
では、結局のところどの科目がおすすめなのか、個人的におすすめな科目を紹介したいと思います。
理系の方が選択する社会科目の中で一番おすすめなのは、地理Bと倫理・政治経済です。
理由は「暗記が少なくてすむ」ことと「受験できる大学が多い」ためです。
受験する大学によって重要度は異なりますが、多くの理系の受験生の方にとって、社会は共通テストのみで利用するため、数学や理科、英語に比べると優先順位はどうしても下がり、なかなか時間を割きづらいものです。
そのため、暗記量が多く、それに伴って必要な勉強時間も多くなる世界史Bと日本史Bは負担が大きくなるため、あまりお勧めできません。
もちろん、しっかり勉強すれば高得点で安定する科目ではありますので、その他の科目に余裕があり、社会も高得点を狙いたいということであれば選んでも問題ないと思います。
自分に最適な科目を選ぶことが大切
暗記は大変だが高得点を取りやすい、暗記は少ないが高得点を狙いづらい、などなど科目ごとに特徴がありますが、様々なことを考慮して科目を選ぶことが大切です。
いくら暗記が得意だとしても、生物を選択していて、さらに数学や英語もかなり不安な状態であれば、世界史・日本史を選んでしまうとかなり大変なことになります。
一方で、共通テスト利用を狙っているなど、社会の点数が重要なのであれば、しっかりと高得点を狙っていくことも大切です。
他の科目の完成度、自分の得手不得手、志望大学・学部の指定科目などを総合的に考慮して決めるようにしましょう。
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