受験

中学受験は5年から始めて間に合う?逆転合格の実例はある?

中学受験は多くのご家庭は小4から準備を始めますが、5年生から中学受験を目指す方もいらっしゃいます。

周囲が4年生から受験勉強を開始し、すでに1年分の差が開いていることから「今から勉強を始めて合格することはできるのだろうか…」と不安になる方も多いでしょう。

実際には5年生からの巻き返しを成功させ、志望校合格を勝ち取った事例は存在します。

本記事では、なぜ5年生スタートが遅いとされるのか、その中でどうすれば挽回できるのか、具体的な戦略や学習計画、さらにはモチベーション維持の工夫などをお伝えします。

なぜ「5年生スタート」は遅いと言われるのか

中学受験カリキュラムは原則「4年生開始」が前提

中学受験塾の多くが4年生からの3年間を前提にカリキュラムを組んでおり、5年生の初め(正確には小4の2月)頃には、一定量の学習が進んでいます。

ざっくり捉えると、中学受験のカリキュラムは、4年生で基礎的な内容を学習し、5年生で中学受験のコアとなるような内容に踏み込むことになります。
5年生の終わりには、一通り中学受験の出題範囲のベースは学習が完了し、6年生では入試に向けてより発展的な内容を学習することになります。

つまり、5年生から中学受験塾に入塾すると、小4が学ぶとされる基礎的な内容が抜けた状態で小5の授業を受けることになります。

下位クラスからのスタート

多くの塾では成績に応じてクラス分けが行われます。

5年生途中から入塾すると、下位クラスでスタートすることが一般的で、中学受験で難関中学に合格するためには上位クラスに在籍することが基準になります。

ある程度難易度の高い中学の受験を目指す場合は、小5から入塾して、クラスをいくつも上げないいけません。

5年生から追いつくために!塾選びと学習計画

授業進度・難易度に差がある大手塾の特徴を知る

大手塾によって、カリキュラムの進度や扱う問題の難易度が大きく異なります。

5年生から合流する場合、進度が速すぎる塾や扱う問題のレベルが高い塾では上手くいかない可能性があります。
最難関中学への合格実績が豊富な塾は、難関中学を目指すお子さんをメインターゲットとして授業進度、テキストを作成しているため、小5から追いつくことはかなりハードルが高いでしょう。

小5から中学受験を目指す場合は、偏差値上の中堅校以下も含めて、幅広い学校への合格実績が豊富な大手塾をおすすめします。
勉強が苦手なお子さんを対象としたクラスもあり、そういったクラスでは、あえて難しい問題には手を出さず、必要に応じて部分的に小4範囲も繰り返し教えてくれることがあります。

個別指導や家庭教師を組み合わせた効率的なサポート体制

小5から中学受験を目指す場合、小4範囲の学びなおしは必ず必要になります。

毎週進んでいく小5の授業と別軸で小4範囲を学びなおすのか、それとも毎週進んでいく小5範囲に関連する小4範囲を勉強するのかは、スタイルによりますが、小4範囲の勉強を教えてあげる存在が必要です。

親が教えてあげることができない場合は、個別指導塾や家庭教師を利用しましょう。

少なくとも、算数と理科は5年生の夏の終わりまでに小4範囲も網羅的に勉強が完了することが理想です。

夏休み期間に、個別指導塾や家庭教師を利用して追い付きましょう。

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焦って難しい問題や応用問題に取り組んではいけない

集団塾では毎月テストがあり、その中には応用問題がいくつか含まれています。

応用問題を解けないといい成績をとれないからといって、無理に応用問題も勉強させてしまう親は多くいます。

しかし、応用問題の解き方を無理やり覚えてテストで得点できたとしても、すぐに解き方を忘れてしまいます。

基礎を何度も繰り返し、本質を掴めるようにすることで、徐々に応用問題も解けるようになりますので、焦って応用的な内容に飛びつかないようにしましょう。

志望校選びのコツ

初めに科目数の目標設定を!

多くの中学は算数・国語・理科・社会の4科目で受験することになりますが、2科目での受験、英語を使った受験方法もあります。

また、公立中高一貫校を受験するのであれば、適性検査や作文が必要になります。

小5から中学受験を目指す場合は、一切遠回りはできませんので、最終目標をしっかり認識してからスタートすることが大切です。

現実的な偏差値帯の志望校を選ぶ。背伸びしすぎない。

小5から中学受験をスタートすると、基本的には、難関校への合格は難しくなります。

小4から必死に勉強しているお子さんがギリギリで合格するような学校ばかりを目標にしないようにしましょう。

チャレンジ校として偏差値が届かない学校も視野に入れることは全く問題ありませんが、現実的に合格の可能性が高い学校を幅広く見ておくことが大切です。

5年生スタートでも成功した実例

5年生から中学受験をスタートして成功したパターンとして以下のような事例があります。

小4範囲の復習に注力し、小6の半ばで周囲に追いついた事例

5年生の勉強と同時に小4内容の勉強に取り組み、5年生いっぱいをかけて小4範囲の学習を終えることで、小6になってやっと周囲のレベルに追いついた事例です。

毎週の授業をこなしながら小4範囲の勉強を進めると、追い付くのに1年程度はかかってしまいます。

決して背伸びをせず、着実に小4範囲の学習を進めたことで、成功した事例です。

塾内テストの結果は重要な指標ではありますが、受験する中学で難しい問題が出題されるのかという点を重視しましょう。

家庭教師・個別指導を活用して偏差値アップを果たした実例

小5の毎週の授業の勉強に加えて、小4範囲の勉強をご家庭だけでこなしていくのはかなりハードルが高いことです。

小4、小5範囲の勉強は別物ではなく、小4範囲がベースになっていますから、目の前の小5内容が分からない場合は、関連する小4の内容に立ち返って学習する必要があります。

特に算数や理科は、中学受験特有の考え方もありますので、経験がない場合は親が教えるのも難しいでしょう。

個別指導塾や家庭教師を活用すると、小5内容をメインで学びながら、必要なところだけ小5範囲の学習順に合わせて小4範囲を学びなおすことができます。

これにより、効率的に成績アップを実現した事例もあります。

5年生からの中学受験が向かないケース

周囲の環境が受験と乖離している場合

近隣の同級生が全く受験しない環境で、学習への理解やサポートが得られない場合、子どもはモチベーションを失いやすくなります。

周囲の理解と協力が得られない状況では5年生からの巻き返しが困難になりがちです。

勉強嫌い・学習習慣がない場合

学習習慣がなく、勉強嫌いな子が5年生から急に受験勉強を始めると、大幅なライフスタイルの変化に耐えられないことがあります。

小4はどの塾も週2回程度の通塾ですが、小5になると増え、小6になると週に4,5回以上の通塾になることもあります。

急に勉強だらけの日々に順応できず、中学受験に嫌気がさしてしまう可能性があります。

※以下、大手中学受験塾の小4から小6の1週間あたりの通塾日数です。
どの塾も、(特に小6は)特訓講座のようなものが増え、以下に記載の日数に+1日される可能性があります。

塾名通塾日数
小4小5小6
SAPIX週2回週3回週3回
(9月以降は週4回)
グノーブル週2回週2回週3回
(9月以降は週4回)
四谷大塚週3回週3回週4回
日能研週2回週3回週4,5回
希学園(首都圏)週2回週3回週4回

親が「任せきり」になってしまう場合

5年生からの挽回には、勉強のサポート、学習計画の作成、微修正など親のサポートが欠かせません

ただでさえ毎週の授業の予習や復習で忙しい中、小4範囲の復習も必要になります。

小学生は自分で計画を立てて学習を進めることは難しく、親が主導で進めてあげる必要があります。

共働きなどで時間を作れない場合は個別指導塾や家庭教師を利用し、第三者にペースを作ってもらうことも検討しましょう。

5年生からの中学受験を成功に導くために

5年生スタートでも巻き返しは可能といえますが、そのためには基礎固め、塾や教材の使い分け、現実的な志望校選定、そして家庭でのサポートが欠かせません。
欠落している分を補いながら新たな知識を短期間で身につけるには、かなり戦略的な対応が求められます。

お子さんが勉強に追いつくことができるかどうかという点に加えて、親が十分にサポートできるのかという点も十分検討しましょう。