受験

慶應に逆転合格した話って嘘っぽい!本当に受かる現実的なプランはある?

「早慶に〇カ月で逆転合格!」というような体験談を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

特に

「この成績だと早慶なんて無理な気がする…」
「ここまで勉強をさぼってきちゃったけど、残り期間だけ頑張りたい。どこなら目指せるんだろう?」

と思っている高2、高3生の方にとっては、魅力的で希望になる体験談だと思います。

そして、そういった希望をもって塾に入塾したり、また、一方でそういった体験談をみて

「〇カ月で逆転合格できるなら、まだ本気でやらなくていいか…」

と思ってしまう方もいると思います。

その体験談を書き、逆転合格を経験した方の当時の学力や、ポテンシャル、趣味、通っていた学校などを知ることなく、ただ”〇カ月で逆転合格した”という部分だけを信じ、自分も逆転合格できるのではないかと信じてしまうのは危険です。

今回は、

  • 本当に短期間での逆転合格はありえるのか?
  • ありえるのであれば、それはどんな人なのか?
  • 多くの受験生が逆転合格するにはなにをすればいいのか?

という点について、慶応義塾大学にも合格している現役講師が本音で解説していきます。

結論!逆転合格は本当にいる!しかし…

まず、短期間で成績を伸ばし、逆転合格する人は確かにいます。しかし、逆転合格は受験生全体で考えると非常にレアなケースと考えましょう。基本的には、勉強をさぼってしまった高校生の大多数は、成績どおりの大学へ進学することになります。

私自身が通っていた高校では逆転合格とされていた生徒は学年に数人しかいませんでした。

では、どのような人が逆転合格に成功するのでしょうか。逆転合格した方にはいくつかの共通点があると思いますので、個人的に感じた共通点を紹介します。

逆転合格のほぼ全員が私立の文系学部

逆転合格はそのほとんどが私立の文系学部の生徒のはずです。ご存知の方も多いと思いますが、有名な「ビリギャル」のモデルとなった方も私立文系の方です。
以下のような特徴があることから、理系や国立文系と比較して私立文系では逆転合格が起こりやすいのでしょう。

  • 数学を使わずに受験できる
  • 文系の副教科は暗記科目が多く、理系科目よりも負担が少ない

逆転合格を目指す方の多くは、学校の成績が長期にわたって低迷しているケースがほとんどのはずです。なかでも特に英語・数学の成績が悪い方も多いでしょう。そういった場合に、短期間で英・数、両科目の成績を急激に伸ばすことは難しいです。

特に数学はある単元で習ったことを基礎として、次の単元にステップアップしていくため、成績を上げて安定させるにはかなりの時間と努力が必要です。

また、副教科も理系科目(化学、物理など)は学習した内容を十分に理解した上で問題に応じて考えることが求められます。内容を理解するのに時間がかかったり、理解しても問題演習で躓いて時間がかかってしまうなんてことも起こります。

一方で、文系科目は暗記中心の勉強となるため、理系科目と比べて勉強しやすく、文系科目の方が短期間での成績アップが狙いやすい傾向にあります。

ポテンシャルの高かった人が多い

他にも逆転合格を勝ち取る生徒には以下のような特徴があり、総じてポテンシャルの高い人が多いと言えます。また、私立の文系学部では英語の配点が高い大学・学部が多いので、帰国子女の方や幼少期から英会話や英語の勉強を続けてきた方は有利に受験勉強を進めている印象を受けます。

  • 中学受験で難関中学に合格してる
  • 高校受験で難関高校に合格してる
  • 勉強をさぼっていたけど、勉強すればできるタイプ
  • 長時間集中して勉強することができる
  • テストで緊張せず本領発揮できるタイプ
  • 帰国子女、小さい頃から英会話などに通っている

ほとんどの場合、最低でも8カ月以上は猛勉強している

現状の成績にもよりますが、特殊なケースを除いて、最難関大学への逆転合格を目指す場合は最低でも8カ月以上の猛勉強が必要なはずです。科目数を絞って勉強するとしても、基本的な内容の学習から始めて、難関大の入試問題レベルまで取り組むためには相応の時間がかかります。

科目数を絞ったとしても、およそ1~4年分、これまで真面目にやってこなかったことに取り組むことを考えると、目安として最低でも8カ月以上の期間が必要と考えるのが妥当でしょう。

慶應の文系学部の概要

これまでお話してきたとおり、逆転合格のほとんどが文系学部の方のはずですので、今回は慶應の文系学部の逆転合格に絞って考えます。
残された時間や自分の労力を何に注力して使うべきかを考えるために、文系学部の概要から整理しましょう。

慶應文系学部の受験科目(一般選抜)

まずは慶應の文系学部にどんな学部があるのかとそれぞれの受験で使用できる科目を整理します。

学部科目科目数
外国語
地理歴史
小論文
3科目
経済外国語
数学(A方式)
地理歴史(B方式)
小論文
3科目
外国語
地理歴史
小論文
3科目
外国語
地理歴史
数学(A方式)
論文テスト(B方式)
3科目
総合
政策
小論文
と以下から選択
①数学のみ
②情報と数学
③外国語のみ
④外国語と数学
2科目 or
3科目
環境
情報
小論文
と以下から選択
①数学のみ
②情報と数学
③外国語のみ
④外国語と数学
2科目 or
3科目
2025 年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について▼
231201_generaladmissions2025.pdf (keio.ac.jp)
最終アクセス:2024年4月1日

慶應の文系学部は基本的に英語、社会1科目、小論文の3科目を受験科目として使用できます。学部によっては数学を受験科目として使うことも可能ですが、今回は私立専願の方に多い英語、社会1科目、小論文での逆転合格について考えます。

慶應の文系学部の配点

次に各学部の科目ごとの配点をみていきましょう。

文学部

科目配点配点比率
外国語150約42%
地理歴史100約29%
小論文100約29%

経済学部

科目配点配点比率
外国語200約47%
地理歴史150約36%
小論文70約17%

法学部

科目配点配点比率
外国語200約45%
地理歴史150約33%
小論文100約22%

商学部

科目配点配点比率
外国語20050%
地理歴史10025%
小論文10025%

総合政策学部

科目配点配点比率
小論文20050%
外国語20050%

環境情報学部

科目配点配点比率
小論文20050%
外国語20050%
2025 年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について▼
231201_generaladmissions2025.pdf (keio.ac.jp)
最終アクセス:2024年4月1日

得点の配点比率は合否に大きく影響します。学校の定期試験では全ての科目の得点比率が大体同じくらいであることが多いと思いますが、商学部のように英語の配点が全体の半分を占めることもあるため、必ず各学部の配点比率を確認しましょう。

逆転合格するためには!

周囲の人と同じようなペース・やり方で勉強していても、逆転合格することは難しいはずです。
ここからは、逆転合格を達成するためのアクションを紹介していきます。

①過去問研究

まずは必ず過去問の研究に取りかかりましょう。

「過去問なんて手も足も出ない、、、」
「どうせ1問も解けない
、、、」

と思う方もいるでしょう。しかし、問題の難易度や出題形式・傾向を把握するために必ず過去問を確認するようにしましょう。
当然ですが、最終的には志望校での入試問題を解けるかどうかで合否が決まります。そのため、どのような問題に入試本番で対峙するのかを最初に知っておくことはとても重要です。

また、過去問にしっかりと目を通すと、学部ごとに、出題範囲や出題形式に傾向・特徴があると感じるはずです。少しでも解けそうなものは(例えば英語だけでも)実際に問題を解き、傾向や特徴を自分なりに整理しましょう。例えば、経済学部は英作文がある、法学部は難しい単語の問題が出題される、といった感じでまとめてみてもいいです。

一方で、インターネットや本で傾向や出題形式を調べることも有効です。ただ、実際に問題を見ないと具体的な問題のイメージをつかむことは難しいので、実際に問題を解いて分かったことと、調べて分かったことを比較することをおススメします。

②合格ラインの確認・目標設定

次に、合格最低点などの情報から、どの科目でどれくらいの得点率を取れば、合格ラインに到達するのかを考えて得点の目標を設定しましょう。なお、学部や受験方式によって異なりますが、合格ラインの得点率はおおむね6~7割です。

目標を設定する際は、問題の難易度を確認しながら、英語○○点、社会○○点、小論文○○点といったように、なるべく具体的に設定しましょう。また、小論文の得点目標を設定するのが難しい場合は、受験者平均などを用いて他の科目の得点目標を考えてみましょう。

③現状把握

得点の目標を設定できたら、自分の現在の学力をできるだけ詳細に把握しましょう。例えば、以下のようなイメージです。

《英語》
単語:ターゲット1900は3割くらい覚えてる
熟語:解体英熟語は200くらいまで覚えてる
文法の理解度:文法は文型、不定詞あたりから理解できてない
文法の定着度:VintageやNext Stageなどは9割できないし、覚えてない
長文:教科書レベルでも長文はほとんど読めないし、試験ではほとんど0点
英作文:書いたことがないので書き方も分からない、試験ではほとんど0点

上記のように自分の言葉でまとめてみることで、勉強の優先順位や取り組む順番を決める時の参考になります。逆転合格を目指す場合は、時間がないので学習の順序を間違えない事も非常に重要になってきます。

④取り組む内容のリストアップ

現状を把握したら、過去問を参照しながら、なにをどれくらい勉強しなければいけないのかを一覧にしましょう。過去問で目標点を取ることがゴールですから、目標点を取るためには何が足りないのかを意識しつつ、可能な限り具体的に書き出すのが理想的です。

過去問を見ても、入試問題で合格点を取るために何が足りないか、が分からない方もいると思います。そういった場合は、信頼できる学校の先生や塾の先生にアドバイスしてもらうようにしましょう。

《英語》
単語:△△単語帳を〇周
熟語:◇◇塾語帳をあと〇周
文法:☆☆文法問題集を〇周
というように、受験で使うすべての科目においてリストアップしましょう。

また、リストアップする時は「☆☆文法問題集をやる!」といった書き方にならないにしましょう。計画を作る時にどれくらいの時間がかかるのかが分かるようにすることが大切ですので、「☆☆文法問題集の○○ページから○○ページまでを2周」というところまで具体化しましょう。

⑤取り組む内容の大まかな順序の整理

次に自分の学力と得点の目標を参照しながら、取り組む内容の優先順位や順序を科目ごとに決めましょう。
英語を例にとると、

  1. 基本的なレベルの単語・熟語の暗記と文法の説明を読む
  2. 覚えた単語や熟語のチェックと文法の演習
  3. 単語・熟語、文法の参考書を繰り返し演習
  4. 上記で8割以上正解できるまで演習
  5. 大学入試レベルの参考書で読解と英作文の演習
  6. 読解で8割以上正解できたら、過去問演習に取り組む
  7. 時間が余ったら英検1級レベルの単語を覚える

といった感じです。

極端な例ですが、取り組む内容の順番を整理しないと、以下のようなことが起こってしまいます。
悪い例①
単語や熟語、基本的な文法も覚えてないのに、いきなり過去問の読解や英作文に取り組んでしまう。
悪い例②
(法学部の試験で英検1級レベルの単語が出ているという理由で)英検1級の単語帳を10周する、といったことをリストアップし、優先的に取り組んでしまう。

こういったことをしないよう、勉強内容の優先順位をできるだけ整理しましょう。

⑥計画の作成・実行

勉強の内容・順番が決まってきたら計画を作成し、実行しましょう。この時、スケジュールはタイトになりすぎないようにしましょう。タイトなスケジュールにしてしまうと、計画どおりに進められず、挫折してしまうかもしれませんし、計画した意味がなくなってしまうなんてこともあると思います。

計画作成時の注意点

最後に、ここまでの内容を踏まえて、慶應への逆転合格のための計画を作成・実行する時の注意点をまとめて紹介します。

慶應は英語の配点が高いことを常に意識する

配点比率が大きい科目の方が得点差がつきやすく、合否に与える影響が大きい傾向にあることは簡単にイメージできると思います。3科目に均等に配点した場合、配点比率はおよそ33.3%ですので、慶應の文系学部は英語の配点が高いことが分かります。そのため、最優先で英語に取り組むような計画になっているかを確認しましょう。

文系学部の英語の配点比率

学部英語の配点比率
42%
経済47%
45%
50%
総合政策50%
環境情報50%

志望学部を絞って対策する

進学する学部に特にこだわりがない場合は、問題の出題形式やレベルが近い学部に絞って対策をしても良いでしょう。学部別に対策する場合は時間がかかってしまいますので、時間のない方は複数学部の対策になるような勉強に時間を優先的に割くことで合格する可能性をあげられるでしょう。

例えば、経済学部や文学部では英作文が出題されます。英作文が苦手な方は、時間のない中で英作文の対策に時間を割くことは難しいはずです。そういった場合は、法学部、商学部、総合政策、環境情報学部の対策を優先し、読解演習に時間を充てるようにするといった感じです。

小論文対策はどうする?

慶應の受験を検討する際、小論文対策をどうしようかと悩んでしまう方も多いと思います。小論文対策は可能な限りすべきですが、英語や社会に比べると優先順位は低いです。

先に述べたとおり、慶應の文系学部は英語の配点が高いです。また、学部毎に小論文を対策するとなると、相応の時間を費やさなければけません。さらに、慶應以外の大学では小論文を受験科目として使用せずに受験するケースがほとんどだと思います。

そういったことも含めて総合的に考えると、受験本番まで時間のない受験生は小論文よりも英語や社会を優先した方が良いでしょう。

勉強の質を改善

短期間で合格を目指す場合は、できるだけ無駄のない勉強をすることが求められます。勉強方法は人によって相性もあるため、個別に検討しなければいけませんが、実際の試験で合格点以上を取得するという目的は共通しています。

勉強方法やどの参考書で勉強しようか悩んだら、必ず過去問を確認しましょう。その際、どの参考書をどの程度やったら問題が解けるようになり、どれくらいのレベル・難易度の問題で何問正解したら合格ラインを超えるのかを繰り返しイメージし、勉強方法を改善するようにしましょう。

また、同じような境遇から逆転合格に成功した先輩の勉強方法を聞いてみるのもいいかもしれません。

レフィーでは難関大学合格に向けた勉強のアドバイスをしています。
無料の学習カウンセリングも実施していますので、もしご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。

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