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中学受験と習い事は両立可能?いつ辞める?

中学受験は、小学生が高校受験や大学受験並みの勉強量をこなすことになります。

小4ごろから本格的な通塾が始まり、小6になるとほぼ毎日勉強漬けのような生活になり、リフレッシュとして遊ぶ時間や習い事の時間の捻出に悩むことになります。
「いつまでゲームをしたり習い事を続けてよいのだろうか…」とお悩みのお母さんやお父さんも多いでしょう。

中学受験をしないお子さんの多くは友達と遊んだり、ゲームをしたり、習い事に打ち込んでいますので、親の一存でゲームを禁止したり、習い事を辞めさせてしまい「なんで自分だけ…!」とお子さんに思われてしまうと、本末転倒な結果になりかねません。

習い事をしている小学生は増加傾向

習い事をしている小学生は年々増加傾向にありそうです。

アクサ生命の第8回子どものおけいこ事に関する調査によると、子どもにおけいこ事をさせている親の割合は2022年に55.9%となり、これは2013年以降で最多の値となっています。

また、学研教育総合研究所の小学生白書によれば、「学校以外で行っている習い事はない」と回答した人の割合が、2022年では27.5%だったところ、2023年には22.9%となっており、直近の1年間でも習い事をしている小学生は増えている可能性があります。

少子化で子供の数が減少しているのに反して、子ども一人当たりの年間教育費が年々上がっているという調査もあり、中学受験をする子供の数も、習い事をしている子どもの数も増えているようです。
参議院の調査室が発表している調査室作成資料「経済のプリズム」

習い事は中学受験でメリットに働くことも

「習い事をしていても中学受験の成績には何の効果もない!」なんてことはありません。

習い事がプラスに働くことも十分あります。

運動不足解消・リフレッシュ

特にスポーツ系の習い事であれば運動不足解消、気分のリフレッシュにつながるでしょう。

中学受験では毎日何時間も勉強することになりますが、長い時間、集中して勉強に取り組めるお子さんは多くありません。
長時間椅子に座って勉強することは想像以上に体力が必要です。

しっかりとスポーツを継続することで、集中力が持続し、勉強するために必要な体力が培われます。

中学受験でもしっかりと成績が伸び、難関校にも合格し、中高でも良い成績を維持できるお子さんにはスポーツ経験があるお子さんもかなり多いです。

効率的に集中して勉強できるようになる

中学受験の塾は小4では週に2回程度、小6になると週に4,5日も通うことになります。

塾に加えて習い事をしていると、余裕をもってゲームしたり遊ぶ時間を取れませんし、そもそも塾の宿題をやる時間もかなり限られることになります。

そのため、限られた時間で効率的に塾の宿題をこなす必要があり、時間を意識して、限られた時間内にしっかり身に着けて宿題を終わらせようという意識が芽生える可能性があります。

中学受験では、お子さんが当事者意識を持ち、「知ろう・理解しよう・出来るようにしよう」と思えるかどうかがとてつもなく大きな差につながります。

様々な能力の成長が、成績UPにつながることも!

中学受験に向いているお子さんは、精神的に早熟なお子さんであるということがよく言われます。

たしかに傾向としてその通りだと感じますが、細かく具体的に
「どこがどう精神的に早熟なのか」
「どうすれば精神的に成長するのか」
という点に回答するのは非常に難しいです。

ご家庭でのお父さん、お母さんとのコミュニケーション、友達環境、本を読むかどうか、挫折経験、スポーツ経験の有無など、様々なことがそれぞれのお子さんの知識・経験の違いを生んでおり、習い事の影響も大きいことは間違いないでしょう。

どんな習い事でも、集中力、図形感覚、忍耐力、コミュニケーション力、語彙、心情理解など予測できない観点の学びや経験があるはずで、それらが成績アップにつながることもあります。

習い事と中学受験を両立している人はいる?

習い事と中学受験の勉強を両立している人は少なくありません。
週に1,2回、スポーツや音楽系の習い事をしている方はいらっしゃいます。

ただ、目指す学校が難しい受験生ほど、習い事を辞める時期が早くなり、小6まで習い事をしている人の割合はかなり下がることは事実です。
難関校を本格的に目指す小学生の場合、小6時点で塾以外の習い事を継続している人はかなり減ります。

決して難関校に合格することが全てではありませんので、文武両道を目指すのか、それとも勉強だけに絞って必死に難関校合格を目指すのか、どのようなスタイルで中学受験に臨むのかをご家庭でお子さんと一緒に検討しましょう。

結局、習い事はいつまで続けられそう?

習い事を続けるか辞めるか真剣に悩み始めるのは、通塾が増え、宿題に追われ始めた時が多いでしょう。
また、それに伴い成績が下降気味になると「そろそろ習い事は辞めて中学受験に専念しなきゃいけないかな…」と考え始めることになります。

以下、大手中学受験塾の小4から小6の1週間あたりの通塾日数です。
どの塾も、(特に小6は)特訓講座のようなものが増え、以下に記載の日数に+1日される可能性があります。

塾名通塾日数
小4小5小6
SAPIX週2回週3回週3回
(9月以降は週4回)
グノーブル週2回週2回週3回
(9月以降は週4回)
四谷大塚週3回週3回週4回
日能研週2回週3回週4,5回
希学園(首都圏)週2回週3回週4回

SAPIX カリキュラム
中学受験グノーブル 6年生の授業
四谷大塚渋谷校舎 時間割
2023年度 予科・本科教室時間割
希学園 学習システム

小4、小5では塾によって週に2回、3回、4回と開きがありますが、小6になるとどの塾も週4、週5回の通塾が必要になってきます。

そのため、多くの方が習い事を辞めるのは小5終わり~小6頭頃です。

週4,5日の通塾が必要になり、塾の授業時間も夕方ごろから21時ごろまで(場合によってはもっと遅くまで)かかります。

週の残りの2,3日で宿題や過去問に取り組む必要があると考えると、物理的に習い事に通う時間がなくなってしまいます…。

習い事を辞める時は親が勝手に決めない。絶対にお子さんと相談。

習い事を辞めることを親が勝手に決めてはいけません。

お子さんが習い事を続けたがっているのに無理やりやめさせてしまうと、以下のような事態になりかねません。

  • なんで自分の好きなことを勝手に辞めさせて、好きじゃない勉強ばかりさせるのだと不満がたまる。
  • 親の指示に従うが、主体的ではなく、形ばかりの勉強になってしまう。その結果、勉強時間は長いのに全然身につかない。

中学校の文化祭に足を運んだりとお子さんに当事者意識をもってもらい、学年が上がったら通塾日数が増えること、宿題をちゃんとやらないと志望校に合格することは難しいことなどをちゃんと伝え、習い事を続けるか否か、お子さんと一緒に考えましょう。

中学受験が終わったらすぐに習い事に復帰することも約束できると良いですね。

習い事をやめても成績が伸びない可能性が高い

先ほどみたように、学年が上がると通塾日数が増え、内容も難しくなる上に宿題も多くなり、さらに個別指導塾や家庭教師も…となると物理的に習い事の時間を確保できなくなってしまいます。

そういった場合に、お子さんが自ら習い事を辞めて中学受験に専念しようという意思を持っていれば、習い事を辞めれば成績が伸びるでしょう。

ただ、習い事は辞めるとしても小5の後半頃~小6の頭ごろになります。

小4、小5の段階で成績を伸ばすために(成績が下がったから)習い事を辞めることはおすすめしません。

小4、小5の段階で成績が伸びていない場合、ほとんどのケースにおいて、時間が足りないことが原因ではないはずです。
この時期に学ぶ内容は、小6で学習する内容と比べれば簡単ですし、毎日余暇を作れないほどに勉強漬けになることはないでしょう。

小4、小5の段階では、習い事などを削って勉強時間を確保するよりも先に、現在の生活スタイルの中で十分な勉強時間を確保し、その中で取り組める量を増やすような工夫をするべきです。
また、ベストな勉強の仕方、サイクルを早い段階で確立することを目指しましょう。