私立中高一貫校は公立中学と比べて難しい内容が扱われ、進度も早いことが特徴です。
また、中学受験で燃え尽き、私立中学に入学してから、いわゆる「中だるみ」「深海魚」の状態で、成績が低迷してしまうお子さんが多数います。
あまりに成績が悪いと
「このままだと留年してしまうのではないか…」
と不安が頭をよぎる方もいるでしょう。
結論、私立中高一貫校の中学で留年することは極めて稀です。
一方、高校では留年する方が一定数存在します。
公立中学では留年はかなり少ない!「年齢主義」
公立中学では留年は極めて稀です。
留年の正式名称は「原級留置」と言います。
福岡市の小・中学校管理規則では、以下のように述べられています。
(原級留置)
第9条の3 校長は、児童生徒の成績を評価した結果、学年の課程の修了又は卒業を認めることができないと判定したときは、その児童生徒を原学年に留め置くことができる。
2 校長が前項の処置を行つたときは、その理由を付して教育委員会に報告しなければならない。
これによれば、仕組み上は成績によっては留年する可能性があるということです。
しかし実態としては、制度上は小・中学校でも留年が想定されているものの、現行の日本の教育制度では年齢主義が採用されているため、公立中学では留年する人は限りなくゼロに近いのです。
例外的に、不登校や入院等で出席日数がかなり少ない場合などに、学校から留年するかの意向を尋ねられ、それに「はい」と応じた場合は留年があるようですが、極少数の事例のようです。
年齢主義とは、特定の集団に対して、一定の期間をかけて共通の教育を行う方針です。
ちなみに、フランスや西ヨーロッパ諸国ではでは、課程主義が採られていることがあります。
課程主義では、個々人の学力やカリキュラムの履修状況に応じて学習内容を提供するため、成績等によって中学でも留年が十分あり得ます。
現在の日本においては、仕組み上は留年する可能性はあるが、年齢主義の方針により、実態として留年は限りなく少ないということになります。
ただし、法律等で中学は留年しないということが定められているわけではありません。
私立中学では留年があるが、それでもかなり少ない
私立中学の場合、学校個別に留年の規定を設けている可能性があり、公立中学よりも留年の可能性が高いと言えるでしょう。
とはいえ、中高一貫校の先生方に聞くと、私立中高一貫校とはいえ、中学での留年はかなり限られた事例のようです。
ただし、中学での留年は極めて稀なものの、高校に上がれないケースはあります。
成績不振、出席日数が足りないこと等々がよくある理由です。
中高一貫校で高校への進学が難しいことが想定される場合、学校の先生から事前にその可能性を告げられるでしょう。
そういった場合、成績を上げて高校への進学を目指すか、もしくは外部の高校に進学するために高校受験をするのか、のどちらかの選択を迫られることがほとんどです。
高校受験を目指すのであれば、早めに高校受験の対策が必要になりますから、できるだけ早く対策を考えましょう。
高校では0.3%が留年している
高校では留年する人の割合は、0.3%程度です。
文部科学省「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
300人に1人程度なので、学校の1学年から2学年に1人程度は留年すると捉えることができます。
特に私立中高一貫校の高校の場合、勉強が難しいですから、成績不振によって留年する人の割合は高いかもしれません。
私立中学の間は留年の心配は少ないですが、高校に上がったら留年は現実的な問題として捉えたほうがよいでしょう。
高校で留年したらどうなる…?
高校で留年した場合は以下のような選択肢があります。
- 留年し、もう一度同じ学年を過ごす
- 専修学校に通う
- 高等学校卒業程度認定試験を受ける
- 通信制高校に通う
どれも相応に大変な選択肢ですから、よほどの事情がない限りは、まずは進級できるように努めましょう。
授業に出席し、十分な成績を取れば基本的には進級できますし、状況によって学校の先生が補習授業、追加課題、追試を設けてくれ、それをクリアすれば進級、卒業条件を満たすことができるかもしれません。
私立中高一貫校では、中学で成績不振だと高校で留年するかも
私立中学とはいえ、留年は極めて稀ということが分かりました。
しかし、中学の時期に成績が低迷していると、高校に上がれない、もしくは高校で留年してしまう可能性が高くなります。
先ほど見た通り、高校では一定数が留年しており、それは成績不振、出席日数の不足によるものが多いでしょう。
さらに、私立中学から一貫校で高校にギリギリ上がれたとして、仮に高校で留年してしまうと、
- 留年し、もう一度同じ学年を過ごす
- 専修学校に通う
- 高等学校卒業程度認定試験を受ける
- 通信制高校に通う
と選択肢が絞られてしまいます。
私立中高一貫校の中学の時期によほど成績不振の場合は、中3の終わりまでに最低限のレベルまで学力を上げておいた方がよいでしょう。
また、環境が原因で学校に行けていないような状況であれば、早めに高校受験も視野にいれたほうが良いでしょう。
私立中高一貫校で成績を上げ、留年を回避するには
私立中高一貫校は学習進度が早く、内容も難しいため、時間が経てばたつほど、小手先の勉強では成績が上がらなくなってしまいます。
成績が落ち込んでしまった際は以下のポイントを意識してみてください。
- 普段の勉強のほとんどは英語と数学に費やす。
- 英語と数学以外の科目は、定期テスト約2週間前に綿密な学習計画を立て、着実に消化する
- 学校の定期テスト範囲を早めに予想し、学習計画を立てる(進度に合わせて勉強しているだけでは間に合わないことが多い)
- 丸暗記から絶対に逃げない。丸暗記できる勉強法を身に着ける。
- 演習量が足りない場合は市販の参考書を買う。(特に英語・数学以外の科目)
これらの点については、以下の記事で詳しく説明しています。
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私立中高で成績が落ち込んでいるなら個別指導or家庭教師
なんとかして成績を上げ、高校への進学、高校での進級・卒業を目指すのであれば、選択肢は個別指導塾か家庭教師の2択になります。
個別指導でも、できれば社会人プロ講師の1対1マンツーマンの塾がよいでしょう。
中高一貫校は学習進度が早く、難易度も高い上、学校ごとに中高一貫校特有のテキストを使っていることが多く、それをベースとした定期テストが作られます。
そのため、学校で使用しているテキストを使って、学校で今扱われている内容を、お子さんの現状の学力に応じて既習範囲のことも丁寧に解説ながら教えていかなければなりません。
学年・レベルによりますが、このような器用な指導は経験のある社会人プロ講師がベストです。
成績UPのためには、学習計画を立て、自学自習のサイクルを作ることは必須ですが、追い込まれた状況なのであれば、それと合わせてプロからの指導も検討してみてください。
LEFYはすべてオーダーメイド。柔軟に対応可能です。
LEFYでは、規定のカリキュラムを設けておらず、生徒の現在の学力レベルや、学校の授業のレベルや進度、宿題の量、そして志望校などに応じて、一人ひとり異なる学習計画を検討しています。
また、一旦学習計画を決めたからと言って、それが確実にフィットしているわけではありませんので、状況を見ながら計画を修正することもあります。
ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。