中学受験を目指すご家庭の中には次のようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「いつから過去問に取り組めばいいの?」
「何年分取り組めばいいの?第1志望から第5志望くらいまで?」
「過去問で合格点を取れなきゃ志望校を変えたほうがいいのかな…。」
特に小学6年生になると、ご家庭や通っている塾ごとに過去問に取り組み始める時期が異なり、焦りを感じることもあるかもしれません。
本記事ではこれらのような過去問に関する疑問を解消できる内容を解説しています。
焦って過去問に取り組んでも、全く効果が出ないばかりか、むしろ逆効果になってしまうリスクもある一方で、過去問への取り組み方が合否を分けてしまう側面もあります。
ぜひ本記事を参考にして、過去問に取り組む時期、取り組み方を検討してみてください。
過去問をやるのはなんのため?
しっかりと目的を認識して取り組まないと十分な効果を望めません。
まず、過去問に取り組む目的から整理していきましょう。
①合格ラインに達しているかを確認するため
まず初めに、当たり前なことですが、過去問は「志望校の合格ラインに到達しているかを確認するため」に取り組みます。
多くの中学校が入学試験の合格者平均点、合格者最低点、受験者平均点などを公表しています。
そして、市販されている過去問では、問題ごとの配点も振られており、その年度の過去問で合格ラインに達することができた否かを知ることができます。
また、中学受験は、1月、また2月上旬に多くの学校の試験日が設定されていますので、無数に受験できるわけではありません。
過去問で合格最低点ギリギリだったり、模試で合格判定ギリギリのチャレンジ校を受験しつつも、かなり自信をもって合格を期待できる学校も受験することが一般的です。
そのためにも、それまでに受けた模試の結果や、過去問でどれくらいの点数を取ることができるのかを継続的に確認しておくことが大切です。
②志望校の出題傾向を把握し、慣れておくため
入試問題は、学校ごとに出題形式に特徴があります。
例えば、「比較的簡単な問題がたくさん出題される」「難しい大問が数問出題され、一問に十分な時間をかけることができる」「図形問題が必ず出題される」などがあります。
事前にこういった情報を知っておくことで、入試本番に時間配分に気を付けることができたり、入試本番までに必ず出題される分野を強化しておくことができます。
もちろん、出題傾向が変わってしまう可能性もありますが、同じ学校を受験するライバルも出題傾向を知った上で対策をしていると考えられますので、必ず傾向を踏まえて対策をしておきましょう。
③時間配分を意識して問題を解く練習をするため
②で出題傾向を把握したら、1問あたりにかけてよい時間を算出し、適切な時間配分を検討しましょう。
実際に問題を解いていると、集中しすぎて、ふと時間を忘れてしまうこともありますので、過去問を解く際は、予め検討した時間配分で取り組む練習をしましょう。
④合格最低点の正答割合の感覚をつかむため
学校ごとに、毎年の合格最低点はある程度一定なはずです。
そして、その合格最低点を取るためには「全体のうちの何割程度の問題を正解すればよいのか」という感覚をつかむことが大切です。
試験やテストでは、多くの場合、後ろのほうに進むほど難しく、また、大問の(1)よりも(2)、(2)よりも(3)のほうが難しい傾向にあります。
集中して問題を解いていると、その時点で全体のうち何割程度得点できているのかを忘れてしまいがちです。
しかし、入試本番では難しい問題を解くことではなく、合格点を取ることが目標です。
「合格最低点を超えるために、残りの時間でどの問題を解くべきなのか」を適切に判断できるよう、合格最低点の正答割合の感覚をつかんでおくとよいでしょう。
⑤苦手分野を知るため
苦手分野を知るためには、過去問以外の定期的なテストや模試を分析することも有効です。
しかし、実際に受験する志望校で出題されるレベルの問題における苦手分野となると、少し変わってくるかもしれません。
例えば、塾で開催された模試では、比較的簡単な問題として出題され、得意だと思っていた分野が、志望校の入試ではかなり難しい問題で出題される可能性もあります。
過去問で毎回できない分野があるのだとすれば、それは合格ラインに達していないと考えられるため、その単元に絞って学習することが大切です。
過去問はいつから始めるべき?一概には言えないので注意!
では、過去問はいつから始めるべきなのでしょう。
一般的には小6の9月~10月ごろから
一般的には、小6の9月~10月ごろと言われており、この時期から取り組み始める方が多いと思います。
ただし、冷静なって考えてみると、過去問は昨年の入試本番で出題された問題ですから、同じレベルの問題を、昨年の受験生よりも4カ月前後早く解くことになります。
つまり、合格点に達しなくても本番で合格できる可能性は十分あります。
もちろん、手も足も出ないような状況であれば、残りの期間で間に合うのかという問題はありますが、その時点では焦らず、残りの期間でなにをすべきなのかを検討しましょう。
ただし、次のような理由から、9月,10月から必ず取り組むべきだと一概に言うことはできません。
基礎レベルの学習が完了していることが大前提
基礎レベルの学習が完了し、ある程度定着していなければ、過去問に取り組んでも効果は薄いでしょう。
もちろん、問題の難易度や傾向を知ったり、時間配分を知るという観点では意味がありますが、全然わからないような単元が残っている状態では、歯が立たず、過去問で何点とることができたかという結果にはあまり意味がなくなってしまいます。
また、お子さんが自信を失うことにも繋がってしまいかねません。
そういった場合は、9月、10月という時期に固執せず、11月、12月ごろから過去問に着手したほうがよいケースもあります。
過去問演習ばかりでは成績、得点UPにはつながりづらい
過去問はこれまで勉強してきた問題よりも難しく、様々な分野の問題がランダムに出題されます。
9月、10月時点では、多くの受験生はまだ苦手な分野が残っている状態だと思います。そして、9月、10月、そしてそこから受験本番までには、苦手分野をどれだけ克服することができるかが勝負です。
そのため、過去問演習も重要ではありますが、苦手分野の学習のほうがトータルで考えると成績・得点UPにつながると考えられます。
場合によっては、特定の科目だけ早めから過去問に取り組んだり、12月ごろから過去問に着手してもよいケースもありますので、目指す志望校のレベル、現在の学力レベルなどを勘案し、いつから着手すべきかを検討しましょう。
ただし、9月、10月時点で十分な成績が取れており、本番に向けてある程度仕上がっている場合は、成績・得点UPに過去問は有効です。
お子さまの状況次第で過去問に着手すべき時期は異なりますので、慎重に検討しましょう。
過去問は何年分、どれくらい取り組むべき?
第1志望校は最低でも5年分以上
第1志望校の過去問は最低でも5年以上分解くようにしましょう。
余裕があれば10年分以上取り組むとよいでしょう。
特に難関校を狙う場合は、その学校らしい特徴、傾向が強く、しばらくその特徴・傾向が変わっていないことが多いため、10年分以上解くことはかなり効果的です。
ただし、過去問は1科目あたり50分前後、それが多くの場合4科目で1年分ですので、かなりの時間がかかります。
時間がない場合は、算数と国語を最優先に、理科・社会は5年分程度を目指しましょう。
第2志望以降は3年分程度
第2志望校は、場合によっては第1志望校と同じようなレベルの学校を選ぶケースもあると思いますので、5年分程度は取り組んでおくとよいでしょう。
第3志望校以降は、2-3年分は最低でも取り組むことを目指しましょう。
取り組む順番は?第1志望、それ以外のどっちから?
過去問に取り組む順番は、基本的には第5志望校あたりから順に、第1志望校に向けて解くことをおすすめします。
多くの場合、第1志望校の問題が最も難しく、第5志望校の問題のほうが簡単になっていると思います。
受験生の成績は受験本番直前まで伸びていきますので、9月、10月ごろから過去問に着手する場合、できるだけ難易度の低い第5志望校あたりから取り組むことで、ある程度点数を取ることができ、自信を持つことができると思います。
また、学校によって傾向は違うものの、入試問題になれることができ、第1志望校の過去問に取り組む際にある程度慣れてチャレンジすることができます。
第1志望校の問題に取り組むのは11月~1月ごろでよいでしょう。
ただし、そもそも過去問に着手するのが12月、1月ごろになった場合は、できるだけ志望度の高い学校から着手することをおすすめします。
過去問演習の結果を受けて、対策をする時間をできるだけ確保すること、そして、着手できないまま本番を迎えてしまうリスクを避けるためです。
過去問に取り組む際の注意点・意識したいこと!
絶対に解きなおしはする
当たり前のことですが、絶対に解きなおしはするようにしましょう。
解きなおしをすることで苦手分野の克服にもなりますし、志望校の傾向をより詳細に把握できるようになります。
間違えた問題/苦手分野を分析する
過去問を数年分解くと、決まって間違えてしまうような単元があると思います。
そういった単元を抽出し、苦手分野として克服に取り組みましょう。
ただし注意したいのは、難関校を受験する場合は、その苦手分野の基礎レベルはお子さんはできている可能性があります。
残り時間も少ないため、あまりに簡単な問題から取り組むことは効率的ではありません。
その志望校で出題されるレベルの問題を解けるようになるために最適なレベルの問題に取り組む必要があります。
本番環境を意識して取り組むこと
入試本番は、知らない人に囲まれ、かなりの緊張感の中、お子さん一人で受験をすることになります。
全く同じ環境を用意することは難しいですが、絶対に時間を測り、その時間内は絶対に邪魔が入らないようにすること、問題用紙と計算用紙だけを使えるようにしておくことなど、できるだけ本番環境に近づけるようにしましょう。
社会の時事問題は古くなっている
社会では、時事問題が問われることがあります。
過去問で出題されている時事問題は古いものですので、解きなおしの際も固執せず、さらっと流すようにしましょう。
直近のトピックであれば再度問われる可能性もありますが、時事問題は塾から指定された内容の勉強に注力したほうがよいでしょう。
本番が近い時期は1日4科目に取り組む
12月中旬以降~1月の時期には、入試本番と同様に、一日に4科目の入試試験を解くシミュレーションを行うことをおすすめします。
平日は学校や塾があると思いますので、冬休みや土日に時間を作って取り組むとよいでしょう。
1月の過去問演習では合格者平均点を目指す
9月、10月に過去問に着手し始めたころは、苦手分野が残っていたりと、本番入試レベルで合格点に達しなくても、本番で合格できる可能性は十分あります。
しかし、1月は入試本番1か月前ですので、過去問で合格ラインに達することが望ましいです。
合格者平均点を目指すようにしましょう。
過去問の解説は難しい…。解説してくれる人を見つけないと大変。
最後に、過去問に取り組むにあたって最も注意しておきたいことをお伝えします。
市販されている過去問の解説はかなりアッサリ…。
学校別に数年分の過去問がまとめられている過去問集が市販されていますが、それらの解説はかなりアッサリしています。
中には解説が省略されており、答えしかのっていないような問題もあります。
また、スペースの関係から、解説の図解が少ない傾向にあり、普段塾で配布されているプリントや使用しているテキストの解説と比べると、お子さん自身で解説を読んで理解するのは大変ハードに感じられるはずです。
過去問は誰に解説してもらう?志望校はみんな違うから大変!
先述したとおり、市販されている過去問の解説は、お子さんご自身で理解するには少し難しいですから、できればわかりやすい解説を受けたほうがよいでしょう。
しかし、どの学校の過去問を解いているかは志望校によって異なりますので、受験生一人ひとり、みんな異なります。
もちろん、最難関校レベルであれば、塾で〇〇コースという名前で過去問の解説がされるケースもあるかもしれませんが、そういったケース以外では過去問の解説を受ける機会は中々ないのが現状です。
このような現状から、過去問サポートには、個別指導塾や家庭教師を利用される方が多いです。個別指導塾や家庭教師であれば、過去問をわかりやすく解説してくれます。
ただし、あまりに直前に受講しようとしても先生の空きがなかったりするケースもありますので、早めから相談しておくようにしましょう。
過去問はなにを使う?
過去問は声の教育者と東京学参のものが一般的です。
ただし最新年度版に掲載されている過去問は、学校によって4年~10年程度分になりますので、それ以上に古い過去問を手に入れるには、メルカリ等のフリマアプリで購入する、もしくは四谷大塚の「中学入試 過去問 データベース」がおすすめです。
ただし、市販の過去問は解説がコンパクトで受験生が一人で理解するにはハードルがかなり高く、また、四谷大塚の「中学入試 過去問 データベース」には、年度や入試日によっては問題がなかったり、解答はあるが解説はなかったりというようなことがありますので注意してください。
過去問に取り組む時期、取り組み方などについては以下の記事でご紹介しています。
LEFYでは過去問サポートを行っています
LEFYでは、小6の受験生に向けて過去問サポートを行っています。
特に最難関校レベルの問題は、解説を読むだけでは理解することが大変難しく、分かりやすい解説・サポートが必要なはずです。
また、せっかくの保護者様の解説やサポートに反発してしまうお子さまも多いのではないでしょうか。
LEFYでは個別のお悩みに対応していますので、お気軽にご相談ください。
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