聖光学院は神奈川最難関の男子校です。
近年は、卒業生220~230名のうち、おおよそ3人に1人が東京大学に合格しており、難関国立大学、医学部にも合格者が多数います。
入試本番の実質倍率は3倍前後に落ち着きますが、受験直前まで聖光学院を志望校として掲げる方はその数倍いらっしゃるように感じます。
本記事では、聖光学院の入試傾向と対策をご紹介していきます。
全体傾向と対策
聖光学院の入試の全体傾向として、まずは、4科目バランスよく合格ラインに達している必要があることがあげられます。
各科目の配点と時間は以下のとおりです。
算数だけ、国語だけ高得点だが、その他科目どれかがかなり足を引っ張ってしまうと不合格となってしまう可能性が高いように感じます。
一方で、過去の合格者平均点と受験者平均点の差に着目してみると、国語は10点前後、理科は10点弱、社会も10点弱ですが、算数は20点以上であることが大半で、合格と不合格は算数の得点が最も影響していると言えそうです。
ただし「4科目バランスよく」という言葉に惑わされ、全科目バランスよく勉強している方が散見されますが、実際には算数で大きな差がついていますので、算数の実力が不足しているのであれば、算数に注力すべきです。
多くの最難関校では同じく算数で大きく差がつきますので、同様の傾向ですが、「バランスよく」という言葉に惑わされ、算数の対策を怠らないようにしましょう。
以下のサイトに聖光学院が公式に過去3年分の入試解説資料を掲載しています。
聖光学院が考える入試のねらいや出題傾向と対策も記載されていますので、確認しておいたほうがよいでしょう。
また、以下の各科目の傾向と対策でも言及していますが、全体を通して、「素早く正確に文章を読む力」「素早く正確に考察・思考する力」「素早く正確に端的にアウトプットする力」が求められています。
いわゆる発想力の側面よりも、これらのような力が得点に結びつきますので、聖光学院を志望されている受験生は、早期から、普段からこれらを意識した勉強に取り組んでください。
算数の傾向と対策
傾向
基本的には、一部の難関校に特有の奇抜な問題や驚くような難問は出題されません。ただし、状況説明や条件設定が複雑で問題文が非常に長かったり、緻密で正確な作業を求められる問題が出題されます。
そのため、問題文を自分で図示して咀嚼・考察したり、細かな調べ作業を行ったりする必要があり、時間がかなりタイトに感じるはずです。
対策
学校が公開している問題の出題傾向と対策に「言葉の表現が適切でなかったり、あまりに作図がいい加減だったりすると減点の対象としています」「ある程度分析できていて、解答に必要な正しい式や図がかけていれば部分点を与えています」と記載があります。
そのため、普段から、丁寧に作図、図示することをこころがけ、また、思考プロセスをできる限り丁寧に書く習慣をつける必要があります。
基本レベルを確実に習得することは大前提で、その上で応用問題に取り組めるようになる必要がありますが、まずは時間をかけて、しっかり納得できるまで応用問題に取り組みましょう。
入試本番ではタイトな時間の中でそれらを行う必要がありますので、徐々に時間制限を設けてスピードアップしていきましょう。
定型の解き方でスパッと答えを導くことができるような問題を周回するだけでは不十分です。
聖光学院の出題傾向を踏まえた問題を選び、取り組んでいきましょう。
国語の傾向と対策
傾向
大問4題で構成されています。大問1は漢字、大問2は知識系問題、大問3、大問4が長文の読解問題となっています。
知識問題は少し難易度が高めです。
長文は、他の中学と比較しても文章量(文字数)がかなり多く、大問3,大問4を合わせて約1万字程度を読み、回答しなければなりません。
文章の内容も簡単ではないため、実力が試されます。
問題形式としては、選択肢問題が多いのですが、選択肢の文章も長く、大人でも迷ってしまうようなものがあります。
一方で、記述問題はそこまで字数の多いものは出題されませんが、受験者のレベルがかなり高いため、コンパクトで正確な記述を短い時間の中で書く必要があります。
対策
まず、漢字、知識問題の対策は塾で配布される問題集や市販の参考書等でしっかり対策しておきましょう。
長文に関しては、長い文章を短い時間の中で読み、問題に答えることに慣れる必要があります。
早めから文章量の多い問題集や、過去問などを使って長い長文問題に慣れておくようにしましょう。
また、学校から公式発表されている入試解説には「言葉の豊かさ」を重視し「普段何気なく触れている言葉について、やり過ごすことなく、貪欲に言葉を吸収して欲しい」と記載があります。
いわゆる勉強で培う国語力に加えて、プライベートの時間においても、言葉に敏感になり、語彙力を増やし、言葉のニュアンスや柔軟な使い方などを学んでいく必要があります。
理科の傾向と対策
傾向
大問4題で構成されています。
シンプルに知識を問うような問題もありますが、特定のテーマを題材にした実験や観察をベースにした問題が多く出題されています。
知識を問うような問題に関しては、標準的なレベルのものから、少し細かな知識を問うようなレベルのものまで出題されます。
実験、観察をベースにした問題については、その実験の説明や、観察をしている登場人物の会話など、問題文が長い傾向にあります。
選択肢問題においては、6~10の選択肢があることもあり、また、全体を通して40分で解くには少し時間がタイトですので、多くの選択肢が与えられても正確な知識をもって素早く判断していく必要もあります。
分野の観点では、てこ・てんびんなどの力学は頻出傾向にあります。
対策
大前提、基本的な知識は十分に習熟しておきましょう。
その上で、その知識の背景、理由、そこから派生する話などをインプットしておくことが大切です。
また、問題文が長く、選択肢も多いことから、文章を正確に素早く読む力、正確に素早く判断する力が求められます。
聖光学院が公式に出している解説資料にも「試験問題を解くときも、文章を正確に読み書きできるかどうかが大きなポイントです。入試問題の採点をしていると、問題文がきちんと読めていない答案や、言いたいことはわかるけれど日本語が不自然で意味が通らないという残念な答案を、いくつも目にします。」と記載があります。
この傾向は理科だけに限らず、聖光学院の入試問題全般に共通する傾向ですので、しっかりと普段から対策しておく必要があります。
また、力学はとびぬけて難しい問題が出題されるわけではありませんが、頻出分野ですので、入試レベルの問題でしっかり対策しておきましょう。
社会の傾向と対策
傾向
大問4題で構成されています。記述問題も一部ありますが、記号選択問題や用語問題が大半となっています。
社会の特徴も他の科目同様、問題文が非常に長い点があげれらます。
40分という短い時間の中で文章を読み、的確に問いに答えていく必要があります。
また、聖光学院の地元、神奈川県、横浜市、山下公園などに関連した問題も出題されることがあります。
ただし、2023年度は問題文(リード文)がなくなりました。
聖光学院の公式解説には「意図としてはリード文の省略によって、受験生が(重厚な)地理・歴史・教養出題にしっかり時間をかけてもらえるようにすることと、リード文の範囲に拘らず幅広い範囲から出題をすることです。」と記載があります。
一方で、受験生があまり問題としては触れたことがないようなテーマで、考察・思考することが求められる問題が非常に多く出題されました。
リード文は短くなったものの、40分で素早く正確に考察・思考する必要があり、いずれにせよ時間が足りないように感じるはずです。
対策
理科と同様、大前提、知識を十分に習熟しておきましょう。
その上で、速度と精度を高める必要があります。
スピーディーに正確に問題に正答する練習を普段から積んでおきましょう。
また、考察・思考系の問題も短い時間の中で解いていかなければなりませんので、普段から、考察・思考を要する問題にも積極的に取り組むと良いでしょう。
字数は多くないものの、記述問題も出題されますので、コンパクトに、端的に答える練習も必要です。
過去問は10年分を目安に取り組もう
学力レベルが十分で、余裕をもって聖光学院の合格を狙うことができる受験生は3-5年分でも大丈夫ですが、そういった受験生はかなり少ないと思います。
多くの受験生はおおよそ10年分を目安に取り組んでおくとよいでしょう。
ただし、声の教育社、東京学参から出版されている過去問には、例年、4年分の過去問しか掲載されてません。
そのため、10年分の過去問を手に入れるには、メルカリ等のフリマアプリで購入する、もしくは四谷大塚の「中学入試 過去問 データベース」がおすすめです。
ただし、市販の過去問は解説がコンパクトで受験生が一人で理解するにはハードルがかなり高く、また、四谷大塚の「中学入試 過去問 データベース」には、年度や入試日によっては問題がなかったり、解答はあるが解説はなかったりというようなことがありますので注意してください。
過去問に取り組む時期、取り組み方などについては以下の記事でご紹介しています。
【中学受験】過去問はいつから?何年分?取り組むコツや注意点も紹介!|LEFY|個別指導塾レフィー【横浜校】|中学・高校・大学受験
聖光学院の過去問に取り組む際の注意点
取り組む順番
例外を除き、基本的には古いものから順に取り組んでいきましょう。
最新の傾向を肌感でつかんだ状態で入試本番に臨めるようにするため、直近3か年分は1月ごろがおすすめです。
意識するポイント
過去問に取り組む際「しっかり考え抜く」ことを意識してください。
聖光学院だけに限らず難関校全般に言えることですが、入試では、知識の有無や基本的な考え方の定着状況はあまり見ておらず(できて当然として)、各学校が重視する能力を判断されます。
例えば聖光学院では、文章を素早く正確に読む力、素早く正確に思考・判断する力などが求められ、その出来が点数に反映され、合否が決まります。
そのため、過去問に取り組む際は「どのように考え、どのように表現すべきだったのか」「どれくらいの時間で、どれほど思考し、解答することが求められているのか」というような感覚をつかんでいくことが最も大切です。
必ず解きなおしを行い、改善点を見出し、翌年分の過去問に取り組む際に意識するようにしましょう。
受験生がそれらを言語化することは難しいため、保護者が言語化してあげたり、塾の先生に結果のフィードバックをもらうと良いかもしれません。
LEFYの聖光学院の過去問対策
様々傾向や対策を書いてきましたが、一朝一夕で身につくような対策は存在しません。
できるだけ早期から、様々なことに興味をもち、自分で文章を読み、自分で考え、自分なりの考えを表現するような習慣を持てるとアドバンテージ得られるでしょう。
意識しないことには、すでに必要な能力が十分あるのか、それとも不十分であるのかの判断もできませんので、しっかりと求められている力を把握したうえで、残りの受験勉強を頑張ってください。
LEFYでは、お子さまの学力レベルに応じて授業内容を設定しています。
聖光学院だけに限らず、難関校においては、基本レベルの内容が定着していることは当たり前ですので、まずはこの点を判断し、その上で、応用的な力の養成も行います。
また、過去問10年以上分のうち、解説がない問題もわかりやすく解説を行っています。
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