数学が苦手だと感じる人は、多くの場合
「公式を覚えるのがつらい」
「計算力が追いつかない」
「どこで躓いたのかわからない」
「なんでこんなこと思いつくの？無理無理…」
といった悩みを抱えているでしょう。
気づいた頃には基礎が抜け落ちた状態で難しい問題に直面し、ますます苦手意識が強まってしまうこともあります。
しかし、（問題のレベルによりますが）数学は学習法さえ合っていれば、一定程度の得点を取ることはそこまで難しいことではありません。
この記事では、数学ができないと感じている方に向けて、なぜ苦手が生じるのか、その原因と具体的な克服法について網羅的に解説していきます。
数学が苦手になる理由
数学が苦手になる理由には、基礎概念の抜け落ちや計算力の未熟さなどが挙げられます。
特に中学や小学校の範囲でつまずいたまま新しい分野へ進むと、理解不十分の積み重ねによって苦手意識が強まることが多いです。また、「自分は数学ができない」と思い込む心理も、学習意欲を下げる要因になります。
積み重ね不足が負のスパイラルを生む
数学は一つひとつの知識やスキルが次の内容へ連動する性質があります。
先に習った単元を理解していることが前提となっている単元も多く、説明されたとしても、そもそもそこがわからないし…となっている方も多いでしょう。
どこがわかっていて、どこがわかっていないかを確認しないまま演習量だけを増やしても、曖昧な理解が積み重なったり、なんとなく無理やり解き方を覚えるだけになってしまい、十分な得点にはつながりません。
加えて、学年が上がるにつれて扱う数式や概念の抽象度が増すため、ますます理解に苦しみ、苦手意識が強まってしまいます。
中学範囲の負の数や文字式、分数の計算などがあやふやな状態で高校の内容に取り組むと、手も足もでないような状況に陥ってしまうこともあります。
高校範囲が怪しいと思ったら中学レベルまで、中学レベルが怪しいと思ったら、中１や小学校の算数レベルまで戻る勇気を持つことが大切です。
公式暗記だけに頼ってしまう
数学が苦手な人の中には、公式を全部覚えれば、問題が解けると思っている方が少なくありません。
公式を一通り暗記しても、その公式を「いつ」「なぜ」使うのかがわからなければ、応用問題には歯が立たないことが多いです。
数学は状況に合わせて公式を選択し、式変形を適切に行うプロセスが要求されます。
たとえば、三角関数の加法定理や対数の性質などは、公式の数が多く覚えにくいですが、本来は「そもそも三角比がどのように定義されていて、何を拡張したものなのか」という根本を理解すると、使い方が自然に見えてきます。
暗記中心のアプローチでは、少し違う角度から問題を変化させられたときに対応できなくなります。
数学を苦手と思い込み、頭を使わず、勉強量も少ない
数学が苦手という人の中には、苦手意識から、数学を勉強しているときも前向きに取り組まず、さらには、そもそも勉強時間を十分に確保していない方も多いです。
苦手意識がある科目ではやる気がでず、勉強を避けたくなってしまう気持ちはわかりますが、数学はそもそもかなり負担の大きい科目ですから、十分な勉強時間が必要です。
たしかに数学は、問題が難しくなるにつれて、一定程度のセンスや才能が求められますが、基本的な問題であれば、しっかりと段階的に、着実な学習を積み重ねることで正答することができ、テストでも十分得点可能です。
そのため、諦めず、まずは十分な学習時間を確保し、しっかりを頭を使って勉強することが大切です。
数学の成績を伸ばすための具体的なポイント
①計算力が全てのキホン！
数学ができない理由の一つに計算力不足が挙げられます。
苦手意識を持つ人の中には、分数や小数の掛け算・割り算などを素早く正確に処理できず、途中式の段階でつまずいてしまう方がいます。こうしたケースでは、まず計算トレーニングを何度も行い、計算をスムーズにこなせるようになることが大前提です。
実例としては、中学受験の算数で基本的な計算力をしっかり付けた人は、中学の数学において計算力で苦戦することは少ないです。
一方で、高校受験を目指す中学生は計算力が不十分なことが多く、中1の段階で十分な計算力を身に着けることが求められます。
たとえば、分数計算だけを集中的に扱う計算プリントをひたすらこなしていくなど、最初のうちは基本的な問題なのに時間がかかってイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、手を動かしているうちに自然と処理スピードが上がり、間違いの傾向を把握できます。
②最初は教科書レベルを徹底的に固める
数学が苦手な人は、背伸びして難しい問題集に手を出しがちです。
まずは教科書の例題や基本問題を解説まで丁寧に読み込み、スムーズに回答できる状態を作ることが重要です。
教科書は高校受験や大学受験の根幹になる知識が詰まっているため、基本事項を網羅するのに最適です。教科書を軽視して応用問題だけに偏る学習をすると、土台が揺らいだまま新しい知識を上乗せすることになり、思考の流れを見失いやすくなります。逆に教科書の問題を何度か繰り返して十分にマスターできれば、中堅校受験レベルまでは確実に対応しやすくなります。
③簡単な応用問題で自信をつける
基礎が固まってきたら、やや難易度が上がった応用問題で演習を重ねると実戦力が高まります。
ただし、いきなり難問・奇問に挑戦して理解が追いつかなくなるよりは、教科書付属のワークや標準レベルの参考書に載っている「基本＋α」程度の問題から始めることをおすすめまします。
基本よりもちょっと難しい程度の問題も、1度解けたからといって、すぐに難問に挑戦してはいけません。
類題を解き、素早く正確にとけるようになってから難問にチャレンジしてください。
また、演習の段階では、必ず解説も確認するようにしてください。
仮に答えが合っていても、解き方が冗長だったり、偶然の当てずっぽうで合っていたりするケースがあるからです。
解説を参考に自分なりの思考を整理することで理解が深まり、応用問題への苦手意識が徐々に薄れていくはずです。
④公式や解き方を理解する！本質を意識しよう
解き方や公式を暗記しても、それらを使いこなせなければ得点につながりません。
たとえば二次関数の最大・最小を求めるときには「軸」や「頂点」の位置をどのように求めるかを理解していれば、解き方を完璧に覚えていなくても、解答にたどり着けます。
公式の本質は「どういう仕組みで導かれたのか」を知ることです。
三角比にしてもsinやcosの定義を視覚的にイメージできると、加法定理や二倍角の公式がどのように導かれたかを感覚的に捉えられるようになります。
まずは教科書や問題集の解説をじっくり読み、例題を解きながら、仕組みを理解しましょう。
その後、徐々に問題のレベルを上げながら、その公式や考え方、解き方をどのように応用していくのかを理解していきましょう。
解き方を無理やり覚えるのではなく、考え方や仕組みに意識を向けることが重要です。
⑤学習計画を立てる／反復・周回を怠らない
数学学習を成功させるには、計画と反復が不可欠です。
最初に全体の学習期間を見渡し、週ごと・月ごとに取り組む内容を細分化しておくと、時間管理がスムーズに進みやすいです。特に学校の定期テストや模試がある人は、その試験日から逆算して、どの単元をいつまでに仕上げるかを考えておく必要があります。
一度解けた問題でも、時間が経てば解き方を忘れてしまうのは仕方のないことですから、必ず「周回演習」するようにしましょう。
1周目で解き方を理解し、2周目で解法を自力で再現し、3周目で計算ミスや混乱がないかを最終チェックする流れが理想です。1回目で完璧にしようとしても、絶対に上手くいきません。
周回を前提としておけば勉強もスムーズに進みますし、ミスの原因を潰し、より正確かつ速く回答できるようになっていきます。
⑥苦手単元を可視化する
どの単元でつまずいているかを客観的に把握するために、単元ごとの理解度を捉えなおしてみましょう。箇条書きで構いませんので、書き出してみましょう。
すべてをいっぺんに克服しようとするのではなく、最も苦手度が高い単元から優先的に学習を行うことが大切です。
高校生でも、中学内容の復習が不十分な人は、無理に高校内容の学習を進めず、適宜中学範囲まで立ち返って学習を進めましょう。
数学の勉強において絶対に意識してほしいこと！
解説の使い方
問題を解き、解説を読むだけでは不十分です。
解答を隅々まで読んでから、途中式や図を改めて自分で再現し直す努力が必要です。
まずは解説を読み、理解し、その後、解説を写しましょう。
その際、丸々写すだけでなく、自分なりにメモを入れたり、式変形は自分で処理するようにしましょう。
そして、しばらく時間を置いた後にもう一度同じ問題を解いてみましょう。
完全に忘れている場合は、再度解説に戻り、同じプロセスを繰り返します。
わからない問題は放置しない
わからない問題を見つけたときに、そのまま放置して次へ進むと、再び同じタイプの問題に出会ったときも対応できません。数学は単元間のつながりが強いので、苦手分野を抱えたまま新しい範囲に移行すると、さらなる苦手を生むサイクルに陥るリスクがあります。
解説を見てもわからない問題があったら、教科書・参考書の解説やネットの解説動画、塾の先生などを活用し、すぐに疑問を解消することがポイントです。
時間がかかりそうだからと後回しにすると、最終的には勉強のモチベーションを下げる原因になりやすいです。疑問点を早いうちに解決することで、理解がスムーズにつながり学習効率が向上します。
難問をパターン化して攻略する
難問の中には、基本を応用的に考えることでたどり着けるであろう問題と、「これは考えても思いつかない…」というレベルの問題があります。
後者の問題は、解き方を覚えてしまっても構いません。
ただし、仕組みも理解せずに丸々解き方を覚えるだけというような意識では成績アップは望めません。
どうしてその解き方になるのか、どこに着目することでその解き方に気づくことができるのかなど、考え、言語化しながら取り組むことが大切です。
たとえば二次方程式や三角関数の難問を眺めると、式変形の定番パターンや、その単元特有の着想がある程度決まっています。
途中で見慣れない数式が出てきても「これは以前似たような類題で見た形だ」と思い出せれば、公式や戦略をすぐに選択できるようになります。難問は構成要素の合体版と考えると、パターン認識がしやすいです。
難問をパターン化するには、問題集の解説を活用しながら「この問題ではこういう方針が使われている」「この手順は他の類題でも有効そうだ」とメモをとる方法が効果的です。単なる暗記ではなく、パターン認識を鍛えていくことで、思考の柔軟性が増し、解法を素早く導ける力につながります。
個別指導や家庭教師の活用ポイント
数学に苦手意識があったり、現に数学で伸び悩んでいる人は、本記事に書いてあることを読んでも、中々しっくりこず、実践できない人も多いです。
そこで、個別指導塾や家庭教師を活用することで、プロの指導を受けながら自分に合ったスピードとレベル感で学習を進めることができます。
集団授業では聞きづらい質問も、個別ならすぐに聞ける安心感があります。
また、プロの先生は豊富な指導経験から「どこでつまずきやすいか」「何が定着していないか」を見極めるのが上手です。
苦手な計算分野を重点的に洗い出したり、目の前の学習内容を理解するために立ち返るべき既習分野を教えてくれます。個別指導は料金面でやや負担がかかる場合がありますが、短期で成績アップを目指したい人にとっては効果的です。
一方で、指導を受ける際には先生への依存度が高まりすぎないように注意する必要があります。宿題をこなしたり、予習・復習を習慣づけたりするのはあくまでも学習者本人です。
個別指導塾や家庭教師はあくまで活用するものであるという意識を持つことが大切です。
オンライン教材の上手な併用法
近年ではオンライン教材や動画授業が充実しています。
オンライン教材は通塾や移動時間の負担を減らし、自宅で隙間時間を使って効率的に学べる点が魅力です。ただし、オンラインだからといって放置してしまうと、結局は学習が中断されやすい環境になりがちです。自己管理が苦手な人は、使用時間や目標を紙に書いて可視化するなど、モチベーションを保つ工夫を取り入れましょう。
最終的には自立学習が目標
プロの手助けやオンライン教材を利用しても、最終的には自立した学習ができる状態にならなければいけないことを意識しておきましょう。
中学受験、高校受験、大学受験、その後の社会に出ても、外部の塾や教材等を自分の必要に応じて適切に活用しつつ、自学自習を進めることができる人が上位の成績を収めます。
もちろん、状況次第で全面的に頼るシチュエーションが発生してしまうことはあると思いますが、当事者意識をもち、主体的に考え、行動することが大切です。
まとめ
数学は多くの人が苦手意識を持つ科目ですが、正しい努力を積み重ねれば間違いなく成績は伸びていきます。
ただし、学校や環境によって学習進度が異なるため、それにキャッチアップするためには、相応の努力が必要になります。
学習に後れを取ればとるほど、挽回するのが大変になりますので、できるだけ早く正しい努力と適切な量の学習を積み重ねることが必要です。
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