教育

スマホ使用で偏差値が下がる!?最新調査が語る学力低下の理由と防ぎ方

近年、多くの中高生が日常的にスマートフォンを使うようになり、勉強時間の減少や生活リズムの乱れが社会問題として注目されています。
実は、単に勉強や睡眠の不足だけでなく、スマホの長時間利用が子どもたちの脳に直接的な悪影響を与えているかもしれないという調査結果も報告されています。

具体的には、スマホ使用が前頭前野や海馬などの重要な脳領域の発達を阻害し、学習意欲や記憶力を低下させるリスクがあると指摘する研究もあります。

さまざまな要因が絡み合うため、ただ勉強時間を増やすだけでは成績不振を改善できないケースも増えています。この記事では、スマホが学力に及ぼす影響や、脳科学の観点から見た問題点、さらに有効な対策について詳しく考察します。

スマホ使用と学力低下の研究知見

近年、小中高生のスマホ利用が急増し、学力への影響が社会的に注目されています。
ここでは、仙台市の大規模調査や専門家の見解をもとに、スマホの長時間利用がもたらす成績低下の可能性を見てみます。

仙台市の大規模調査から見る成績低下の実態

仙台市教育委員会と大学の研究機関が共同で行っている大規模調査では、小学5年生から中学3年生を対象にスマホやタブレットなどインターネット接続可能な端末の利用状況と、学力テストの成績との関連を継続的に検証しています。
調査結果によれば、スマホ使用時間が1日あたり1時間以上の子供たちは、たくさん勉強しても偏差値が平均50程度に留まっていることが分かっています。
また、スマホを長い時間使い続けると、使うのをやめても成績が下がってしまうという結果も出ているようです。
これは、スマホ利用時間そのものが学習意欲や脳の発達に直接的な影響を及ぼし、従来言われてきた「勉強不足」や「睡眠不足」だけでは説明しきれない学力低下の要因が存在する可能性を示唆しています。

【参照先】

ネット依存傾向のリスク

総務省が公表した令和5年度の調査によれば、10代のネット依存傾向は24.8%に達しており、中高生のおよそ4人に1人が深刻な依存状態に陥るリスクを抱えています。
ネット依存やスマホ依存の特徴には、不安やイライラ感の増大、生活リズムの乱れ、家族や友人とのトラブルなどが挙げられます。これらは学習に不可欠な集中力やモチベーションを下げる要因として働きやすいです。
中高生の時期は前頭前野を中心に脳が大きく発達する大切な時期であるため、依存傾向が続くと脳機能の成熟が遅れ、学力だけでなく社会性の獲得にも影響が及ぶ恐れがあります。

【参照URL】

長時間使用が脳機能に与える影響

人間の脳は思考や記憶を担うさまざまな領域で構成されていますが、成長期の子どもは特にデジタル機器の使い方によってその発達が大きく左右されると考えられています。

前頭前野の発達が阻害されるメカニズム

前頭前野は計画的思考や感情のコントロール、自己抑制など、人間の高次認知機能の多くを担っています。
成長期においては、日常的な学習や社会生活を通じて前頭前野が少しずつ成熟していきますが、スマホやゲームなどの即時的な報酬を繰り返し得られる行動を続けることで、前頭前野の活発な働きが阻害されると指摘されています。
川島隆太教授の研究によれば、長時間インターネットを利用している子どもほど前頭前野の発達が遅れやすい傾向が見られ、結果的に学習意欲や集中力にも悪影響が及ぶ可能性が高まります。

スマホ使いすぎると「勉強が台なしに」 脳トレ・川島隆太教授が …

学習や記憶に関わる海馬への負担

海馬は記憶や学習成果を定着させるうえで欠かせない脳の領域です。
脳科学の研究では、インターネットを含むデジタル機器の長時間使用が海馬の容積増加を妨げ、子どもの言語能力の発達を阻害するリスクがあることが示唆されています。

海馬の機能が低下すると、覚えた内容を効率よく整理したり、思い出したりする能力が落ちるため、学習効率が大幅に下がり、成績にも直結した影響が表れると考えられます。

ブルーライトが睡眠に与える影響

夜遅くまでSNSや動画を見ていると、スマホ画面の光が脳を覚醒させるといわれています。睡眠不足はもちろん、眠り自体の質を落とす点にも注意が必要です。ここではブルーライトと睡眠の関係を詳しく見ていきます。

夜間のスマホ利用と睡眠の質の低下

スマホなどの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒状態に保つ働きがあります。
寝る直前までスマホを見続けると、体内時計を司るホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されやすくなり、眠りが浅くなる、あるいは寝付きが悪くなるといわれています。
睡眠不足や睡眠の質が低下すると、脳の回復や記憶の定着がうまく進まず、翌日の勉強や活動のパフォーマンスにも悪影響が出る恐れがあります。

深い睡眠が脳の成長を促す重要性

成長期の子どもにとって、深い睡眠は脳の修復と発達を促すのに不可欠な時間です。
特に、学んだ知識や経験を定着させるには、ノンレム睡眠中に海馬が脳内情報を整理するプロセスが重要になるとされています。
夜間のスマホ利用を控えて寝る1時間ほど前から電子機器をオフにする工夫は、深い睡眠を確保するための具体的な対策の一つです。

勉強と睡眠だけではカバーしきれないスマホの影響

スマホをいくら使用したとしても、勉強時間や睡眠時間を増やせば成績が伸びそうに思われますが、スマホ依存がもたらす脳への直接的な悪影響は簡単に取り除けないと指摘する専門家も多いです。

長時間スマホ使用と成績の関係

先に触れた仙台市の調査をはじめ、複数の研究で「1日3時間以上スマホを利用する子は偏差値50以上を非常に取りづらい」という結果が報告されています。
下の表は、1日のスマホ使用時間と成績(偏差値50以上)の関連をイメージしたものです。実際の調査データとは異なりますが、あくまで傾向を把握する目的で参照してみてください。

スマホ使用時間勉強時間睡眠時間偏差値50以上の割合
1時間未満2時間以上7時間以上80%
1時間未満1時間以上6時間以上70%
1~3時間2時間以上7時間以上50%
1~3時間1時間以上6時間以上40%
3時間以上2時間以上7時間以上0%
3時間以上1時間以上6時間以上0%

3時間以上スマホを使うグループは、勉強や睡眠をある程度確保していても、高い成績を得られにくい傾向がはっきりと示されています。
この事例は、長時間のスマホ利用が学力に直接影響する可能性が高く、勉強量や睡眠量だけではカバーしきれない要因が存在することを示唆しています。

勉強時間と睡眠時間ではカバーできないリスク

勉強時間や睡眠時間を増やしても、スマホ使用の根本的な問題が改善されない場合は学力低下を食い止めるのが難しくなります。
スマホ使用が脳の前頭前野や海馬の発達を阻害すると、思考力や記憶力そのものが低下し、学習効率を下げる要因となるからです。
睡眠不足に陥らないための時間調整ができても、睡眠の質そのものが低下していると、結局は学習成果に繋がらず、子どもがモチベーションを失いやすいといった悪循環が生まれます。

スマホ依存を防ぐ対策!

依存が進むとセルフコントロールが難しくなり、感情面でも不安定になりがちです。こうした状態を回避するには、環境整備や適切なコミュニケーションを用いたアプローチが重要になります。

利用時間制限の効果的活用

スマホ依存を防ぐには、まず利用時間に上限を設けるのが良いでしょう。
「夜9時以降は使わない」「1日1時間まで」など具体的な基準を設定し、スマホ側の機能やアプリのタイマーを活用すると、自己管理が苦手な人でも無理なく始められます。
スマホを長く手元に置いておくと、ついSNSやゲームに手を伸ばす誘惑が生じるため、目に触れない場所に保管しておくなど環境面での工夫も欠かせません。

子どもの自主性を尊重する話し合い

子どもたちがルールを受け入れやすくするためには、一方的に押しつけるのではなく、話し合いの場を設けることが大切です。
たとえば、学級会や家庭内会議などでスマホの使用目的や利用時間を具体的に決め、メリットとデメリットを一緒に考える方法があります。
自主性を育てることで、子ども自身が「なぜ控える必要があるのか」を理解し、納得して取り組める環境ができあがります。

家族や学校によるピアサポート

同じ状況の仲間同士が声を掛け合うピアサポートは、スマホの過度な使用を抑えるうえで大きな効果を発揮します。
クラスや部活動のメンバー同士で「夜にはチャットをしない」「夕方の勉強時間はスマホをカバンにしまう」など、共通の目標やルールを設定すると、お互いに励ましや牽制がしやすくなります。
保護者や教師は、ピアサポートの動きを必要に応じて支えながら、ルールが行き過ぎてストレスを生まないようなバランスをとる配慮も求められます。

学習効率を高めるスマホの活用術

スマホは必ずしも学習の敵ではなく、使い方によっては大きな味方になります。オンライン教材や学習アプリをうまく取り入れることで、日々の勉強を充実させることもできます。

メリットを活かすための自己管理

スマホには、オンライン授業や電子書籍、辞書アプリなど、学習効率を上げるツールが豊富に存在します。
上手に活用すれば、通学時間やスキマ時間を利用して勉強できるため、忙しいスケジュールの中でも学びを継続しやすいという利点があります。
ただし、これらのメリットを活かすには、学習目的以外のアプリやSNSへのアクセスを制限し、「時間を決めて使う」という自己管理が欠かせません。

学習アプリの選び方と注意点

スマホには子どもの学力向上をサポートするアプリが数多くリリースされていますが、それぞれ対象年齢や学習内容が異なります。
英単語の暗記に特化したアプリや、問題演習が豊富なアプリなど、学びたい科目や目的に合わせた選択が必要です。
また、通知や広告が頻繁に表示されるアプリは集中を妨げる原因になるため、できるだけ学習専用設計のものを選ぶことが望ましいです。

脳科学の観点から見た学習定着

人間の脳は複雑な情報を処理し、記憶を蓄積する仕組みを持っています。デジタル学習とアナログ学習のバランスを意識することで、より効果的に知識を身につけることができます。

デジタル活用とアナログ学習のバランス

脳科学の見地からは、スマホやパソコンなどのデジタルツールを利用する一方、紙のノートや教科書を使ったアナログ学習の組み合わせが学習定着に効果的とされています。
デジタル学習は映像や音声を使った多角的な情報取得に適していますが、書く行為を伴うアナログ学習では脳の異なる領域が刺激を受け、記憶や思考を深めやすくなります。
両方の学習手段をバランス良く取り入れることで、スマホを活用しながら脳機能への過度な負担を避け、集中力や思考力を鍛えることができます。

スマホ学習に潜む「ながら」利用の危険性

スマホを使った学習では、通知やSNSのメッセージ、ゲームなどの誘惑が近くにあるため、意識が途切れがちになるリスクがあります。
研究によれば、「ながら学習」は作業の効率や定着率を大きく下げる原因になり、結果的に学習時間が増えても成果が伸びないという問題が生じやすいです。
学習専用のアプリを使うときは、通知をオフにする、SNSを閉じるなどの環境づくりを徹底して、脳が一つの作業に集中できる状態を確保することが重要です。

まとめ

スマホは多くの利便性をもたらす一方、学業に大きなデメリットももたらします。

しかし、スマホを全く使わないのではなく、利用時間の上限を決めたり、必要なときにだけ活用したりする工夫をすれば、学習アプリやオンライン教材によって勉強効率を高めることも可能です。保護者や教師が押しつけるのではなく、子ども自身が話し合いに参加してルールを決める、周囲と協力して誘惑に打ち勝つ仕組みを作るなどの対策を進めると、デメリットを減らしながらスマホのメリットを活かせるようになります。

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