文理選択は、高校生活の中でとても重要な岐路となります。
大学受験はもちろん、大学での学び、ひいては就職や社会人としてのキャリアにまで影響を及ぼす可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
しかし、どのような基準で選べばいいのか、そもそも考え方もわからず頭を抱える高校生は多いですよね。
文理選択は、自身の興味・関心や将来像を見つめ直し、情報を集めながら選ぶことが大切です。
本記事では、文理選択の基本知識から判断基準、選択後の文転・理転などを解説していきます。

そもそも文理選択ってなに?

選択時期と決断の流れ
多くの高校では、高校1年生の終盤から高校2年生にかけて文系・理系を選択することになります。
1年生の冬ごろに文理希望調査が行われ、三者面談などを経て最終決定に至ることが多いです。
文理選択を行う際、まずは自分の興味や得意科目を把握しておく必要があります。
文理選択決定の流れとしては、学校側から配布されるコース選択用紙やガイダンス、大学のオープンキャンパスや保護者面談などを活用しながら、自分の将来像をある程度イメージして、希望コースを提出する形が一般的です。
高校入学から半年ほどで学校側から案内がくるため、焦らないように日頃から情報収集を進めておきましょう。
文理選択が重要な理由
文理選択が重要視される理由は、大学受験の受験科目に直結するためです。
文系を選ぶと英語や国語、社会の学習が中心に、理系では数学や理科に比重を置いたカリキュラムが組まれます。
さらに、大学でどの学部を選ぶかによって、のちの進路に制約が生じる場合があります。
例えば、医療系や工学系などは理系科目を履修していないと進学が難しくなります。
このように、高校2年生以降の履修科目だけでなく、将来のキャリアまでも左右する可能性があるため、文理選択は早い段階から慎重に考える必要があります。
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文系と理系の違い
文系で学べる内容
文系では、英語、国語(現代文、古文、漢文)、地理歴史(地理、日本史、世界史)、公民(現代社会、倫理、政治・経済)といった科目を重点的に取り扱います。
文系の学部としては、文学部、法学部、経済学部、経営学部、社会学部、外国語学部、教育学部などが挙げられます。
近年では学部や学科の名称が多様化し、学際的な学びを扱うコースも増えています。いずれにせよ、主体的に文章や資料を読み解く力や、人の動き・社会の仕組みを理解する力が求められます。
特に、読解力や文章表現力、論理的思考などを伸ばす機会が多く、グループワークやディスカッションを通じて、考えを深める授業もあります。
卒業後の進路は比較的幅広い傾向があります。
たとえば、メーカーの営業職や企画職、IT系企業の事務職、人事職、広報職、マスコミ関連など、就職先は多岐にわたります。
法学部の場合は一般企業に就職する人も多いですが、弁護士や公務員を目指す人の割合が他学部と比べて多く、経済学部では金融・保険業などで活躍する人の割合が多くなります。
文系で培った総合力やコミュニケーション力を生かして多種多様な業界へ進むケースと、学びの内容を仕事に直結させるケースが多いのが文系の特徴です。
理系で学べる内容
理系では、数学、理科(物理、化学、生物、地学)を中心に学習を進めます。
理系の大学学部には、理学部、工学部、農学部、医学部、薬学部、獣医学部、看護学部、情報系の学部などがあります。
高校段階で扱う数Ⅲや理科の発展科目をしっかり学ぶことが、大学受験や専門領域へのステップアップに直結します。
特に、計算力や論理的思考力を鍛える場面が多く、問題解決に向けて仮説を立て、検証し、結果を分析するプロセスに慣れることが重要とされます。
実験や実習など、座学だけではなく身体を動かしながら学ぶ機会が多い点も、理系特有です。
大学院まで進学し、研究を極める人も多数います。
理系学部を卒業すると、専門分野を活かせる企業や研究機関、病院などへの就職が多いです。
工学部の場合はメーカーやIT企業で新製品・システム開発に携わることが多く、医学部や薬学部の卒業生は医師・薬剤師国家試験を突破し、医療の現場で活躍しています。分野によっては国や地方自治体の研究職、公務員として働く人もいます。
理系での学びをダイレクトに活かせる進路があることが大きな魅力といえます。
文系・理系で異なる学費負担にも注目
私立大学の場合、文系と理系では学費に大きな差がある点も見逃せません。文部科学省の調査によると、私立理系の年間授業料は文系より約30万円ほど高く、4年間では合計100万円以上の差が生じるケースも珍しくありません。
国公立大学は文理で授業料はほぼ同じですが、実験や実習が多い理系は、教材費や研究室活動などで追加費用がかかることもあります。
家計の事情や奨学金の利用を検討している場合は、あらかじめ文理別の学費や学習環境を比較しておくと、進路決定後の負担をより具体的にイメージしやすくなるでしょう。
文部科学省:令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文理選択の判断基準

目指す進路と職業像
目指す職業や学びたい分野が明確な人は、文理選択を逆算して考えるのが効果的です。
例えば、医師や薬剤師を志すなら、医学部や薬学部に進学するために理系で数学や理科を履修する必要があります。
弁護士や税理士などの法律・会計専門職を目指すなら、文系学部に進む方がスムーズです。
ただし、高校1年生の時点で職業まで明確に定まっていない人も大勢います。
その場合は、大学で学びたい分野や興味を持てそうな領域を幅広く考えることが大切です。
自分が将来どのような仕事に就くかイメージできない場合でも、理系か文系かの方向性が少しでも分かれば、進学後の可能性を絞り込みやすくなります。
学部・学科の違いや大学ごとの特色も重要な判断材料です。
大学のパンフレットやウェブサイト、オープンキャンパスなどを活用し、学べる内容をリサーチすると具体的なイメージが湧きやすくなります。
興味分野を優先して調べるだけでなく、少しでも関心がありそうな学科もチェックしておくと選択の幅が広がります。
得意科目と苦手科目
文理選択で迷う人のなかには、「数学が苦手だから文系」や「理科が好きだから理系」といった基準で決める人も少なくありません。
しかし、得意科目や苦手科目だけで即断するのは早計な面もあります。
現時点で苦手だと思っていても、あとから克服できる可能性があります。高校1年生なら、遡って基礎を固めることで苦手を挽回することが十分に期待できます。
一方で、得意科目選んだ方がスムーズに成績を伸ばせるという考え方は妥当です。得意科目が評価されやすい環境を作ることでモチベーションが上がり、トータルの学力が底上げされる利点があります。
最終的には得意科目と苦手科目の両面を慎重に見極め、大学受験に必要な科目や将来の興味を総合的に考慮することが大事です。
文転・理転への備え
進路変更のポイント
文転・理転をするにあたって最も大変なのは、受験科目の変更です。
文転の場合、理系で履修していた数Ⅲや物理を使わない受験スタイルに切り替えるため、その分国語や社会科目への対応が必要になります。
理転の場合は逆に、数学や理科の学習範囲が不足している場合が多く、短期間でのカバーが困難です。
迷った結果「とりあえず理系を選んでおき、必要なら文転する」という考えを選ぶ人もいます。
しかし理系科目の勉強は時間と労力を要す一方で、数Ⅲや理科の発展領域は文系受験では不要になる可能性があるため、安易に理系を選ぶのは危険です。
文転・理転は勉強計画を緻密に立てることが求められます。
特に受験直前での文転・理転は体力的にも精神的にも大きな負担になるため、早めに自分の進路を固めることが得策です。
どうしても進路を再検討しなければならないと感じたときは、担任や進路指導の教員、塾の講師などに早めに相談して対策を練ると安心できます。
後悔を防ぐために
情報収集と自己分析
後悔しない選択には徹底した情報収集が必須です。
高校の先生や先輩、塾の講師、保護者、そして大学のオープンキャンパスや進路情報サイトなど、さまざまなソースを活用して文系・理系の特徴を比較すると具体的なイメージが湧きやすくなります。
情報収集だけでなく、自分自身を客観的に振り返る自己分析も大切です。
自分はどの科目なら意欲的に学べるのか、将来の仕事に対してどの程度こだわりがあるのか、どのような学習スタイルが向いているのかを考えておくと、文理選択の際に判断材料が増えます。
自己分析の一環として、模試の成績表や定期テスト結果を見返し、どの科目で良い点数を取りやすいのかを把握しておくとよいでしょう。
成績だけでなく、学んでいて楽しく感じるかどうかや、理解する際に苦労が少ない分野なども合わせて考慮しましょう。
苦手科目と学習バランス
文理選択後、文系なら英語や国語、社会の比重が大きくなり、理系なら数学と理科により多くの時間をかけることが増えます。
しかし、国公立大学を目指す場合は、文系・理系関係なく幅広い教科を試験で使うことが多いため、極端に偏った学習はリスクがあります。
私立大学を目指す場合でも、英語や数学を必要とする学部が増えている傾向があるため、最低限の学力は維持したほうがよいでしょう。
苦手科目を抱えている人は、できる限り早い段階で克服を図ることをおすすめします。
遅れを取り戻すには、参考書での自習や塾・予備校の利用、または学校の先生に相談して個別に補習を行うなど、多様な方法があります。
学習バランスも重要です。文系だからといって理系科目を全く勉強しない、理系だからといって国語や社会を一切手をつけないのは、のちに志望校を決めるときに苦労する原因となります。
選択したコースの科目を中心にしつつも、他の科目の基礎も一定レベルで保てるように計画を立てましょう。
まとめ
文理選択は高校生活のみならず、大学、そして社会人としての生き方にも密接に関わる大きな分岐点といえます。
将来の仕事が明確になっている人も、そうでない人も、まずは興味のある学問分野や得意・苦手を整理し、自分の可能性を最大限に伸ばせるかどうかを基準に選択することがおすすめです。
早いうちに情報を集め、進路を考える習慣をつけておくと、迷う期間を短くできます。
最終的には自分で選び取った道に自信を持ち、後悔のない高校生活を送れるといいですね。
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