「中学受験は親が教えてはいけない!」
と聞いたと、保護者の方からご相談をいただくことがあります。
「なんで教えちゃいけないの?」
「親が教えて成績上位のお子さんもいるけど、どういうこと?」
など疑問に思われるかもしれません。
今回はこれについて考えてみたいと思います。
可能なら教えたほうがいい!
「教えることができるなら、お子さんに勉強を教えたほうがよい」でしょう。
中学受験で合格を目指すのであれば、一緒に考えたり、新しい知識を身に着けて、まずいことなどあるはずがありません。
親子で勉強して成績上位を維持している受験生もたくさんいます!
「中学受験は親が教えてはいけない!」の真意は?
「中学受験は親が教えてはいけない!」は言い過ぎだと思いますが、この発言の背景には、以下のような意図が考えられます。
- 中学受験塾が教える内容と異なる内容を教えてしまい、お子さんが混乱してしまう可能性があるから
- 親子喧嘩になり、お子さんが勉強嫌いになってしまう可能性があるから
- 親に言われたときだけ言われるがまま勉強し、お子さんに当事者意識が芽生えなくなってしまうから
実際、どれも中学受験を目指す多くのご家庭で発生している悩みだと思います。
しかし、親が教えなかったからといって、勉強が好きでない子が勉強を好きになることはあまりなく、小4、小5の段階から本気で当事者意識をもって受験に向き合えるお子さんはそもそもかなり少ないと感じます。
また、もし勉強を好きになることはなくても、勉強嫌いにはならない可能性はあると思いますが、それは親が勉強を教える時の接し方に気をつければいい話です。
教える際には、1点目の教え方・内容面には注意が必要ですが、教えることができるのであれば、親がお子さんに勉強を教えてあげることはかなり有効だと考えます。
親が勉強を教える時の注意点!
親が勉強を教える際、次の点には注意が必要です。
①テキスト(塾)の解説と同じ方針で説明をする
お子さんが塾で習った方法と同じ考え方、解き方で説明してあげましょう。
最終的には、柔軟に色々な捉え方をできるようになる必要がありますが、まずは塾やテキストと同じ考え方を身に着けることが大切です。
よく挙げられる例で言えば、算数を数学で解くのは絶対にNGです。
(実質もはや数学、というものは存在しますが、中学受験算数なりの扱いがあります)
②大人はできて当然!お子さんの考えを聞いてあげる
お子さんに勉強を教える際、
「なんでこんなのもわからないの?塾で先生の話聞いてた?」
「わからないとかじゃなくて、こうやってやるんだからとりあえず覚えて!」
「これ4年生の内容だよ。忘れたの?」
というようなことを言ってしまいたくなることがあるかもしれません。
ですが、このようなことを言ったところで、親子喧嘩にはつながりますが、成績UPには決して繋がりません。
大人なら出来て当然と思えるようなことでも、お子さんにとっては難しいことも多々あります。
絶対にこのような発言を避け、お子さんの考えを聞いてあげましょう。
「なんでこうしたの?そういうことか!〇〇〇…」
「どこがわからない?問題文のこれの意味わかる?」
「このやり方でも合ってるよ!だけど、こっちのほうが早くない?」
といったように、お子さんの考えをしっかり理解し、もし行き詰っているのであれば、どこで理解に苦しんでいるのかを優しく聞き出し、解決してあげましょう。
強く指摘しても、決していい方向に転ばないことを念頭に置いておきましょう。
③親はお手本を見せてあげる。無理な暗算や省略をしない
中学受験の勉強は、まずは真似から入ります。
塾でも、先生が黒板に書いたものをノートに写し、それを真似しながら類似問題を解きます。
もし、お父さんやお母さんが乱雑な計算で解いたり、暗算ばかりしていると、お子さんは真似してしまう可能性があります。
お子さんがお手本として参考にできるような解き方を見せてあげてください。
特に算数や理科で、条件を整理したり、式を書いておくことができないという課題を抱える受験生はかなり多く、このような事態にならないように気をつけましょう。
喧嘩になるなら教えるのをあきらめる
お母さん、お父さんなりに優しく頑張って何度も教えようとしたけど、どうしても喧嘩になってしまう場合は、教えるのを諦め、勉強の内容面は塾に任せ、テキストやプリント、過去問などの管理に徹しましょう。
家族関係にひびが入ってしまうかもしれませんし、勉強を拒むことでお母さんお父さんに抵抗しようとしてしまうかもしれません。
もし、もっと成績を伸ばすために勉強を教える必要がある場合は、個別指導塾や家庭教師を利用しましょう。
親子間だと喧嘩してしまうけど、先生になら指摘されても素直に受け入れることができるお子さんは多く、このような目的で個別指導塾を併用されている方はたくさんいます。
各ご家庭オリジナルのスタイルを見つけよう!
「受験生は絶対にゲームをしてはいけない」
「夜遅くは勉強せず、朝に勉強するべきだ」
「テキストには書き込まず、ノートに解くべきだ」
というようなことはよく言われます。
しかし、実際にはゲームをモチベーションに勉強を頑張っているお子さんもいますし、通学・通塾時間の都合や朝に弱すぎるというような理由から夜に勉強するタイプのお子さんもいます。
また、テキストをコピーして書き込んで解いているお子さんもいます。
お母さんお父さんが共働きであることで中々取り組めないこともあるかもしれません。
お子さんの性格や、お父さんお母さんの事情など、各ご家庭によって様々ですので、一般的にこうすると良いと言われていることを踏まえつつも、各ご家庭にベストな学習スタイルを確立することが大切です。