- 夏休み明けが、春に次ぐ「塾の変えどき」である理由
- 転塾を検討していい3つのサインと、転塾の前に試すべき3つの対処
- 小4・小5・小6それぞれの、夏休み明け転塾の判断基準
- 神奈川の主要7塾の入塾テスト・9月からの入り方(執筆時点の公式情報)
- 転塾せずに「今の塾×個別指導の併用」で立て直す方法
夏休み明けは、春に次ぐ転塾の決断期です。小4・小5は9月中に動けば秋からのカリキュラムに乗れます。一方、小6の転塾は原則おすすめしません。
| 学年 | 夏休み明け転塾の判断 | 動くなら |
|---|---|---|
| 小4 | 最も動きやすい。合わないと感じたら早めに検討 | 9月中 |
| 小5 | 条件つきで可。「比」の本格化前に判断する | 9月中(遅くとも冬期講習前) |
| 小6 | 原則動かさない。穴は転塾ではなく個別併用で埋める | 原則なし(例外は本文) |
この記事では、横浜で中学受験専門の個別指導塾を運営する立場から、夏休み明けに「塾を変えるべきか」を迷っているご家庭に向けて、判断基準を学年別に整理します。神奈川の主要塾の入塾テスト情報と、転塾しないで立て直す選択肢まで、網羅的にまとめました。

この記事を書いた人
山本航士
受験アドバイザー
聖光学院中高→慶応義塾大学経済学部→コンサルティングファーム→LEFYにて難関中学受験および中高一貫校生をサポート
なぜ夏休み明けが「塾の変えどき」なのか
夏期講習は、どの塾でも年間で最も学習量が多い期間です。時間もお金も最大級に投資したうえで、9月の実力テストや組分けテストに結果が表れます。つまり夏休み明けは、「今の塾のやり方で伸びるのか」を1年で最も客観的に判断できるタイミングです。
春の時点では「まだ通い始めたばかりだから」と様子を見たご家庭も、夏を越えて成績が動かなければ、環境の側にも原因がある可能性を考えていい時期に入ります。
また、夏休みの期間は保護者が休みを取れることも多く、一旦冷静にお子さんの状況を検討する時間も作ることができます。
学校や仕事がある普段は忙しくて転塾を検討する時間を取りづらいと思いますので、夏の間に時間を取って検討するとよいでしょう。
転塾すべき?まだ早い?判断のポイント
転塾には「新しい環境に慣れるまでの数ヶ月」という確実なコストがかかります。だからこそ、転塾で解決する問題なのか、今の塾のままで解決できる問題なのかを先に切り分けることが重要です。
転塾を検討していい3つのサイン
- 塾のスタイルと子どもの特性が合っていない:授業スピードについていけない状態が半年以上続いている、逆に簡単すぎて手応えがない、競争で奮起するタイプではないのに競争型の塾にいる、など塾のシステムとお子さんのタイプのミスマッチ
- 質問・フォローの仕組みが機能していない:質問に行けない雰囲気がある、成績低迷について面談で相談しても具体的な対策が返ってこないなど。塾の問題であるケースもありますし、お子さんが塾や同じクラスのお友達の相性が合わないことが原因となることもあります
- 子どもが塾を嫌がる状態が続いている:一時的な波ではなく、行きたがらない状態が1ヶ月以上続き、家庭でのフォローでも改善しない
転塾の前に、面談や個別指導・家庭教師併用で解決すべきケース
- 特定の科目・単元だけのつまずき:算数の割合だけ、国語の記述だけ、といったつまずきは塾全体を変える理由にはなりません。その科目だけ個別指導で補強するほうが低リスクです
- 一時的なクラス落ち:1回のクラス昇降で環境を変えると、かえって学習リズムを崩します。2〜3回続くかどうかを見てから判断しましょう
- 宿題が回っていない:宿題の量や優先順位づけの問題は、取捨選択のやり方を変えれば解決することが多く、転塾しても同じ問題が再発しがちです※一部の塾は学習内容が最難関校向けのため、取捨選択では解決が難しいことがあります
宿題が回らないケースの具体的な対処はサピックスの宿題が終わらないときの対処法で、成績が伸び悩んだときに見直すポイントはサピックス・グノーブルについていけないときの学年別の見直し方で詳しく解説しています。
学年別・夏休み明け転塾の判断基準
小4:最も動きやすい学年。合わないなら早めに!
小4の秋は、受験カリキュラム全体で見ればまだ序盤です。未習単元の差は数週間のフォローで埋まる範囲で、転塾のコストが最も小さい学年といえます。
むしろ注意したいのは、「まだ小4だから」と判断を先送りにすることです。塾のスタイルと合っていない状態を小5まで持ち越すと、学習量が一気に増える小5カリキュラムの中で立て直すことになり、難易度が上がります。
小4であればそこまで深く考えることなく転塾しても大きな問題は発生しませんが、小5になるとかなり慎重な検討が必要になるため、転塾が視野に入っている場合はできるだけ小4のうちに判断されることをおすすめします。
小5:「比」の学習状況に応じて慎重に検討
小5の夏休み明けはまだ転塾をしても問題ない時期ではありますが、割合や比の学習状況には気を付ける必要があります。
この割合や比の学習タイミングは塾によって若干異なるため、夏中もしくは夏後に転塾すると、転塾後にまだ学習していない内容を学ぶことになってしまう可能性があります。
割合や比は中学受験算数のメインどころで、入試問題の大半が何らかの形で比の考え方を使います。
割合や比でつまずくと中学受験算数のほとんどで苦戦することになってしまいますので、夏前後に転塾する場合はカリキュラムに注意してください。
小6:原則動かさない。ただし例外はある
小6の9月以降の転塾は、原則としておすすめしません。各塾とも9月からは志望校別の演習中心に切り替わり、環境適応に使える時間がもうないからです。後述のとおり、そもそも小6の秋から受け入れる塾自体が限られます。
例外は次の2つです。
- 精神的に限界が来ているケース:塾に行けなくなっている、体調に出ているなど、続けること自体が受験の障害になっている場合は、環境を変えることが最優先です。この場合は個別指導や家庭教師のみでの受験となるでしょう。
- 志望校と塾の対策が明確にずれているケース:志望校のコースが今の塾にない、通っている校舎に志望校対策のノウハウがない、といった場合です。ただしこの場合も、塾ごと変えるのではなく、志望校対策だけを個別指導や単科講座で足すほうが低リスクです
小6の「今の塾のままでは不安」という悩みの多くは、転塾ではなく、弱点科目や志望校対策をピンポイントで足すことで解決できます。この選択肢は後半で詳しく説明します。
神奈川の主要塾の入塾方法
転塾先の候補になる神奈川の主要塾について、入塾方法をまとめました。
| 塾 | 入り方(入塾テスト等) | 夏休み明け転塾のメモ |
|---|---|---|
| サピックス | 入室テスト(受験料3,300円)。おおむね月1回ペースで実施 | 2026年度は8月27日実施分が6年生対象の入室テストとして案内されている(入室手続きは9月4日まで) |
| 日能研 | 入会資格テスト(無料・国語算数)。対象は小4〜小6。日程は教室と相談可 | 入会資格テストの日程は教室と相談できると案内されている |
| 四谷大塚 | 入塾テスト(小1〜小6対象)。実施日は校舎・週により異なる | 予習シリーズ準拠塾(提携塾含む)からの転塾なら教材が連続し、負担が小さい |
| 早稲田アカデミー | 入塾テスト(無料)。毎週土曜14時が基本で、他の日時も相談可 | 受験機会が多く、日程の相談がしやすい |
| 啓明館(中萬学院) | 体験授業→学習カウンセリングを経て入塾する流れ | 神奈川県内の学校情報に特化。 |
| 臨海セミナー | 無料体験授業あり。入塾時のテストは算国各30分・学年相当の基礎レベル | 入り口のハードルが低く、費用も大手より抑えめ |
| 湘南ゼミナール | 1ヶ月無料体験を実施 | じっくり試してから決められるのが特長 |
転塾を考え始めたら、まず候補の校舎に直接問い合わせて、お子さんの状況を伝えたうえで受け入れの可否と条件を確認するところから始めてください。特に小6は、サピックスのように新規入室テストの案内自体が終わっていく塾もあり、時期が遅くなるほど選択肢は狭まっていきます。
各塾の特徴やタイプ別の向き不向きは神奈川の中学受験塾の比較記事で詳しく解説しています。転塾先選びはこちらをあわせてご覧ください。
転塾しないという選択肢もある。今の塾×個別指導の併用
ここまで転塾の判断基準を書いてきましたが、実際にご相談を受けていて感じるのは、「転塾すべきケース」より「今の塾のまま、足りない部分だけ補うほうが安全なケース」のほうが多いということです。
具体的には、次のような場合は転塾より併用が向いています。
- 塾のカリキュラムや友人関係には問題がなく、特定科目のつまずきだけが課題(例:算数の比、国語の記述)
- 小5の秋以降・小6で、転塾のタイムリミットを過ぎている
- 宿題や復習のやり方・優先順位づけに課題があり、伴走者が必要
- 志望校対策だけ、今の塾では手が回らない
併用のメリットは、今の塾で積み上げてきたカリキュラムや学習リズムを壊さずに、弱点だけを補強できることです。転塾のような数ヶ月の適応期間が発生しないため、特に時間のない小6では現実的にほぼ唯一の選択肢になります。
レフィーは横浜駅徒歩7分の中学受験専門・完全1対1の個別指導塾で、サピックス・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミーなど集団塾との併用フォローを多く担当しています。「転塾すべきか、併用で足りるか」の切り分け自体のご相談も無料の学習カウンセリングで承っていますので、迷ったらお気軽にご相談ください。
個別指導の費用感は授業料シミュレーションで、学年と回数を選ぶだけでその場で確認できます。
転塾を決めたら。移り方と今の塾への伝え方
移るときの手順
- 候補塾の体験・入塾テストを先に受ける:今の塾をやめる前に、移り先を確定させます。テスト結果次第で希望のクラスに入れないこともあるためです
- カリキュラムの差分を確認する:塾によって単元の学習順序が違います。移り先の塾に「未習になる単元」を確認し、合流までに埋める計画を立てます。埋め方は移り先の塾に相談してみるとよいでしょう。
- 合流日を月初やカリキュラムの区切りに合わせる:月謝・教材の区切りの面でも、学習の連続性の面でも無駄がありません
- 今の塾に退塾を伝える:退塾手続きの締切(多くの塾で前月中)を確認し、余裕をもって伝えます
今の塾への伝え方
引き止めを恐れて言い出しにくい、という声をよく聞きますが、転塾は珍しいことではなく、塾側も慣れています。「これまでの指導への感謝」と「子どもに合う環境を選んだ結果」などをさらっと伝えれば十分で、細かく説明する必要はありません。お子さんのベストを優先しましょう。
よくある質問
転塾すると成績は一時的に下がりますか?
塾ごとにテストの母集団と難度が違うため、偏差値の見かけの数字は変わることがあります。また、カリキュラムの学習順序の違いで未習単元が生じると、慣れるまでの1〜3ヶ月は点数が安定しないことがあります。大切なのは移った先の塾内での推移で、以前の塾の偏差値と直接比べないことです。
小6の9月からの転塾は間に合いますか?
原則おすすめしません。9月以降は各塾とも志望校別演習に入っており、環境適応の時間が取れないうえ、小6の新規入室窓口が実質的に閉まる塾もあります。精神的に限界のケースを除き、足りない部分は個別指導や単科講座で補うほうが現実的です。
転塾は早ければ早いほど安全で、新小6のカリキュラムが始まる小5の2月ごろが原則ラストタイミングと考えておきましょう。
冬期講習だけ別の塾に通うのはありですか?
転塾先の下見として有効です。講習は入塾よりハードルが低く、塾の雰囲気や教え方を実際に確かめられます。ただし講習内容は通常カリキュラムと別立てのことが多いため、講習の出来だけで塾本体を判断せず、体験授業や面談とあわせて検討してください。
転塾先はどう選べばいいですか?
「今の塾で困っていることが、その塾では構造的に起きないか」を軸に選びます。授業スピードが原因なら進度とクラス編成を、フォロー不足が原因なら質問対応と面談頻度を確認します。偏差値の高い塾ではなく、課題が解決する塾を選ぶことが転塾成功の条件です。
まとめ
夏休み明けは、夏期講習の結果という客観材料がそろい、カリキュラムの区切りとも重なる、春に次ぐ転塾の決断期です。小4は最も動きやすく、小5は「比」の学習状況を踏まえて慎重に、小6は原則動かさず個別併用で穴を埋めるのが基本方針です。そして転塾を考え始めたご家庭の悩みの多くは、実際には「今の塾×併用」のほうが低リスクに解決できます。
迷っている状態そのものが、お子さまの学習時間を削っていきます。この記事の判断基準で切り分けて、9月のうちに方針を決めてしまいましょう。
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